9.11について

2001年の9.11事件や、その他色々な感想、思い、などを書いていけたらなと、思っています。

9.11について <債務貨幣・借金貨幣システム>とは その43 根本的問題5

2017年11月21日 | 日記
とあるスナックで

コー
それでは、またまた続きを読んでいこう。 山口薫 著<公共貨幣> 東洋経済新報社 P-296


(4):信用収縮ー>GDP下落(古典的恐慌)(t=17)。
それだけではない。凄まじい勢いでさらなる信用収縮(クレッジト・クランチ)が起こる。例えば、株式、証券、、不動産等の金融資産価値が400兆円から紙切れになったとする。この400兆円の損失は、即企業の純資産の400兆円減少となり、企業はたちまち債務超過に陥る。この債務超過を減らすために、企業は17年度に営業活動で稼いだ200兆円を借入の返済に優先的にあててバランス・シートを健全にしようとする。企業はたとえ金利がゼロでもお金を借りず、優先的に借金返済に充てるのである。すなわち、利潤最大化行動から債務超過最小化行動にきりかえるのである。こうした行動は個々の企業にとっては、合理的となる。
この結果、返済分の200兆円の銀行貸出が減少し、同時に企業預金も減少して同額のマネーストックが減少する。なぜこんなことが起きるのかといえば、債務貨幣システムのもとでは銀行貸出は預金(マネーストック)をを増やし、返済は預金(マネーストック)を減らすからである。この結果、マネーストックは新たに200兆円減って790兆円となり、この信用収縮のために生産活動は冷え込み、GDPは減少する。個々の企業の合理的行動が経済全体でマネーストックを減らし、個々の企業の首を絞めるようになる。一般に合成の誤謬(Fallacy of Composition)と呼ばれる状態が発生する。こんな皮肉はない。こうした古典的な信用収縮を、リチャード・クーは、装いを新たにしてバランスシート不況と呼んでいる。

(5):国債発行ー>マネーストック回復 (t=20)。
この時点で不況脱出のために財政出動が不可欠となる。20年度で政府が新たに400兆円の国債を発行して財政出動を行うとする。図12.1の曲線4がこれを表している。銀行は企業貸出に代わって、政府に400兆円を新たに貸し出す。その結果、一時的に政府預金が400兆円増加し、同時にマネーストックが同額増えて、1190兆円となる。マクロ経済的には、企業の借金でマネーストックを増やす代わりに、政府の借金でマネーストックを増やすということになる。

ここで再度強調しておきたいが、債務貨幣システムではこのように誰かがお金を借りに来ないとマネーストックは増えない。お金の借り手が企業から政府に移っただけである。これで喜ぶのは利息収入が増える銀行であり、政府がお金を借りた場合には、労働者が汗水流して稼いだ税金で銀行に利息を支払うことになる。すなわち、所得の強制移転が労働者から銀行家になされる。債務貨幣システムで所得格差を発生させる根源的原因の一つがここにある。

(6):不況対策ー>政府債務増大(新タイプ不況)(t=22)。
政府はこのようにして借金で確保した400兆円を不況対策として新たに民間企業の救済支援に充てるとする。”Too Big Too Fail"という理屈、すなわち、潰すには余りにもその経済全般への影響力が大きすぎて出来ないといった屁理屈で市場原理に反して、大企業や投資銀行、証券会社を優先的に救済する。常日頃は市場原理、構造改革による経済の効率化を繰り返し主張する彼らも、こと自分の企業救済問題になると、自らの主張を容易に引っ込める。こうして支離滅裂な理屈が通ることになる。

その結果、民間企業の債務超過は、-400兆円+200兆円(バランスシート返済)+400兆円(政府救済)=200兆円の黒字となる。この企業救済支援の400兆円の債務返済は銀行貸出の減少となり、同時に企業預金も減少して同額のマネーストックが400兆円減少する。そしてマネーストックは、元の木阿弥の790兆円となる。曲線2参照。

この企業救済で何が生じたのか。マネーストックは増大しないので、経済活動は刺激されず、相変わらずの不況が長引くことになる。しかも、「泣きっ面に蜂」で政府の債務のみ積み上がることになる。政府の借金のみが増大し、不況は克服されないというこれまでのケインズ経済学では説明できないような事態が発生する。勿論、この時点で金利はほぼゼロと流動性の罠に陥っている。すなわち、伝統的なケイジアンの財政、金融政策では不況は克服できないのみならず、政府債務のみ増大し続けるという、第7章で分析したデッド・エンドに陥る。

続く・・・ 





小林
まさしく日本は長くこの状態が続いているんですね。

そして次の最終段階に突き進んでいってる場合なんですね。

先は暗いですね、どうも。
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