にいはんは周回遅れ

世間の流れとは違う時空に生きる

質問に直接答えない人(前編)

2007-08-18 | オーマイニュース

昨日、オーマイニュース(以下OMN)に、拙ブログでも再三取り上げている号外ばら撒きプロジェクトの言いだしっぺの一人であるてんつくマン氏のインタビュー記事が掲載されました。インタビュアーは軸丸靖子記者です。

軸丸記者がてんつくマン氏にインタビューするのはこれが2回目となります。前回のインタビューからちょうど3ヶ月。その間、TEAM GOGOに対する疑問の声はネット上で小さいながらも着実に広がりをみせてきました。それまで号外ばら撒きに好意的な記事ばかりだったOMNでも、多額の借金を抱えたまま新潟県中越沖地震への募金を募る活動をきっかけに、藤倉善郎記者による批判記事が掲載されています。そんな流れの中で5月からTEAM GOGOの活動を取材してきた軸丸記者が何を問い、てんつくマン氏がどう答えたかを見ていきます。

まず、インタビューの前にリード文があります。ここで軸丸記者のスタンスを感じ取る事ができます。(引用部分はイタリック体で表示、フォント変更・太字は筆者)

「6月22日の夏至の日に環境問題のフリーペーパー『豪快な号外』3000万部を配布する」というプロジェクトを敢行したTEAM GOGOに、いろいろと良からぬ評判が立っている。

さすがに3000万部を配布したとは書けません。TEAM GOGOの公式サイトで全体の1割以上にあたる325万部が残っていると発表されているからです。過去記事のコメント欄で市民記者からの疑問の声に「取材しています」と答えた軸丸記者ですから、TEAM GOGOに良からぬ評判が立っている現状は内心忸怩たる思いがあるのでしょう。

断っておくが、「地球温暖化を止めよう」と呼びかけた『号外』の内容自体の評判は良い。

こちらの文章からは何か特定の読者に対して挑みかかるような印象を受けます。号外の内容が批判されているわけではないと、ことさらに強調するあたりに軸丸記者の心境が現れているといってもいいでしょう。

ただし、これまで見た限りでは号外の内容を評価する声は関係者を別にしてそれほど多くはないようで、越田椎氏がアメーバニュースでまともなことが書いてあると言っているのが目につく程度です。TEAM GOGOの集金システムに批判的なスタンスを取っている藤倉記者の記事は、確かに号外の内容まで批判しているわけではありませんが、それをもって評判が良いと断言するには弱いでしょう。軸丸記者は、私の知らない場所で号外の内容に対する評価をきちんと取材しているものと思われます。

それでは号外の、あるいはTEAM GOGOの活動のどこに問題があるのか。軸丸記者は、資金面の問題に加えて情報の錯綜を上げています。これは藤倉記者が指摘したチェーンメールの問題や、越田氏が指摘したてんつくマン氏と事務局の発言のぶれを念頭に置いているものと思われます。その後のインタビューにおいても、軸丸記者とてんつくマン氏の双方が藤倉記者と越田氏の記事を意識しています。今回のインタビューがそれらの記事を土台に進められている事は明らかでしょう。

そして、リード文の最後にはあらためて軸丸記者の見解が示されています。

加えて、もともと環境運動に懐疑的な層のさまざまな発言が、この混乱に拍車をかけている。

もともと批判的な輩がTEAM GOGOの混乱に乗じて言いたい事を言っている。悪いのはそいつらの方だとも解釈できそうですが、それは拙ブログが最初から号外ばら撒きに批判的なスタンスだったからそう思ってしまうのでしょう。そういう意味では確かに責任の一端はあるのかなと思う一方で、TEAM GOGOが身の丈にあった活動をしていれば最初から混乱は起きなかったのではないかとも考えてしまいます。

少々話が逸れました。ここからは本丸のインタビューの内容に移りましょう。

まず、夏至から2ヶ月近く経っているのに3000万部を配布しきれていないこと、現在でも募金の呼びかけが継続されていること、予算が増額していることに対する質問を受けたてんつくマン氏は、その中から予算の増額だけについて答えています。配送費がかさんだのがその理由だそうですが、その中にこんな発言があります。

配送費が計画通りに収まらないということは、6月上旬には分かってきました。

公式サイト上で予算の増額について説明されたのは7月11日でした。号外配布が一段落するまで発表が遅れたのは単なる事務処理上の都合でしょうか。資金不足により号外の配布に支障が発生する可能性があったのに、周囲への説明に1ヶ月もかかるのは不自然だと思われます。6月上旬にわかっていた事なら、その時点でてんつくマン氏、あるいは事務局としてどのような対応をしたのかを説明する必要もあったでしょう。軸丸記者にはこの点を明らかにして欲しかったと思います。

次にTEAM GOGOの懐具合についてはこのような説明があります。

今日(8月17日)現在TEAM GOGOへの総収入は1億3505万9453円。このうち借金は2130万円です。これに100万番長に立て替えてもらっている604万1591円を加えた額が、これから返済していく借金です。

公式サイトの説明によれば、ほぼ1ヶ月前、7月上旬時点での入金総額は約1億3403万円でした。この中には2080万円の借入金が含まれています。入金総額は1ヶ月間で約100万円増加していますが、そのうち50万円は借入金ですから、募金は約50万円の増加となります。また、100万番長への立て替え分を含めた借入金の総額は約2730万円。公式サイトでは7月上旬以降収支に関連する報告が滞っていますので、この発言はTEAM GOGOの内情を示す貴重な情報といえます。

そして、借入金の返済についてはてんつくマン氏と中村隆市氏が月25万円ずつ行うということで新たな情報はありませんでした。それに加えて小冊子やグッズの販売収入、さらなる募金があった場合にはそちらも返済の原資とするというのも既に公表されていた事です。

借金返済の為に募金を行う点については藤倉記者や越田氏をはじめ、多くの人が疑問を呈しています。ここであらためて言及する必要はないでしょう。ただ、それ以外にも小冊子やグッズの販売収入も返済の原資とする点についても疑問が残ります。

なぜなら、小冊子やグッズはそもそも号外の告知を目的としたもので、その制作費はこれまでに集まった募金から捻出されているからです。号外告知の為に作られた小冊子やグッズが借金返済の為に使われることは何か変ではないでしょうか。事務局によれば、配送費の増加以外にグッズ制作費の増加も予算増額の一因として上げられています。

TEAM GOGOは借金返済グッズを製作する為に予算が膨らんでもおかしいとは思わなかったのでしょうか?

少々言葉がきつくなりましたが、結果としてそうなったのは事実です。また、小冊子については号外とは異なり作成部数が公表されていません。約300万円の制作費が計上されていますが、これは何部分の制作費になるのでしょう?

そして、どれだけ無駄になった小冊子があるかわからないだけでも不透明なのに、売り上げは募金に含まれてしまうので、外からだと一切売り上げが見えない仕組みになっています。逆に言えば、今後も募金が集まったとしても、全てが小冊子やグッズの売り上げだと説明されればそれが事実かどうかは外部からではわからないという事です。いや、内部の人ですらよほど口座を厳格にチェックしなければわからないはずです。募金と小冊子の代金は同じ口座に入るのですから。

このようなブラックボックスを放置したまま、3000万部を印刷した証拠はあるけど公開できないなどと言われてその言い分を素直に信用しろというのは無理な話です。


質問に直接答えない人(中編)へつづく