にいはんは周回遅れ

世間の流れとは違う時空に生きる

涼しいにも程がある(下)

2007-07-31 | オーマイニュース

涼しいにも程がある(上)よりつづく


キャスティングの問題点についてもう少し詳しく見ていきます。今回時間を割いたテーマはネット選挙・年金・政治と金の問題・憲法9条の4つでした。テーマごとに各出演者が意見を述べられれば良かったのですが、実際には特定のテーマに抜けて詳しい人が1人いて、その人が話し出すと誰も止める事ができません。しかも話したがりの人ばかりです。

前のエントリでも名前を上げた中村友香・岩淵弘樹両氏は別にして、他の出演者は安倍政権や現与党に批判的なスタンスという部分は同じなので、反対意見は出ませんし、専門分野ではないので余計な口をはさみません。テーマごとに異なる意見をもつ複数の出演者を出さなければ、こういう展開になるのは目に見えているわけで、それは個人の意見の垂れ流しでしかありません。

そうそう、話が一段落するタイミングで司会の元木昌彦オーマイニュース(以下OMN)編集長が中村・岩淵両氏に感想を求める事はありました。しかし、それは相手に自分達の意見を認めさせるためのものでした。中村・岩淵両氏はそれぞれの立場から素直に感想を述べるのですが、その内容が出演者達の意に沿わないものだと、元木氏を含めた他の出演者が彼(女)らを説き伏せにかかります。その模様はどうにも見ていて気持ちの良くないものでした。

ただ個人の意見を垂れ流したかったのなら、ライブ中継の場でやる必要はありませんでした。通常の動画記事枠で「○○氏が語る××」とでも名付けてインタビュー記事を掲載するだけでいいでしょう。この方式なら余計な発言は編集でカットできますし、見たい人はいつでも見ることができて一石二鳥です。

また、都知事選ライブで好評だった白沢みき氏を降板させたのも裏目に出ました。同じく司会を務めた下村健一氏は海外にいて出演できなかったそうですが、OMNは白沢氏に出演交渉をしたのでしょうか?

都知事選ライブでの白沢氏は、下村氏とともに中継を仕切りながらライブチャットの書き込みにもすすんで反応して、視聴者を飽きさせないように意識した進行をしていました。プロの仕事です。

ところが、今回はどういう事情があったのか、進行のプロを排除して元木氏の単独司会でした。アシスタントの中村氏も、中継を見る限りでは進行についてはずぶの素人です。その結果、今回OMNが中継した参院選開票ライブは、出演者にダメ出しを出来る人が誰もいなくなって、特設スタジオの緊張感は皆無、視聴者は醒めた目で見ているだけという絵に描いたような視聴者不参加型番組になりました。

また、元木氏はチャットの書き込みをずっと無視して番組を進めました。OMNのTVスタッフは時折視聴者の問い合わせを含む書き込みに反応していましたが、元木氏が書き込みに触れたのは最後の最後だけ。それも締めに入って最後の一言を求められた出演者たちがまた長話を始めたのでうんざりしている反応に対して「もう終われとか言ってる人もいるけど、これ(終了時間未定)がネットのいいところだから」などと自分に都合のいい解釈をしているだけという寂しいものでした。

そして、この日最大といってもいい見せ場は、元木氏のこの発言からしばらくしてやってきました。出演者の誰かがだらだら話している途中で、番組がいきなり終了したのです。これはチャットに「もう終われ、はよ終われ」と書き込んでいた視聴者の念が届いたわけではなく、エンドロールの設定ミスでそうなったらしいのですが、強制終了を思わせるこのエンディングは、私を含めたチャットの書き込みを見る限りではかなり評判が良かったように思えます。この反応が、如何にだらだらグダグダな中継だったかを象徴しています。

もしOMNが次を考えているのなら、改善すべきは何をおいてもキャスティングです。編集部の誰が決めたか知りませんが、今回キャスティングを決定した人は、少なくとも今後数年間は人選にタッチしない方がいいでしょう。ライブチャットの書き込みは、都知事選ライブの約1700件に対して今回は約360件。これ以上の視聴者離れはOMNにとっても不幸です。

ついでにTVスタッフにも一言。

チャットにはTVスタッフ名で反省の弁が書き込まれ、来月の放送予定表にも今回の番組について書き込まれるとの事。おそらく拙ブログで書かなくてもTVスタッフはわかっているとは思いますが、今回は放送開始時刻の遅れに始まって、音声調整、市民記者から動画で寄せられた質問の紹介にスムーズさを欠く等のトラブルがありました。番組の強制終了もそうです。

これは推測になりますが、今回の放送は全くのぶっつけ本番ではなかったのでしょうか?

