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<経産大臣指定伝統的工芸品> 京都 京漆器

2021-06-13 08:11:08 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「京漆器」

 Description / 特徴・産地

 京漆器とは?
 京漆器(きょうしっき)は、京都周辺で作られている漆器です。また、茶の湯の文化と合わせて発展してきた経緯から、わび・さびといった内面的な美しさを持っています。
 京漆器の特徴は、他の漆器と比べて木地が薄く繊細な雰囲気を感じることです。その薄さにより、独特の繊細さがより強調されていると言って良いでしょう。
 京漆器で作られている伝統工芸品は、箸やお重といった食器類ばかりではありません。なつめ・炉縁・茶棚などの茶道具、進物盆・祝膳・文庫などの祝儀調度品、箪笥・飾り棚・花器などの家具や調度品も作られています。
 美しさだけでなく、丈夫さの面でも優れており、下地の工程で米糊などを使いません。下地で漆の割合が多いため、耐久性の高い堅牢な漆器ができあがるのです。ただし、漆の割合が多い分コストがかかり、漆の硬化管理でも手間がかかるという側面も持ち合わせています。

 History / 歴史
 京漆器は794年(延暦13年)以降に確立され、栄え始めたのは室町時代と言われています。茶の湯の文化とともに京漆器が広まりました。
 京漆器の装飾の1つである蒔絵(まきえ)が生まれたのは、奈良時代です。この技法が平安時代に受け継がれ、やがて平蒔絵や高蒔絵、研出し蒔絵などの技法が生まれていきました。寺院や貴族が蒔絵師を抱えるようになったのは、鎌倉時代からです。蒔絵のデザインにも、時代ごとの特徴が反映されるようになりました。
 安土桃山時代の京漆器は、優美でありながらも武士の好みも反映した華麗なデザイン。江戸時代になると、華やかさの中にも緻密で味わい深いデザインとなりました。特に本阿弥光悦のデザインは斬新で、尾形光琳にも影響を与えたのです。尾形光琳の確立した技法は、琳派として現代にまで受け継がれています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyoshikki/ より

 千年の都に花開く京漆器・京蒔絵
 京漆器は、「わび」「さび」といった内面的な深い味わいを備えた、気品と優雅さをあわせもつ。その洗練された、優れたデザインと技術・技法により、高級品においては他の追随を許さないものとして今日に至っている。

 
 茶道の世界で育まれた「わび」「さび」の美
 漆器の誕生は古く、縄文時代にはすでに漆が使われていた。京漆器に見られる“蒔絵”の起源は奈良時代。末金鏤(まっきんる)と呼ばれたその技術は、平安時代に受継がれて発展し、研出蒔絵や平蒔絵が完成された。長く政治や文化の中心として栄えた京都で、漆器もまた千年の歴史に育まれてきた。特に室町以降京都を中心にして栄えた茶の湯文化は、京漆器に深く影響し、研ぎ澄まされた美意識の中で「わび」「さび」といった内面的な味わいを備えてきた。今回は、漆芸の塗りと蒔絵にスポットを当て京漆器の魅力を聞いてみた。

 漆黒のかがやき、漆に惹かれて
 「塗師屋七職(ぬしやななしょく)」と言われる京漆器の世界。塗師屋が、すべての工程に携わる漆器職人を抱え、問屋(漆器屋)からの注文をこなしていることから、そう呼ばれるようになったのだろう。器物から家具類に至るまで、一点一点の注文品について、工程の進行を管理する。それぞれの職人が得意とする分野を考慮し、人の配分や仕事の振り分けを行う。
 大家さんはそんな塗師屋の2代目。山科に構えた工房で、自ら塗師としてヘラを握る。塗りの中塗り最終工程「上塗り」以外は、全て桧のヘラで錆を付ける(砥の粉+水+下地漆)。均一の厚さに、ヘラ跡を残さず付ける。神経を使う工程が続く。中でも「一番気を使うのは“上塗り”の工程ですね。ここで“ほこり”が入ってしまうと、やり直しがきかないんです」。上塗りに使う漆は、吉野紙を数枚重ね、最低でも3回は濾してから使う。漆の中に入り込んだ“ほこり”を取り除くためだ。上塗りをする日には、必ず朝から部屋中を雑巾がけするのだと言う。少しでも“ほこり”をたてないためだ。「上塗りの場合は、塗り始めると、お客さんが来はってもお会いできない事もあるんです」と言う。人の体や頭に付いている極小の“チリ”や“ほこり”は、空気が動くことで、それまで浮遊していたものが無作為に落ちてくる。だから「上塗り」の日だけは、「塗り始めたら全部塗り終わるまで、部屋にこもったまま、座りっぱなしで動けないんです」。
 気温26度。湿度が80~90%にもなる6月は、塗師にとっては受難月。塗ったさきから漆が乾き始める。漆を焼いた「“焼き漆”を使ったりして、乾きの速さを調節するんです。そうしないと、漆がすぐ硬くなって刷毛の跡が残ってしまう」。免疫ができてはいても、夏場は漆にカブレることもある。腕は火傷のように真っ赤になるのだという。大家さんにとって「角を切立てたような(くくり錆)形と、薄手に仕上がった製品に深みのある漆黒の艶。暖かみのある塗り肌。それに漆黒の中にバランスよく蒔絵されたもの。透け漆(朱合漆)を塗った溜塗。それ等が京漆器の最高の魅力」だという。

