月館の殺人 綾辻行人・佐々木倫子

佐々木　倫子　画　綾辻　行人　原作
出版社名 小学館
上巻 1,050円（税込） 下巻 1,260円（税込）


　綾辻原作のコミック本です。佐々木倫子の画は「動物のお医者さん」や「おたんこナース」など細部まで丁寧に描きこんであるので好きです。その上に綾辻の原作とあれば手を出さずにはいられません。
　父が早くに亡くなり、今また母を亡くした沖縄の高校生空海（そらみ）に突然まだ見ぬ母方の祖父からの財産相続の話が舞い込む。
一度も鉄道に乗ったことがない空海は大富豪らしい祖父の招きに応じて真冬の北海道に飛ぶ。
午後８時４０分稚瀬布発月館行き「幻夜」号に乗り込んだのは空海を含めて７名、彼らの目的は？そして彼女の行く手には？「オリエント急行」も真っ青の密　室での殺人がおきて、そして・・・。
　以前課題本になってとっても不評だった綾辻の「十角館の殺人」でしたが、この作品も館シリーズの一作に含まれるかも。その理由を言うとネタばれになりそうなのですが、今作品の綾辻ならではのトリックはコミックの形でこそ生きてくるように思います。小説だと「バカミス」に分類されてしまうかも。
犯人は早く見当がつくのですが、登場してくる鉄道マニア「テツ」の狂気と紙一重の生態が実に面白かった。ただ、私の高評価は７割方佐々木倫子の画に対してですが。（よぴかり）