物理的に完全なリハーサルは無理でも、事前にチェックしていれば防げたのではないかと思われるトラブルが数多く見られました。動画スタッフが少数精鋭で睡眠時間を削って日夜働いているのは知っています。しかし、現在のマンパワーでは日常業務をこなすだけで精一杯で、今回のようなイベントがあると仕事がまわらなくなる状態ではないかと思われます。人件費との兼ね合いを無視するわけにはいきませんが、人手不足が質の低下を招くなら、何らかの対応が必要になってくるのではないかと考えます。

OMNで週1回のライブ中継を開始してからまだ2ヶ月弱ですが、毎回のように様々なアクシデントが発生しています。生中継にアクシデントはつきものですが、どうしても避けられない性格のものは別にして、事前に準備しておけば防げそうな技術面のトラブルが続発しているのは気になるところです。

ずいぶんと長くなりました。最後にちょっとしたアクシデントなら周囲からスルーしてもらえる秘訣を紹介します。


面 白 い 番 組 を 作 る


これに尽きます。番組が面白ければ、そちらの方が記憶に残ります。つまらないからちょっとしたアクシデントも気になるのです。バラエティーをやれというのではありません。視聴者も参加している気になれる番組、見応えのある番組という意味です。

TVスタッフの皆さん、頑張ってください。


(こぼれ話)
今回のエントリで紹介した元木氏を含む出演者の言動の多くは、放送中にライブチャットで視聴者からつっこまれていたものです。


涼しいにも程がある(上)

2007-07-30 | オーマイニュース

昨夜の東京は、昼夜2回の雷雨に見舞われる荒れた天気でした。そして、夜、雷が鳴り出した頃から風向きが変わり、気温が一気に下がっていきました。ビールでもゆるゆる呑みながら参院選の開票速報を見るつもりでいたのですが、それには寒いといってもいい位です。

そんな天候に輪をかけて心の温度を下げてくれたのが、オーマイニュース(以下OMN)で中継された参院選開票ライブです。

司会が元木昌彦編集長である点や、事前に告知されていたゲストが明らかに偏った人選である点など不安な要素もありましたが、4月の都知事選開票ライブは面白かったという記憶が不安な要素を打ち消していました。そのようなわけで中継を楽しみにしていたのですが、事前に期待するとたいてい裏切られるパターンに見事に嵌ってしまいました。一言でいえば“つまらなかった”この7文字でお終いです。

ただ、それだけでは身も蓋もないのでそうなった理由を考えてみます。

理由の殆どの部分は、視聴者の存在を無視していた出演者にあります。これは先日OMNが中継した「闘う居酒屋」も同様でしたが、こちらはOMNの主催イベントではありませんでした。中継させてもらう立場で会場の雰囲気や構成に口を出すわけにもいかないでしょう。しかし、今回はOMNの主催です。この責任は基本的にキャスティングを決定した誰かにありますが、それに異を唱える人は編集部にいなかったのか、あるいは気になっても口に出せない雰囲気が編集部にあったのか、そういった点も相当気になる部分です。

アシスタントの中村友香氏とゲストの岩淵弘樹氏以外の出演者は、明らかに自説を主張する事に重点を置いていました。元木氏が話題を振ると、指名された出演者の自分語りを含む主張が延々と続きます。見ている立場としてはただでさえ退屈なのに、話があっちこっちに飛ぶことも多くうんざりさせられました。ゲストに対しては事前に話が冗長にならないように程度の注意はあって然るべきだと思うのですが、そういった注意があったようにはみえないダラダラぶりでした。

元木氏は司会として進行を仕切る立場にあったはずですが、ゲストが話したいだけ話させるスタンスだったようです。仕切れる人がいないのなら、タイムキーパーにベルを持たせて一定時間が経ったらチリンチリン鳴らす公開討論会方式で話を打ち切らせてもらいたいとすら思いました。

