遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

飛び降りの話

2007-06-08 07:21:50 | Weblog
寒がりの私は春が大好きです。
過ごしやすい

ただこの仕事を通じて春に寂しさを感じるのは
・・・自殺の故人様が増える事です。
単純に五月病?とは決めることはできませんが。
亡くなられた方の心模様とご遺族の気持ちを考えると辛くなります。
先日3日続けて“飛び降り自殺”の方に会ってしまいました。



1日目湯灌
若い女性の方
育児ノイローゼだったのかもしれません。
生後7ヶ月の赤ちゃんがいました。
「子供に今の顔を見せたくない。傷を消せないなら隠したままで良いです」
とのご主人の希望
大きな傷ではなかったのでメイクで隠す事ができました。
「これなら大丈夫だ」とご主人は少し安堵された様子でした。


2日目メイク納棺
ご年配の男性の方
病気を苦にして、目を放した隙に入院中の病院の高層階から飛び降り。
柔らかいところに落ちたのか?損傷の具合は酷くなく
もちろんすぐに救命措置はしたけれども…

家族は元気になってもらいたかった。
でも
故人様本人の長期入院という事実に『楽になりたい』という思い

ご家族は亡くなられた故人様に対して悲しむというより深い
何が正解なのか?という“複雑な思い”を抱かれていたようです。



3日目
びっっくりしました。
湯灌業務に向かう途中の高速道路
『反対車線が通行止めされているなぁ~』
規制を掛けている先頭には道路公団の人
(よく黄色い車で落下物拾ったり事故処理する人)
そのもうチョット先には作業着を着た“飛び降りた人”

えっ!?
「飛び降りてるっ!!」
どうやら高速道路の上にまたがる歩道橋というのでしょうか?
高さで言うと電信柱くらいのそこから高速道路に向かって飛び降りたらしいのです。
お亡くなりかどうかはわかりませんが
車にも轢かれず、普通にお顔も見えましたが傷もないようでした。

うーん。…とても辛かったのでしょうね。
ただ高速道路は前後左右と時には頭上注意であることと
3日連続飛び降りの方に遭遇するのはこの仕事ならではなのね、と
感慨深く思いました。


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