個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

芸術的センスまったくありませんが何か問題でも?

2018-02-03 10:36:32 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

いよいよ1週間後には私立入試があります。生徒たちも気合十分で、それに応えるように私も力が入り、とてもいい雰囲気で授業をおこなうことができています。もちろん緊張や不安もあるでしょうが、今はそれを乗り越えて「絶対に合格してやるぞ」という熱い気持ちに変わってきてるように感じます。

大阪では数年前から高校の授業料の無償化が始まり、それがなかった頃と比べると経済的にも私立高校に進学しやすくなり、それに伴い私立高校専願で受験する子も増えてきました(完全無償化ではなく、収入に応じて負担額は異なります)。また併願であっても、経済的に私立高校に進学するのが難しい生徒は、絶対に公立高校に合格しなければならないため、受験する高校の偏差値レベルをずいぶんと下げて受験することもありました。そういった意味では、子どもが選べる高校が増えているのはよい傾向だと思います。(高校の完全無償化については大賛成というわけではありませんが、この話はまたの機会にします)

ただ、入試制度については、まだまだ改善すべき点がいくつもあります。

公立高校を志望していた子どもが、受験直前に志望していた公立高校とほぼ同じレベルの私立高校の専願に切り替えることがあります。私立高校側から推薦をもらえたり、学力的に公立で勝負するのが不安になったり理由はいろいろありますが、一番多い理由は内申点です。

大阪の公立高校の受験では、内申点(各教科5段階の評価)+当日の入試の点数の合計で合否が決まります。受験する学校によって、内申点と当日のテストの点数の比率は変わりますが、内申点の比率が小さい学校で、内申点270点:当日のテスト630点、大きいところでは内申点540点:当日のテスト360点というのもあり、内申点が合否を左右すると言っても過言ではありません。

内申点は、学校の定期テストや実力テストの点数、提出物などを基にして、チャレンジテストの結果で最終的に決められます。何度か書いていますように、この制度そのものに不満はたくさんありますが、今回言いたいのはこの中でも最も早く変えなければならないと思っている副教科のことです。副教科は、美術・音楽・保健体育・技術家庭科の4教科あります。もちろん内申点にはこの4教科も5段階の内申点をつけられます。評価の仕方は学校によって変わるでしょうが、だいたいは定期テストの点数と実技点です。

ここで疑問が。副教科の実技点を高校入試の内申点に含めるのはいかがなものでしょうか? 副教科に関しては、しっかり勉強すれば筆記テストはなんとかなるでしょうが、実技に関してはどうしようもないですよね。私は歌が下手くそすぎて歌のテストは地獄でしたし、絵を描いてみても幼稚園児のような絵しか描けません。体育も跳び箱やマット運動では、できなさすぎて授業を休んだこともあります。私の当時の中学校では、こんな私でも筆記テストを重視してくれたおかげで、高い内申点をもらえたので志望していた公立高校を受験できましたが、もし実技重視でしたら悲惨な内申点になっていて志望校を変えなければならなかったでしょう。実際にこれまでの私の生徒の中でも、副教科の内申点が低すぎて、泣く泣く志望校を断念した子も何人かいました。入試にはこのような副教科はありませんし、それどころか高校になるとこの副教科のほとんどはなくなったり選択制になったりします。そんな副教科の内申点が高校受験の合否を左右するものであっていいのでしょうか?

大阪では、以前は内申点は10段階の評価で、驚くのは受験時に5教科の内申点は4倍になり、副教科の内申点は6倍になっていたことです。例を挙げると、A君は5教科の内申点がすべて最高の10点で、副教科はすべて5点だったとします。B君は5教科の内申点が5点で、副教科の内申点が10点だったとします。A君は5教科の内申点がオール10点ということは定期テストはほとんど満点近い点数をとっているはずです。一方B君は定期テストではちょうど平均点か少し下の点数です。しかし、内申点の合計点数はA君が320点でB君は340点となってしまうのです。副教科の授業をすることには何の不満もありません。不満どころか、勉強が苦手で音楽や体育・美術などが得意な子どもにとっては、励みにもなりますしいいことだと思っています。ただ、それを入試の内申点に入れることが問題だというのです。

先ほどの例ですと、A君はおそらく学年で1番で、本人が望めば学力的にはトップの進学校に合格することも可能でしょう。ところが、この内申点では不合格になってしまう確率が高いです。なぜなら合否は内申点+本番のテストの点数の合計で決まるためこれだけ副教科の内申点が悪いと本番のテストだけで挽回するのは難しいからです。学力はとても高いのに、運動ができなかったり歌が下手だったり、絵が上手に描けないだけでトップ校に行けないなんておかしいですね。進学校側も、副教科が多少できなくても、5教科の学力が高い生徒を本当は求めているはずです。東大や京大の学生は、副教科の実技も飛び抜けてできるような、スーパーな人ばかりでしょうか?

また逆に、B君の場合は副教科でかなり高い内申点をもらえていますので、学力少し足らなくても、内申点のリードがありますのである程度偏差値の高い学校に合格できます。ですがこれは、B君にとってもいいことではないのです。というのも、B君の学力では本当はこの高校に合格できないはずです。副教科の内申点のプラス分があるから合格できるのであって、学力的にはかなり背伸びした学校なのです。ですから当然、高校に入学してからみんなについていくのが必死で、場合によっては落ちこぼれてしまうこともあります。高校になると得意だった副教科もほとんどなくなるので、自分が優位に立てる場所がなくなり、学校が楽しい場所ではなくなってしまいます。

これを、受験した生徒や受験させた親が悪いというのは間違っていると思います。こんなシステムを作ってる側の責任です。

以前、教育関係者の方にこのことについて質問したことがあるのですが、その方は副教科の内申を受験に入れることによって、学級崩壊を防げるからと言ってました。一瞬耳を疑いましたが、もう一度聞きなおしても同じ回答が返ってきました。内申点で脅すことによってしか維持できない授業なんて存在価値はあるでしょうか?なくしてしまえばいいんですよ。そんなしょうもない理由のせいで、一生懸命頑張って目指してきた志望校を断念してしまった子どもたちもいるんですよ!しかも最初から私立専願で受験すると決めている生徒やポーツ推薦で進学する生徒はそもそも内申点なんて気にしていません。彼らは内申点の脅しなんかでコントロールできません。それよりもなによりも、内申点を脅しに使って生徒をコントロールしようなんていう教育は絶対に間違っています。ああ、思い出しただけで、また腹が立ってきました(笑)

もちろん大阪府もこの制度を少しずつ変えようとはしています。5教科と副教科の内申点を同じにしたり、特に進学校では内申点よりも本番のテストの点数の方を重視したりしていますが、はっきりいってまだまだ足りません。

私個人的には、副教科の実技に点数をつけることもどうかと思っていますし、入試の得点には絶対に入れるべきではないと思っています。副教科って5教科の堅苦しい勉強だけではなく、もっと幅広いものに興味を持ってもらったり、楽しんで学んでもらうためにあるものだと思います。それが楽しむどころか多くの子どもたちにとって大きな負担になっているんです。

まあ、副教科のような芸術的センスがまったくない私のひがみかもしれませんが(笑)


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