事前の注意といえば、放送中に携帯の着信音を鳴らすどころか通話をしている出演者もいました。いくらゆるさが持ち味のOMNライブ中継とはいっても、そこまで放し飼いにしていたのかと驚かされました。まあ、こんな常識的な事は敢えて注意しなかったのかもしれませんが、そういうゲストを呼んだのは編集部の誰かです。

話し出すと自分の世界に入ってしまうのは、ゲストだけではなく元木氏も同じでした。新党日本の田中康夫氏が電話で飛び入り参加しましたが、受話器を握り締めて完全に2人だけの世界に入っていました。設備の都合でスピーカー通話ができなかったのかもしれませんが、少なくともその間は視聴者どころか他のゲストの存在すら目に入っていなかったようです。

呆れた事に、画面向かって左側に位置していたゲスト3名は通話中に勝手に席を立ち、TVの開票速報に見入っている姿がばっちり映っていました。関心があるのは如何に自分が話すかだけで、他人の話なぞ知ったこっちゃないという姿勢です。しかし元木氏は我関せず田中氏との電話を続けていました。元木氏が席を立つゲストに気がついていたかはともかくとして、映像を見た限りでは、好き勝手やっているゲストを咎める空気はスタジオ内には一切流れていなかったようです。

あと、事前に市民記者数名がゲストとして紹介されていましたが、実際に出演したのは1名だけでした。1名しかいなければそれはそれでいいのですが、参観の目的で来ていた市民記者がいたとのこと。マイメール等で市民記者に対して観覧者募集の告知はあったのでしょうか?以前に札幌カフェに不透明な形で市民記者予備軍を参加させたOMN編集部ですから、当時の反省を活かしてきちんと告知をしていると信じたいところですが、やはり気になるところです。

そして、出演した若手市民記者に対しての質問と回答に対するリアクションにも視聴者の存在を無視したキャスティングの弊害が出ました。どの党に投票したのかの質問(これも質問自体がどうかとは思いますが)に社民党と答えた彼に対して「意識が高いね~」と返した人がいたのです。その後、彼は投票の動機までしゃべらされるハメになりました。

社民党に投票する人は意識が高い。これは一体どういう意味でしょう?

社民党の制作している番組ならわかりますが、一応は政治的な中立を掲げたOMNが全世界に配信した中継の中での発言です。この発言が何事もなかったかのようにスルーされて次の話題に進むのは、OMNとして問題はないのでしょうか。

感想は7文字で終わるはずでしたが、もう1回続きます。


(つづく)


このまま自然消滅ですか?

2007-07-29 | オーマイニュース

先日、オーマイニュース(以下OMN)のとある連載企画が中断している事に遅まきながら気がつきました。その企画とは「安倍政権の行方を探る~若手国会議員リレーインタビュー」です。安倍政権の発足を受けて昨年10月16日にスタートしたこの企画は、5月1日に第23回が掲載されたのを最後に、もう3ヶ月近く更新が途絶えています。第23回の記事には、最終回の告知もそれをにおわせる表現もありませんでした。

この企画の特徴は、登場した22人(2回登場した議員が1名います)全てが自民党所属の国会議員だったところにあります。自民党や安倍政権に批判的な記事が圧倒的に多いOMNとしては、異色の企画といってもいいでしょう。それぞれの記事を読み返してみても、たいへん落ち着きをもって内容がまとめられており、その落ち着いたトーンにかなり良い印象を持ちました。

この企画が何故中断または終了しているのか、例によってOMNからのアナウンスはありません。自民党所属の議員だけを取り上げる事にどこかから異論が出たのかもしれませんが、それが理由なら他党所属の議員からも同じようにインタビューを取ればいいでしょう。決して派手ではありませんが、このまま自然消滅させるにはもったいない企画です。

今日は参議院選挙の投票日でした。衆議院が電撃解散しない限り、当面は国政選挙や統一地方選挙といった大規模な選挙はありません。こういった時期は政治家の本音をうかがう絶好の機会です。ひょっとしたらうっかり忘れただけかもしれませんが、最終回の告知はないのですから、第24回のインタビュー記事を掲載しても問題はないはずです。

