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<経産大臣指定伝統的工芸品> 京都 京くみひも

2021-06-11 08:55:58 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「京くみひも」

 Description / 特徴・産地

 京くみひもとは?
 京くみひも(きょうくみひも)は京都府京都市、宇治市周辺で作られている紐です。古くは平安時代から仏具や神具などの格の高い品に用いられ、皇族や貴族など位の高い人々の装飾品としても使用されたことから、都であった京都で発展していきました。
 絹糸等を用いて、手作業で美しい編み目の紐に組み上げ、紐の用途によって「平紐」、「丸紐」、「角紐」、「笹波紐」など組み方も様々で、その種類は300種にも及びます。多種多様な紐の組み上げに必要な道具も様々で、紐を組み上げる為に使用する台も用途によって使い分けられます。
 京くみひもの特徴は、複雑に組み上げられた繊細な編み目と優美な光沢です。また、優雅な見た目だけでなく実用面でも優れており、なかなか切れない強度と締めた時のしっかりとした締まり具合には定評があります。
 現在では、和装の帯締めの他にもアクセサリーやキーホルダーなど、より生活に親しみやすい小物も多く制作されています。

 History / 歴史
 京くみひも - 歴史

 くみひもは、縄文時代から簡単に紐を組んだ簡素なものから始まり、飛鳥、奈良時代に入ると大陸からくみひもの高度な技術がもたらされ工芸品として発展しました。当時に高度な技術で制作されたくみひもは正倉院に収蔵されています。
 平安時代に入るとそれまで中国の影響が強かったデザインからより和風の趣が強いものになり、貴族の雅な文化を反映して、より豊かな色彩に複雑な編み目を用いて貴族の冠の房や着物の装飾などを飾るようになります。
 室町時代になると茶道の影響を受け「わびさび」の精神が取り入れられ、それまでの華やかの印象から渋さを好むものに変わっていきます。また、武士の力が台頭してくるようになると、鎧兜にも京くみひもが用いられるようになります。
 江戸時代になると、それまで身分の高い人が用いていた京くみひもが、庶民にも広がっていきました。そして、明治以降、京くみひもは和装の帯締めとして欠かせない小物となっています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyokumihimo/ より

 

 古都一千年の絵巻を組み上げる、京くみひも
 くみひもの歴史は縄文土器にそのルーツをたどることができるほど古い。京くみひもは平安時代に工芸品として人気を集め、貴族たちの生活を彩る装飾品として様々な用途に使われた。その後も武具の飾り、神仏具の紐などに活用され、明冶からは帯締めなどの和装小物として愛用されている。

 
 親子二代にわたり伝統を受け継ぐ職人魂
 大岡さんのお父さんは14歳の時から87歳で亡くなるまでくみひも一筋に歩んだくみひも職人。丸台、角台、高台、綾竹台と四つの組台を自在にあやつる名工だった。「私は小さい頃からおやじの仕事を手伝っていましたが、くみひも職人にだけはなりたくないと真剣に考えていました。」そんな大岡さんも26歳の時、ついにくみひもを生涯の仕事にしようと決心する。以来40数年間、自宅二階の工房にある父親の代から使用している高台を初めとして、四種の組台を駆使してくみひもの伝統を守り続けている。


 伝統を受け継ぎながら新しいデザインへの挑戦
 くみひもは、人間が二本の手で作り出すことのできた最初の手工芸品のひとつと言える。正倉院の宝物の中にも多くのくみひもが見られるが、紐を組む基本は昔と少しも変わっていない。高麗(こうらい)組、新羅(しらぎ)組、唐(から)組、奈良組の四つの基本パターンをアレンジし、各時代ごとに応用発展してきた。
 大岡さんが一番楽しいのが、一般的なくみひもの工程に入る前の「綾描き(あやがき)」という作業。つまり、どんなくみひもを作るかというプランニングとデザインのこと。糸の細さから染め色、模様、どの組み方にするかを決めるのが職人の腕のみせどころというわけだ。小さなノートに描かれた簡単なメモから艶やかな一本の紐が誕生してゆく。もちろん気に入った色や柄を決めるまでには入念な推敲がくりかえされる。取材した時にもプラチナの糸で銀閣寺を織り込んだ高価なくみひもが高台に掛けられていた。


 しなやかに伸びて、じわっと縮むのがくみひもの真髄
 大岡さんが復元された亀甲貝の口模様という鎧(よろい)の胴紐を見せていただいた。400年前に加藤清正が徳川家康に献上した鎧に付いていた紐という重要文化財だ。本物は絹糸を草木染めして組み上げているため、時代とともに朽ちてぼろぼろになっていた。わずかに残った数センチの紐を参考にして大岡さんが復元したものだ。手に持つと重厚な組み目の感触が伝わって紐の端を持って立てるとピンと立つ。手首に巻きつけるとしなやかにカーブを描いて体に添ってくる。「本当に良いくみひもは50年使っても萎えません。伸びて縮む弾力性が手組みひもの真髄です。使えば使うほどぴったりと体になじんでくるんです。」紐のもつ魔力のようなものがじわっと手に伝わってくるような気がした。


 修学旅行生たちに人気の「一日くみひも体験コース」
 今までは社寺仏閣の見学ばかりだった京都での修学旅行だが、最近古都の伝統工芸を体験するコースが組み込まれ、学生たちに喜ばれている。工房を開放し伝統工芸士である大岡さんがじきじきに親切に指導してくれるので初めての人でも約2時間ほどで、立派なくみひもの帯締めが完成する。「せっかく自分で帯締めを作ったから、成人式は洋服にしようと思っていたけど、やっぱり着物を着たい。」と女学生が言ってくれた時はほんとうにうれしかったと優しい目をして大岡さんは語った。


 職人プロフィール

 大岡信重 (おおおかのぶしげ)

 1937年生まれ。
 自宅二階の工房を解放し、観光客や修学旅行生に丁寧に指導してくれる。2時間ほどで帯締めが一本作れ、仕上げをして当日持ち帰れる

 こぼれ話

 生涯、無名の一職人に徹する

 大岡さんが復元した「平成天皇即位の儀式用の紐」。三種の神器「鏡・勾玉・剣」を載せるクロスのふち飾りくみひもの使命は本来「結ぶ」ということです。主役となる何かを結ぶことによって、初めて脇役としての紐の使命を果たすことができます。工芸士による帯や着物は作者の名前が記名されていますが、帯締めや紐はどんなに真心こめて製作しても作者の名前を入れることはまずないと言えます。大岡さんは古いくみひもの復元を依頼された時、昔の職人の腕の確かさに驚嘆することがあると言います。近年では、平成天皇即位の時に、三種の神器を載せるクロスのふち飾りの紐の復元を依頼されて製作しました。「私も、生涯無名の一職人として、後世の人に恥じないように技術を出し尽くしていくつもりです。」と、職人魂は父親ゆずりのようです。

*https://kougeihin.jp/craft/0304/ より


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