9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について <債務貨幣・借金貨幣システム>とは その42 根本的問題4

2017年11月21日 | 日記
とあるスナックで

コー
この<債務貨幣・借金貨幣>システムのもとでは、いくら実物経済にお金が回って景気が良くなっても、いずれ行き詰まる。山口薫はこのことを、言っているんだと思う。山口薫 著<公共貨幣> 東洋経済新報社 P-292

12・2 債務貨幣システムから・・・

本書の旅も無事に終わり、ようやく山頂にたどり着いた。ここからの眺めは絶景である。これまでの旅の途上で得た公共貨幣システムのビジョンをこの頂上からじっくりと眺めなおして、ここからは次章で提案する「日本国公共貨幣法」の素案をみんなの知恵で磨き上げるのだ。いよいよ新しい国づくりを目指す時が到来した。ビジョンと志(こころざし)を持ってこの山頂から一気に駆け下りて、新しい国づくりに邁進するのだ。250年以上の長きににわたって支配してきた債務貨幣システムを公共貨幣システムに移行させるのであるから、この新国生み物語は私たちにとって歴史的な偉業となるワクワク作業である。とりわけ「国生み神話」でしられる伊弉諾尊(イザナギノミコト)・伊弉冉尊(イザナミノミコト)の国生み二神を祀る伊弉諾神宮がある淡路島で生活しているものにとっては、この新しい国生みはワクワクする作業である。

そこでここではしばし山頂にとどまり、これまでの債務貨幣システムがなぜ機能しなくなったのか、そのシステム欠陥をあらためて再確認することからこの公共貨幣システムへの移転作業に取りかかることにしたい。シカゴプランの貨幣改革を提案した1930年代の経済学の先達が第8章で指摘したように、債務貨幣システムは常に信用創造によるバブルやインフレ、信用収縮による不況やデフレといった景気変動を引き起こし、政府債務を増大させ、やがて経済活動をデフォルトさせるというシステムデザイン上の欠陥を有している。そこでこうしたシステムデザイン欠陥を生み出す仕組みを、マネーストックの不安定性に焦点を当てる簡単なモデルを構築して再度概観してゆく。

図12.1を参照しながら、以下の債務貨幣システムを概観していただきたい。同図では細かな数値が明確に表現されていないが、以下では正確を期すために数値を入れて説明する。

(0):中央銀行が180兆円の金準備金をもとに初期マネタリーべースを180兆円投入するところから始める。歴史的には上述した1884年のピール銀行条例で制定されたように、金準備を担保に中央銀行がマネタリーベースとなる銀行券を発行して、現金が流通し始めた。よってここでも現金180兆円が流通しているところから議論を始める。やがて流通に投下された現金のうち100兆円が銀行に預金され、銀行はこの100兆円を準備金として日銀の当座預金に預けるところからこのモデルは始まる。図12.1の曲線の1がマネタリーベース180兆円を表し、曲線3が流通している現金80兆円を表す。したがって、この差額が当座預金100兆円となる。

(1):部分準備銀行制度(t=5)。ここで準備率を10%と想定する。すると銀行は最大1000兆円の信用創造が可能となるが、すでに100兆円を預かっているので、新たに信用創造できる上限は900兆円となる。企業が投資等の経済活動のために5年度に500兆円の融資を銀行に申し込み、銀行がこの融資を決定する。この結果銀行の貸借対照表は、銀行の貸出資産=預金(信用) 負債=500兆円となる。同時に企業の借り入れ負債が500兆円となる。この時点でマネーストックM1は、現金80兆円+預金100兆円+預金(信用)500兆円で合計680兆円となる。図12.1の曲線2がその大きさを表す。

金準備が180兆円しかない経済では、この信用創造による500兆円がなければ、それに見合う経済活動は行われなかったであろう。よって、現行の部分準備制度を擁護する経済学者は、この部分準備銀行制度があったから資本主義経済は発展したと主張する。はたしてこの擁護論は正しいであろうか。答えは否。最初から公共貨幣システムで500兆円を流通に投入しておけば、経済は同様に発展した。この信用創造制度がなければ、企業は銀行に利息を吸い取られたり、それがもとで所得格差が生じることもなかったのである。

(2):バブル発生(t=10)。10年度に株式・証券・不動産投資企業が金融投資のために、新たに400兆円の融資を銀行に申込み、銀行が新たに同額の信用を創造したと想定しよう。この融資の結果、銀行の貸借対照表は貸出資産=預金(信用) 負債=900兆円となり、企業の借り入れも900兆円に膨れあがる。この時点でマネーストックは1080兆円となる。企業はこの融資を既存の金融商品の投資に回すようになるので、やがてバブルが発生する。

ではあらためてバブルはなぜ起こるのかを考えてみよう。元来、既存の株式、証券、不動産への投資はゼロサムゲームであるので、誰かが儲かると誰かが損をすることになるが、バブルで価格が一旦上がり始めると、誰もが儲かるようになる。それを支えるのが銀行による信用創造である。ここでは上限の900兆円まで銀行が信用創造して融資を行うと想定した。この結果、マネーストックが膨れ上がり、溢れるマネーがインフレ、バブルを引き起こすのである。よって、部分準備制度がなければ、民間銀行は信用創造でマネーストックが増やせなくなり、バブルは発生しない。バブルは部分準備制度によって引き起こされ、銀行はバブルによって利息を荒稼ぎする。

(3):バブル崩壊と銀行取り付け(t=14)。14年度にバブルが崩壊し、銀行取り付け騒ぎが発生すると想定。バブル崩壊と同時に発生するのが、信用不安のうわさで預金者が銀行に殺到し、預金を引き出す騒ぎである。ここでは10兆円の預金が引き出されたとする。その結果、準備金が10兆円減少するので、準備率が10%のもとで銀行は新たに100兆円の貸しはがしを余儀なくされることになるが、既に取り付け騒ぎで預金が10兆円減少しているので、90兆円の貸しはがしが必要にとなる。この結果、現金が80兆円から90兆円に10兆円増加し、預金が100兆円から90兆円に減少する。さらに信用創造が900兆円から810兆円に90兆円減少し、マネーストック=現金90兆円+預金90兆円+預金(信用)810兆円=990兆円となる。

このようにわずか10兆円の預金取り崩しではあるが、預金が合計で100兆円減り現金が10兆円増加する。すなわち、マネーストックが1080兆円から990兆円へと90兆円減少する。
フイッシャーが第一次世界大恐慌で分析したように(第8章)、1929年から33年までの4年間に米国経済で現金が10億ドル増えたがマネーストックは70億ドル消えた。このように一旦バブルが崩壊すると、凄まじい勢いでマネーストックが減少する。フッシャーの表現を借りれば、バブルがはじけるとこの経済の高速道路が100キロ(兆円)消え、経済活動がそれだけ破壊されるのである。

続く・・・
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