仮にそれが無理だとしても、せめてアーカイブを設けて全ての連載企画をそれぞれまとめるくらいの事はしてもらいたいものです。それほど手間のかかる作業ではないでしょう。


未登録者のコメント欄

2007-07-28 | オーマイニュース

今週に入って、オーマイニュース(以下OMN)の内部に何らかの変化が起きているのではないかと考えさせる事柄がいくつかみられます。編集部所属の藤倉善郎記者が書いたTEAM GOGOに批判的な記事が、ほぼノーチェックで掲載された(藤倉記者談)のが最も象徴的な出来事ですが、それだけではありません。今までのOMNならせいぜいニュースのたねが精一杯と思われる記事が複数掲載されています。

それらの記事についてはいずれ改めてエントリをアップするつもりですが、今回のタイトルとした未登録者のコメント欄(以下未※欄)にも変化がみられます。

これまで未※欄を開放していなかった一部の編集部員が、未※欄を開放するようになってきているのです。前述の藤倉記者もそのうちの一人で、7月26日に掲載された記事から未※欄を開放しています。OMN編集部名義の週間市民記者賞発表記事でも、やはり26日掲載の今週分で未※欄を開放しています。強硬なコメント規制論者で議論それ自体を嫌う北澤強機記者ですら、直近2本の掲載記事には未※欄を設置していました。

編集部員の中には4月の新装開店直後から未※欄を開放していた人がいます。逆に、今でも未※欄を閉じたままの編集部員もいます。ですから、編集部の方針が変化したと即断するにはまだ早いのですが、ほぼ時期を同じくして複数の編集部員・スタッフが同じ方向へ舵を切ったという事実は注目に値します。

これがOMNの双方向性重視の方針を意味するのか、他に深遠な意図が隠されているのか。仮に今まで通りOMNからのアナウンスがなくても、遠からずその目的は明らかになる事でしょう。


あおむし記者を偲ぶ

2007-07-27 | オーマイニュース

一昨日、オーマイニュース(以下OMN)の一部市民記者とOMN周辺のごくごく一部で絶大な人気を誇っていたあおむし記者が、OMN離脱を宣言しました。その翌日にはとっとと退会手続きを済ませ、今はフジロックとかいう場所で自由を謳歌しているようです。

彼は実にフットワークの軽い人で「引き止める気にはならないなあ」とつぶやいた私に「ちょっとは引き止めて」などといいながら、じゃあ形だけでも引き止めてやろうかと思う間も与えずにOMNから去っていきました。のみならず、赤井信文氏に対しては「俺を偲べ」と暴言を吐き、長文のエントリを書かせたとんでもない野郎です。

そんな彼ではありますが、あの時、自分の気持ちに嘘をついて引き止めていれば良かったという気持ちが全くないわけではありません。とはいえ、今更引き止めても遅いので、代わりに彼を偲んでみようと思います。

彼のデビュー記事は、日曜の昼下がりにひっそりと掲載されました。その後の彼のニッチな活躍ぶりを象徴するようなタイミングです。ただし、このタイミングが絶妙でした。せっかく旅に出た彼なのに、気持ちが浮き立つ瞬間はこれっぽっちも訪れません。一見、寂しいだけの記事です。しかしこういう出来事を黙々と書く記者に対して、何か底知れぬものを感じたような気がしないでもありません。

その底知れぬものの正体は掲載の翌日になって明らかになりました。それまでにもコメント欄で独自の存在感を示していたあおむし記者がその実体だったとは。それによって漠然と感じていた何かが確信に変わりました。

当時のOMN編集部にも、彼の原稿を読んで何かを感じた人がいたようです。デビュー作にも関わらず、わざわざ屋外ロケを敢行して、記事のイメージにぴったりの写真を添付するというサービスに彼へのが感じられます。

その後の彼の活躍についてはここで語るまでもないでしょう。ぷにきゅーのさきがけとなった(と勝手に信じている)日刊アーちゃんや、オーマイニュースがだいすきだっっっ…いろんな意味で。などの記者クラブでの活躍は、市民記者の方が詳しいはずですので、どなたか気が向いたらブログに書くなり、OMNに記事を投稿するなりしてあげて下さい。

