2020年2月18日 11:42 藤井寺市藤井寺 西国観音巡礼五番札所 葛井寺(ふじいでら)
大勢の参拝者が来られているのは今日が観音会だから。観音さんの縁日です。
24日が地蔵さん、天神さんは25日、28日が不動さんというふうに縁(ゆかり)のある日とされているようです。
そして、葛井寺では毎月1回18日だけ、ご本尊の秘仏「十一面千手千眼観世音菩薩坐像(国宝)」がご開帳されます(有料)。
線香...ほんとうは寝かせるんですよ、ここでは。
開運招福、心願成就、金運上昇、商売繁盛、合格祈願などいろいろな願い事が書かれていますね。
秘仏の「十一面千手千眼観世音菩薩坐像」は撮影禁止のため、堂内にあった写真パネルを撮らせていただきました。
実際見るよりふくよかなお顔です。実像は光の関係か、細面に見えます。
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堂内奥の資料展示より
衆生を救うため、千手と千眼をもって、いろんな道具を使われます。千眼はそれぞれの手のひらに描かれています。
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脱乾漆像の構造を解説しています。
木で作った心木に荒縄や麻ひもを巻き、土を付けて原型を作ります。そこに漆と糊を混ぜた糊漆で麻布を何回も塗り重ねて形を作り、仕上げます。後は中の土を取り除くと完成です。
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横から見るとなんとやさしい慈悲に満ちたお顔でしょう。
*堂内にあった写真パネルを撮らせていただきました。
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左右あわせて大手40本、小手1001本の手を持つ千手千眼観音の構造はこのようになっています。
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境内から出土したと云われる古瓦
白鳳時代のものもあるそうです。
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花山(かざん)法皇ご詠歌
「参るより頼みをかくる葛井寺 花のうてなに紫の雲 」
いくつもの奉納絵馬に書かれています。
立ち上る紫の雲
花山法皇が何度もお参りになり、その願いが聞き取られた時、ご本尊の十一面千手千眼観世音菩薩の眉間から紫の煙雲が立ち上り、境内の聖武天皇寄贈の紫雲石灯籠にまでたなびいたと伝えられています。
境内中央の参道にある聖武天皇寄贈の紫雲石灯籠(レプリカ)
実物は別の場所に保管されています。
「楠公史蹟 河南八勝 第八蹟 葛井寺」の碑
大楠公(楠木正成)六百年記念として戦前に建てられました。
楠木正行が4倍以上の幕府軍を藤井寺周辺で打ち破ったという藤井寺の合戦にちなみます。
なお、第一蹟 天野山金剛寺、 第二蹟 楠妣庵観音寺、 第三蹟 観心寺、 第四蹟 千早城址、 第五蹟 金剛山、 第六蹟 建水分神社、 第七蹟 楠公誕生地、 第八蹟 紫雲山葛井寺です。
それぞれの場所に石碑が立っています。
「旗掛けの松」
境内には何本かの黒松が生えていて目立ちます。
そのなかで、「旗掛けの松」と言われる三鈷の松が境内の参道脇にあります。
藤井寺の合戦で楠木正行、正時、正儀は葛井寺の境内に陣を敷き、細川顕氏軍に大勝しました。これよりこの松からは三人の息子にちなみ、三葉の松ができるようになったということです。
この不思議な力が授かるとされている旗掛の松の三鈷の松葉を拾おうと探しますが、なかなか拾えませんね。雨の日や風の強い日の次の朝がチャンスやそうです。
本堂の展示資料より、楠木正成の旗印
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず。」天命のままに動き、人は天に逆らうことはできないの意。
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同じく、楠木正儀 制札(国宣)
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本堂の後ろにある資料展示。
十一面千手千眼観世音菩薩坐像の構造の説明や、古文書などの展示があります。
ビデオで詳しい解説もされていました。
井真成の墓誌の展示もありました。
井真成は遣唐使で中国に渡った留学生で、唐王朝 玄宗皇帝の元17年間も役人として活躍していました。
しかし、突然病魔に襲われ急死し、亡骸は「尚衣奉御」という高いの官職を追贈され、この墓誌とともに葬られました。
2005年に藤井寺のシュラホールに里帰りしていましたね。藤井寺市のゆるキャラ「まなりくん」はこの人です。
ちょっとだけ井真成さんについてお話させてください。
「今から1280年以上も前、遣唐使の留学生で、藤井寺出身といわれている、井 真成。勤勉で礼儀正しく、優秀であった彼は、唐王朝で17年間も役人として活躍していました。
そして帰国前、突然36才の若さで急死しました。玄宗皇帝は、墓誌に「なきがらは中国に埋められたが、魂はふるさと日本に帰ることを願っている。」と記しました。
1280年以上もの間、その名すら知られていなかった井 真成、きっとこころは風にのって、海をこえて、ふるさとのむら 藤井寺に帰ってきていることでしょう。
風は海をこえて 心 海をこえて
そして いつか帰る ふるさとのむら
人は 海をわたり 文(ふみ)は海をわたり
そして 友をよび 帰れ ふるさと 」
シュラホールには井 真成の展示があります。
南側の楼門(南大門) 寛政二年(1790)の完成
天井に雲龍が描かれています。
もう一つの天井にも描かれているのをはじめて知りました。
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撮影:2020年2月18日
2020年2月22日(HN:アブラコウモリH )
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