4回目にご紹介するのは、昨年の新刊の日本の小説2冊です。楽しそうな要素てんこ盛りだったり、時代や国家について考えさせられたり。
『雪の階』 奥泉 光 中央公論新社
戦前の昭和、友人の心中事件の謎を追う令嬢と実働役の元「お相手役」の女性カメラマン。謎のドイツ人ピアニスト、革命を目指す若い士官、昭和十一年二月二十六日、銀世界の朝。
とくると、北村薫の「ベッキーさん」シリーズを思わせますがそこは奥 . . . 本文を読む
3回目は良い小説の条件を考えさせる1冊と、昨年の芥川賞受賞作からの1冊です。
『風土』 福永武彦 新潮文庫
何が良いかを語る時に、自分のボキャブラリーの無さをひしひしと感じます。小説を読んでおもしろかった、わくわくしたというのは、良い小説の条件だとは思います。ただし、心に残るとか、ベスト本だというものについては、何かそれとは違う感動が必須なのでしょう。
『風土』にはそれがあります。それは何な . . . 本文を読む
会員のベスト本紹介、第2回は歴史小説と翻訳ミステリー。それぞれの得意分野で選んでいただきました。
『決定版 武揚伝』(上中下) 佐々木譲 中公文庫
近年、評価が見直されている「榎本武揚」についての評伝です。彼の生い立ちから箱館戦争での敗北までを描いていて、人物造形や会話のリアリティさなどどれをとっても優れた歴史小説です。彼は、江戸時代よりも明治時代の方が長く生きたんだなあ。大河ドラマ「西郷ど . . . 本文を読む
おもしろ本棚の会員が昨年読んだ中からマイ・ベストに選んだ本をご紹介する怒涛のベスト本シリーズ。
特に、昨年発行された本などの制限はなく、とにかく読んだ中で一番好きだった本について、数回に分けてコメント付きでご紹介していきます。
『劇団42歳♂』 田中兆子 双葉社
男5人で劇団再結成。42歳で「シェイクスピア・オセロー」に挑戦。大学卒業後、20数年たった男たちの人生と「オセロー . . . 本文を読む