しかし、彼はOMNを去るその時までOMNに優しい人でした。退会の理由を丁寧に述べている事からそれがわかります。

また、これは全く個人的な話になりますが、OMNのSNS内にあったバグの解消を彼の退会によって知ることができました。彼の退会によって、彼を友人記者登録していた市民記者の友人記者一覧からはその氏名が消えています。かつては、氏名が消えた後も友人記者の人数(プロフ画面左側中段、全てを見るのカッコ内の数字)にその変更が反映されるまでに、数日のタイムラグがありました。しかし、彼の退会に際して数名の市民記者プロフを確認したところ、実際の友人記者の人数と表示されている友人記者画像の数は全て一致していました。

新装開店後のバグ取りはこんなところでもひそかに進められていたのでした。

最後までOMNがきちんと仕事をしている姿を見せてくれた親切なあおむしさん、本当にお疲れ様でした。あなたのことはずっと忘れません。というか、OMN関連その他の場所では今後ともよろしくお願いします。

このエントリをあおむしさんに捧げます。こんなもんでよろしいでしょうか?


【おことわり】
随所に手抜きの痕跡がみられますが、気にしないで下さい。気のせいだと思えばそれは気のせいです。


絵に描いた餅か風前の灯か

2007-07-27 | オーマイニュース

昨日、オーマイニュース(以下引用部分を除いてOMN)に参院選の東京選挙区関連の記事が掲載されました。東京に限らず、個別の選挙区にターゲットを絞った記事がOMNに掲載されるのは公示後初めての事。若干の期待と大きな不安を抱きつつ記事を読みましたが、残念ながら不安が的中してしまいました。

1.候補者を取り上げるスタンスに差がありすぎる

2.掲載時期が適切ではない

この記事には少なくとも上記2つの問題点があります。

まず1の問題点について。記事の焦点は最後の1議席を争う2候補(記者談)に当たっています。しかし、丸川珠代氏(自民)については他候補から批判が出ている事を紹介する一方で、川田龍平氏(無所属)については候補者本人の演説を紹介し、聴衆の涙を誘ったとまで書いています。丸川氏の演説内容については一文字も触れられていません。

これだけでも公平性に疑問符がつきますが、田村智子氏(共産)については泡沫候補扱いで名前すら出ていません。記者はこの点について語っていませんが、朝日新聞と読売新聞の情勢調査では、どちらも田村氏を丸川氏・川田氏と並べて横一線と評しています。複数のメディアが当落線上としている候補者を最初から除外しているのでは、公平な観点から書かれた記事とは思えません。

しかも、この記事を書いたのが及川健二記者となれば、それだけで記事の公平さに疑いを持つ要素は十分です。拙ブログでは2ヶ月前のエントリで及川記者について言及していましたが、及川記者は川田氏とは長年の親友の間柄で、1月に行われた出馬表明パーティーにも出席しています。両氏が特別な間柄だとすれば、この記事には川田氏を当選させたいという意図があると考えて読まなければなりません。そこで記事の流れをもう1度追ってみます。


最後の1議席争いから田村氏を除外

複数メディアが横一線と言っている中、敢えて丸川氏1歩リードの記述

丸川氏の紹介は逆風についてのみ

川田氏の紹介は本人の演説に聴衆の好意的な反応を追加


これ以上はツッコミませんが、まあ、そういう事です。


次に2の疑問点について。こちらはこの時期に掲載した編集部の意図に疑問を感じます。記事IDから推測して、この記事が投稿されたか掲載が決定したのは7月23日。実際に掲載されたのは昨日26日の18時です。実は昨日付けの読売新聞朝刊(東京本社14版)では激戦区の終盤情勢が掲載されており、それによれば、この記事で紹介されていない田村氏が横一線の中に含まれています。

及川記者の記事には何日付の読売新聞から丸川氏一歩リードという表現を引用したかは書かれていませんが、OMN編集部は掲載前に昨日付けの読売新聞をチェックできる立場にありました。OMNはまがりなりにもニュースメディアなのですから、社として読売新聞を購読していないとは考えられません。ご覧のようにWebサイトにも出ています。特に公示前に居酒屋ライブや公開討論会の模様を配信するほど関心を持っている東京選挙区の情勢報道です。

この記事の編集担当者は情報の鮮度に関心を持っていなかったのでしょうか?

