
『プロット・アゲンスト・アメリカ』『こびとが打ち上げた小さなボール』と重めの課題本が続いたので、
短編集なら軽いかも、しかも「読書会」と題名についているし、と
わりといい加減な理由で推薦してしましましたが、たまにはこんなのも良かったかもと思いました。
意見としては
・課題本にならないと読まなかっただろうな
・この本自体はあんまりワクワクしなかった。
・素人にはわかりにくい、一般受けしない話を集めているみたい。
・読んだことがない作家、有名な作家でも読んだことのない作品が多い。
・短編だからとなめてかかっていたが、すごいもの読まされちゃった感じ。
・コンサートでもワンマンショーが好き。紅白歌合戦みたいにいろんな人がでるようなアンソロジーは、
ひとつひとつの作品にじっくり向き合えず、消化不良になる感じなので苦手。
などなど
1番の人気作は…
谷崎潤一郎『青塚氏の話』でした。
谷崎を読んだことがあっても、この作品は読んでいなかった人が多くここまで、
すごい執着というのか変態的というのか表現力にびっくり。
2番人気は『さようならハーマン』
生きていくって、悲しくて辛い。たしかに若いときにはわからない話。書いてある内容から、
なぜこの人はこんな行動をとったのか、いろいろと想像が広がるお話。
作者のジョン・オハラは雑誌ニューヨーカーに多くの短編を書いたが、死後自分の本を残すなと言った人らしく、
今では本があまり残っていないとのこと。
『秘嶺女人綺談』は続きが読みたいという人が多く。
『十二月の窓辺』は胸が苦しくなる。つらい。だらだら細かく書かれて、読みにくい。
『閃くスパイク』アメリカ的さわやか。野球の小説集読んでみたい。
など
選者の読書会部分が一番面白かったという人もいて、たまには短編小説を読むのもいいなと思った読書会でした。
私は、『青塚氏…』がやっぱりすごいな、さすが谷崎と思い、
津村記久子の『十二月の窓辺』は以前読んでいたものの、こんな風に取り上げられると、
また印象が変わってくるなと思いました。
アンソロジーのいいところは知らない作家や知らない作品を知ることにより、読書の幅が広がるように思います。
講師からは
短編の良さは「感動的でオチがしっかりしていること」なので、この短編集のように北村さんや宮部さんのように読み巧者が頑張りすぎて選んだ玄人好みの短編では一般受けはしないのでは。
全集の最後の方の巻にある名作集の変形ようだ。
谷崎や川端のようにスケベな作家じゃないと大成しない。変態おやじは大事です。
津村記久子の弁護をすると、彼女はしつこく書くのが特徴なので細かく書くにも理由がある。『水車小屋のネネ』は傑作。
おまけ:講師の前振り話
池田エライザは言葉にこだわる人。彼女自身の解釈で歌った『スイートメモリーズ』はすごい。
彼女が主演したドラマ『舟を編む』も辞書の話でとても良かった。
(NHK総合テレビで6月17日火曜22時~10回)辞書は面白いです。
植草甚一がこの本の中で書いているジョン・オハラというのも、この人のことかと。
「アメリカ小説を読んでみよう」植草甚一スクラップ・ブック 17
ご参考までに。