『まっぷたつの子爵』イタロ・カルヴィーノ
タイトルが気になっていながらなかなか手が出せないという本があるもので、イタロ・カルヴィーノの『まっぷたつの子爵』もそのうちの一冊、10代終わりにその存在を知りながら半世紀が過ぎてようやく読む機会が訪れました。私が手にしたのは晶文社版で表紙は土橋とし子さん(中にも数か所挿絵入り)。キモかわいい原色の表紙のイメージはいきなり裏切られむごいお話が始まりまし . . . 本文を読む
『ノースライト』横山秀夫 新潮社HPより)
一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残 されていた。一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。 . . . 本文を読む
『しんがり 山一證券最後の12人』清武英利著 “負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原 . . . 本文を読む
『黒いハンカチ』小沼丹
講師を含めて10人参加の7月例会。先月から持ち越しの課題本は完読率100%でしたが、あっさり読めたという人もいれば、意外に読み進まなかったという人も。その理由としては、英文学者の著者ゆえにカタカナ表記のこだわりが一々引っかかる、あるいは時代のせいか読めない漢字が多々ある、などが挙げられました。
肝心の内容については、気楽に読める作品ではあるものの、現 . . . 本文を読む