記事投稿後に同じメディアが新しい情報を出しているのに、それを無視して掲載する事は、たとえケアレスミスだったとしても問題です。26日の読売新聞の情勢報道では、丸川・川田・田村の三氏を含む6名が横一線と伝えられています。及川記者の記事冒頭にある情勢分析は23日時点では正しかったのかもしれませんが、昨日18時の時点では誤った内容になっています。この記事が26日の朝一番までに掲載されていれば時間的な問題はなかったと思いますが、記事の前提となる読売新聞から新たな報道がされているにも関わらず、それから12時間以上も経って、古い情報を元にした記事をそのまま垂れ流すのは、編集部の怠慢以外の何物でもありません。

また、前述した及川記者と川田氏の関係に気がつかない、あるいは調べようともしない、または知っていても問題とは思わない感覚が不思議でなりません。拙ブログでは国民投票法案特集に掲載された著名人の記事の偏りを批判した過去のエントリで、法案に賛成の著名人からもインタビューを取って掲載するよう提案しましたが、結局賛成派著名人の(インタビュー)記事は掲載されませんでした。一見して直接関係しないようにも思える事柄ではありますが、問題の根は同じところにあるのではないでしょうか。

及川記者の記事に見られる問題点は以上のようなものですが、偏った意見をニュースとして伝える姿勢といえば、先日ライブ配信された「闘う居酒屋」も同様です。OMNは主催者ではなく、パネリストの選定に関与する立場ではなかったと思いますが、その顔ぶれを見ればどういった方向に話が進むかは事前にわかるものでした。元木昌彦編集長が参加しているとはいえ、最初から結論が想像できる会合のライブ中継を決定したOMNからは、公平性を担保しようとする意思が見えません。

また、29日に予定されている参院選開票ライブにも同様の不安があります。現在出演が予定されている立候補者のリストには、与党の立候補者名が全くありません。出演を依頼して断られたのか、そもそも最初から出演を依頼していないのかはわかりませんが、前者なら、どうして与党の立候補者からは出演を断られるのかOMNの立ち位置について考え直す必要があるでしょうし、後者なら、こと開票速報ライブについては公平な報道など考えていないという解釈ができます。ゲストは変更の可能性もあるとの事ですので、その点に一縷の望みを託して放送当日を待ちます。

このように、現在のOMNには政治的な公平性・中立性に疑問を感じる記事やイベントが多数存在します。ですが、拙ブログで事あるごとに引き合いに出してきたOMNの創刊宣言には今でもこのように書かれています。(一部抜粋、引用部分はイタリック体で表示、フォント拡大・太字は筆者)


「市民みんなが記者だ」これがオーマイニュースの核心となるコンセプトです。

オーマイニュースは政治的・思想的な中立を守っていきます。

編集部は、市民記者が書いた記事について「最小限の編集、最大限の事実確認」を行う方針です。

オーマイニュースは「自由な参加」「信頼のある参加」で作られた広場であることを活かし、対立する二つの集団の間のコミュニケーションを支援する架け橋を目指します。

オーマイニュースは、その発展の過程で常に謙虚な姿勢を心掛けていきます。

より多くの参加と叱咤激励をお願いします。


今のOMNが創刊宣言をないがしろにしている事がよくわかると思います。いちいちツッコミを入れる気にもなりません。核心となるはずだったコンセプトは、間もなく新しいキャッチコピーに取って代わられる事になっています。初めから実現不可能と思いながら、市民記者や読者に対して絵に描いた餅を出していたのか、高らかに謳い上げてはみたものの、もろもろの事情で理想に近づけないうちに風前の灯となってしまったのか、残念ながら外からでは全く見当がつきません。

しかし、個人的にはせめて後者であって欲しいと思います。絵に描いた餅はいつまで経っても食べられませんが、風前の灯ならわずかではあっても温もりや明るさを感じる事はできます。もしかしたら風が止んで、その灯が煌々とともる日がくるかもしれません。

確かに現実は厳しく、核心となるはずだったコンセプトが創刊1年を機にその役目を終えるとなれば、創刊宣言そのものの存続も危ぶまれます。その中で多用されている市民記者という呼称も変更されるとなれば、いよいよその危惧が現実となるかのようにも思われます。

それでも、このまま創刊宣言が消滅や書き換え、あるいは有名無実化したままの状態が続くなどといった状態になってもいいのかと疑問の声を上げずにはいられません。

OMNの創刊宣言は、日本国憲法の前文のようなものではないのですか?

