にいはんは周回遅れ

世間の流れとは違う時空に生きる

質問に直接答えない人(中編)

2007-08-19 | オーマイニュース

質問に直接答えない人(前編)からつづく

てんつくマン氏へのインタビューは、中越沖地震への募金活動についての質問に入ります。ここで軸丸靖子記者はこのプロジェクトの内容をコンロだけではなく、粉ミルクや義援金も送るものと正確に捉えた質問をしていました。ところが、てんつくマン氏はプロジェクトの内容には触れることなく、責任を回避する回答に終始します。(引用部分はイタリック体で表示、フォント変更・太字は筆者)

それは、地方にいる仲間が始めたプロジェクトで、それなら本部も応援しようというものです。実は、TEAM GOGOの関係者からも、「新潟のやり方はおかしいんじゃないか」「本部から止めてくれ」という声があった。それは誤解があったからなんですが、そもそも、あのプロジェクトはTEAM GOGO本部が指示して新潟がやったことではなく、新潟が自主的にやっていること。だから、止めてくれと言われても、「こういう意見がありましたよ」と新潟に伝えることしかできません。

TEAM GOGO本部が行った行動ではないというニュアンスの言い回しが何度も出てきます。公式サイトではこのような形で呼びかけをしていたのですが、百歩譲って新潟の活動だとしても、それを応援する事はできても止める事はできないという説明には納得できないものを感じます。

果たして、軌保博光(てんつくマン氏の本名)名義で募金を募る必要がどこにあったのでしょうか?これは軸丸記者に質問して欲しかったと思います。

義援金の受け入れ先としては、言いだしっぺの一人であるという若井由佳子氏の個人口座が使われていました。そちらの口座番号を紹介すれば送金時のタイムラグや手数料等が発生する事もありませんでした。個人の口座を使用した件についての賛否両論はありましたが、少なくとも募金集めにTEAM GOGOの名前を使用する必要はなかったはずです。TEAM GOGOとしては責任は負わずに中越沖地震に対するアクションを行っているとPRできるというメリットはあっても、そのメリットは被災者にどのような形で届いたのか、結局は売名が目的ではなかったのかとすら思えます。

また、このプロジェクトは当初てんつくマン氏によって 困った時はお互いさまで笑!プロジェクト と名付けられ、そのネーミングの無神経さに批判の声が上がりました。その後笑の字は取り消され、てんつくマン氏のお詫びも掲載されましたが、その中には説明不足だったという一文があり、ネーミングに笑の字を用いた理由の説明がありました。そこからは最初からきちんと説明していれば問題はなかったというニュアンスを感じ取る事ができます。個人的にはそういう話ではないと思うのですが。

前述の回答にも「誤解があったから関係者から止めてくれと言われた」旨の発言があります。越田椎氏のインタビューに対しても「断片的な箇所だけを切り取っている」旨の回答がありました。しかし、具体的に何がどう誤解を招いたのか、どの部分を断片的に切り取ったのかの説明はありません。こういった回答は具体的な事実から目をそらし、質問のやり方を問題視する事によって自己正当化を図る人がよく用いる手法です。

そのような意図が無いというのなら質問を正面から受け止めて回答すればいい、ただそれだけの事です。

そして、借金を抱えた状態で新たな募金を募った事の正当性を問う軸丸記者の質問が、とりあえず目の前の質問に答えられればいいという心の内が透けて見えるような回答を引き出しました。

軸丸記者:『号外』の件が済んでいないのに、それは脇に置いておいて地震の方をやりましょうというのは、これまで協力してきた人にもちょっと理解が得にくかったんではないでしょうか?

てんつくマン氏:『号外』への募金より地震への募金を優先することについては、ホームページや私の日記で説明しています。それに、いま地震で倒れている人がいるのに、それより僕らの借金の方が、という方が気持ちが良くない。優しくないと思う。僕らも借金はあるけれど、目の前に困っている人がいるのならそっちをサポートした方がいい。そう思って、僕が判断しました。

まず、HPや日記の説明で周囲の人間は納得したかどうかの回答がありません。特にTEAM GOGOの債権者たちはどのようにとらえたのかという点はスルーして、自分がやりたいからやったと声高に主張しています。また、3ヶ月前に軸丸記者が行ったインタビューでは、号外ばら撒きプロジェクトに踏み切ったきっかけをこのように語ってもいました。

いま目の前で苦しんでいる人を、直接助けることも必要だけれど、地球が安定しなかったらこの子たちを助けられない。両方をやることが大切だと思った。

夏至からたった2ヶ月弱で、号外は配りきれていない、それどころか実際に3000万部印刷したのかどうか疑問の声が上がっている現状で、地球は安定したのでしょうか?いや、号外を日本で配っただけで地球は安定したのでしょうか?

最後に両方やるというエクスキューズはありますが、人間には出来る事と出来ない事があります。号外ばら撒きプロジェクトが多額の借金を抱えたまま進行している最中に、自分がやりたいからという理由で次のプロジェクトに手を出すのは、無責任の謗りを免れないのではないかと思います。

そもそも今回のプロジェクトは新潟の責任だというのなら、TEAM GOGO本部には号外ばら撒きプロジェクトの始末をつける責任があります。両方やることが大切だといいながら、自分の責任を一時放置していては外部からの信頼は得られません。仮に債権者の理解が得られているとしても、世間から胡散臭い団体と思われれば、他に環境問題に関わっている団体に迷惑がかかります。実際に号外に書かれた内容に誤りがあるという指摘を受けているケースもあります。てんつくマン氏はそういう人たちに対する配慮をきちんとしているのでしょうか?

軸丸記者による中越沖地震への募金活動に関連した質問はまだ続きました。ただ、てんつくマン氏の回答にありとおり、新潟のスタッフでなければ答えられない細かい部分へ言及しているように思えました。こちらの募金の詳細は、必要があれば藤倉善郎記者が続報記事を書いてくれることでしょう。若井由佳子氏のブログによれば、今回の活動の詳細がお盆明けにもHPやTEAM GOGOのブログで発表されるということですので、近いうちに何らかの発表があるものと思われます。こちらも注視していく必要があるでしょう。

ただ、これは軸丸記者が意図していたかどうかはわかりませんが、中越沖地震への募金活動に関連した質問からTEAM GOGOの募金に対するスタンスを引き出しています。もし意図していたのなら、軸丸記者に拍手を送ります。

TEAM GOGOの募金のあり方は、普通とは違うところがあるかも知れません。集まらなかったらその主催者が責任を負う、リスクを負うやり方です。『号外』に関しても、もし足らなかったら私と中村の2人で負おうと決めて、「その場合は助けてやるから」という友人たちがいたから、できたことです。

まず、募金のあり方に関しては本部も地方も関係なく統一されているのではないかと推測されます。基本的に団体としての縛りは緩い印象を受けていたのですが、こと募金集めに関してはその手法が確立されているような気がします。

次に、号外ばら撒きについての責任の所在をあらためて明らかにしてます。てんつくマン氏と中村隆市氏が責任を負って返済するというのは、これまでに何度も語られていますが、こういった対面インタビューの場でてんつくマン氏が回答するのはおそらく初めてではないかと思われます。ここで両名が責任を負うといいながら、不特定多数からの募金を目標額に達するまで継続する理由を質問していたら、てんつくマン氏は正面からきちんと回答したでしょうか?

残念ながら、軸丸記者は次の質問に移ってしまいましたが、号外ばら撒きプロジェクトへの不信感が解消するまで、同じようなインタビュー取材の機会は今後何回でもあることでしょう。


質問に直接答えない人(後編)へつづく