OMNには護憲派の市民記者が多数存在します。いいえ、市民記者だけではなく社員にも多数存在することでしょう。何より他ならぬ元木編集長が護憲の旗を掲げて国民投票法案に反対の立場を明確にしていました。にもかかわらず、元木氏によるOMNの創刊宣言を守ろうという記事やコメントをこれまで見た事はありません。外部のブログ等を見る限りでは、むしろ国民投票法案特集のあり方を批判した人に、創刊宣言を大切に考える人が多いような印象を受けます。

元木氏を筆頭とする護憲派の人たちは、OMN本体の改憲問題には無関心なのでしょうか?


昨日の今日で同じミス

2007-07-25 | オーマイニュース

オーマイニュース(以下OMN)が昨日掲載した記事に、これまでのペンネーム(以下PN)許容基準から明らかに逸脱するものがありました。

その記事に対してはある市民記者からPNに疑問を呈するコメントが寄せられ、平野日出木編集次長が編集部のミスであると回答しています。現時点で当該記事の署名は変更されていませんが、市民記者本人の了解なくして署名の変更はできないでしょう。編集部のミスではありますが、当該市民記者本人からの了解を待つ姿勢は、ミスをした市民記者に責任を転嫁しないという観点からも正しいものと思われます。

ところが、同じミスが2日続けて発生しました。

コメント欄とはいえ、昨日平野次長が編集部のミスと明言したものと全く同じミスです。

OMNが朝一番に掲載する記事は、自動投稿システムによって前日に掲載が決定されています。当然、校正も前日に行われているはずです。それにもかかわらず同じミスが2日続けて発生しました。昨日の記事も朝一番の掲載でした。編集部にコメントが寄せられた時点で平野次長は間違いなく最初のミスに気づいていたはずなのに、昨夜の編集作業で同じミスが発生したわけです。

これは、現場の実質的な責任者である平野次長が認識していたミスを編集部に伝えていなかったか、伝えてはいても連絡体制に不備があって情報が思うように編集部員に伝わっていなかった事を意味します。

間違いは誰にでもありえます。しかし、昨日の今日で同じ間違いを繰り返せばただのバカです。組織として間違いが起きたときに最初に考えるのは、いかに同じ間違いを犯さないかという事でしょう。これはOMNの編集作業に限らず、人が人として生きていく上で常に考えなければならない課題だと思うのですが、OMNは組織としてそれの確認を怠ったようです。

昨日PNの扱いについて指摘した市民記者からは2日続けて同じ指摘がなされる事と思います。しかし、編集部はそれを「毎回同じ事を言いやがって」などと考えてはいけません。そもそも同じミスを2日続けてやる事が商用メディアとしてどれだけ恥ずかしいか、素直に受け止めた上で再発防止の為に会議でもなんでもして、今回2日続けて同じミスが出た事実を編集部全体で共有し、再発防止策を徹底すべきです。

OMNの偉い人には、これは編集上のミスですからわざわざ自らの恥を外部に晒す必要もないと考えている人がいるかもしれません。しかし、2日連続で基本的なミスを同じパターンで繰り返しておいて、内輪の問題だから外部からツッコミを入れるなという姿勢は常識的に考えてありえません。何故同じミスが続いたのか、OMNとして納得がいく説明をしましょう。


それとも、今回もダンマリを決め込みますか?


ささやかな満足感

2007-07-24 | オーマイニュース

オーマイニュース(以下OMN)の新企画、ぷにきゅーがスタートして今日で5日目となりました。土日のお休みをはさんで、にゃんこ・わんこ・にゃんこの順番で記事が掲載されています。

拙ブログでは、お値段が100円と決まった時に奥様方に向けてお知らせエントリをアップしました(1行書いたっきりで追記していないのでリンクしません)が、考えてみれば原稿料の体系が変更されたのだという事をすっかり失念していました。そこで久しぶりにOMNの原稿料案内を見に行ったところ、きちんとぷにきゅーの登場に対応して説明文が書き換えられていました。当たり前の事のようにも思えますが、素晴らしい事です。

更に素晴らしいのは、この機会にぷにきゅーとは直接関係のない部分まで細かな変更が加えられている点です。例えばTV・Photo記事の原稿料が支払われていない件が、7月18日時点の情報に書き換えられています。原稿料案内のページが変更されるのは当然としても、ついでにページ全体の見直しを行っているとは・・・たいへんいい意味で予想を裏切られました。

OMNの細かいミスが気になる性分の反動なのか、こういった細かい部分できちんと仕事をしている部分を見つけると無性に嬉しくなります。細かい部分に限らずOMNがきちんと仕事をしていると嬉しくなるのは言うまでもありません。


OMNの皆さん、もっと私を喜ばせて下さい。


次から次へとボロが出る

2007-07-23 | オーマイニュース

いつの間にか夏至から1ヶ月が過ぎました。月日が経つのは速いものです。

拙ブログ的には夏至といえばTEAM GOGO。それまでに3000万部の号外を配布するはずだったプロジェクトは、今、どうなっているのか調べてみました。こちらが事務局が発表した配布部数と募金総額の最新情報です。

ご覧になってわかるように、7月20日現在で全印刷部数の1割を超える325万部がどこかの倉庫に眠っています。7月16日からは号外が有料となりました。事務局によれば、発送費と保管費がかかるというのがその理由だそうです。もともと発送費は予算に計上されていた項目ですし、7月11日になって募金目標金額を上方修正した理由の一つに発送費の増額を上げているのにそれでも足りないというのが不思議ですが、単価の違いこそあれ号外を有料化するプランは5月末時点でてんつくマン氏本人が明らかにしていますし、事務局としては予定の行動と考えていいでしょう。有料化によって今後の号外配布ペースがどのように変化するのか、今後も推移を見守っていく事にします。

不思議といえば未だに募金を続けているのが何より不思議です。オーマイニュース(以下OMN)のこちらの記事では募金の受付は6月25日までとなっていますし、事務局ではその後のOMNの取材にも、6月25日までに集められるだけ集めると回答しているようです。

しかし、現実には夏至から1ヶ月経った今でも募金活動は続けられています。事務局ではその理由を7月分の支払いと借金の返済の為と説明しています。

これはまたおかしな事です。前述の取材に対して、事務局では不足分は発起人が頑張ると答えたようですし、TEAM GOGOのサイト上でも、借金は言いだしっぺのてんつくマン氏と中村隆市氏が毎月最低50万円ずつ責任を持って返済すると明記されています。また、既に借入金が2080万円は集まっていますので、こちらを見ればわかるとおり、7月12日時点で7月分の支払いが可能なだけの金額は集まっているはずです。

要するに、当初の予定を過ぎても続けられている募金は、今となっては言いだしっぺ両名の借金返済が目的になっているわけです。

更に、このような状況下でTEAM GOGOは平成19年新潟県中越沖地震への募金を募り始めました。あきれた事に 困った時はお互いさまで笑プロジェクト などと銘打っています。このプロジェクト名だけでも噴飯ものですが、どさくさに紛れてとんでもない事を言っていますのでその部分を抜粋します。(引用部分はイタリック体で表示、フォント拡大・太字は筆者)


今回の号外で出来た借金への募金は少しおいといて、新潟地震への募金を集めま笑!


この一文からこの団体の胡散臭さを感じるのは私だけでしょうか?

・借金返済の原資の一部または全部が募金である
自らの責任で発生した借金をたいへん軽く考えている
・地震への募金が終了したら借金返済の為の募金を再開する気満々
・当て字に笑を使う無神経さはいわずもがな

これが、OMNでは好意的な記事ばかりが掲載された号外ばら撒きプロジェクトを推進した団体の持つ別の顔です。

最後に記事を書いた記者だけではなく、全てのOMN社員・スタッフに質問します。


この団体の活動、何か変だとは思いませんか?