 京漆器の洗練された優雅さに気品を感じて
 蒔絵師 山下 義男さん。輪島で「塗師」を営む両親のもとに生まれた。終戦によって学徒動員から郷里に戻り、蒔絵を学ぶ。9人兄弟の三男坊。小さい頃から兄弟中で一番絵が得意だった。輪島塗の蒔絵を5年間描いた後、金沢に出て加賀蒔絵を10年描き続けた。その後、京都で40年漆芸に携わる。同じ「蒔絵」と言っても、輪島と加賀、京都ではまるで漆器の味が違う。背景となる文化も、蒔絵に求められる美意識もまるで違うからだ。
 蒔絵を描く土地が変わる度に、絵を勉強した。「百貨店に行って、着物の柄とか、その土地で好まれる図柄を見て回りました」。“いいな”と思う図柄は、小さな棗(なつめ)や小盆など、自分で買える範囲の小物を買って、何度も何度も描いて習得した。
 「学校を出て、ちゃんと勉強してきたわけじゃないですから」。その思いが、逆に山下さんを貪欲にした。見るもの、聞くもの全ての感覚が「学びたい」という一心から、蒔絵のアイデアに結びついた。近所の酒屋で貰ったカレンダーの写真を見て「この背景に山を描き入れたらいい図柄になるなぁ」と思った。遠景の山をバックに、こんもりとした北山杉を炉禄(ろぶち)に描く。杉葉に厚みを持たせたいと、毎日の仕事の中で払い落とされ、少しずつ溜まっていた金粉を、何度も何度も漆の上に蒔いた。“北山杉”では図案が特殊すぎて「売れないよ」と言われた。だが、その炉禄は知事賞を受賞。茶人に好まれ展示会会期中に売約が入った。何が、どんな人に好まれるのか。山下さんの“目”の確かさを物語るエピソードだ。夕食時サザエを食べながら、殻を並べていた時のこと。「これは座りが悪いのかな」と、箸を置いた。10個程あったサザエのうち一つがスックと立った。そのサザエが漆器展で「理事長賞」に。アイデアは尽きることがない。
 その山下さんにとって、京漆器の魅力とは何だろう。「垢抜けして、しかもキンキラと派手にない魅力。洗練された、という一句に尽きます」。輪島に生まれ、加賀で育って京に花開いた蒔絵師。漆器と共に生きた半生だ。

 職人プロフィール

 大家忠弘 (おおやただひろ)

 昭和12年2月15日生まれ。
 京漆器漆芸家。
 伝統工芸士
 京都府伝統産業優秀技術者
 京漆器伝統工芸士会副会長
 匠会役員
 京都漆器工芸協同組合理事
 京都伝統工芸専門学校講師


 山下義男 (やましたよしお)

 昭和4年8月16日生まれ。
 京漆器蒔絵師。
 伝統工芸士
 京都府伝統産業優秀技術者
 勲七等青色桐葉章受賞(平成11年秋)
 京都漆器工芸協同組合理事
 京都伝統工芸専門学校講師


 こぼれ話

 週末のホームパーティーに「和」の小物

 球形の美しいワインクーラは、漆器で出来ています。螺鈿を施した徳利も個性的で「和」のモダンな雰囲気。漆器は「ジャパン」と呼ばれるほど世界中で知られています。パーティには欠かせないアイテムも「京漆器」で揃えれば、洗練された雰囲気になります。最近では、棗風のお猪口や、上下どちらでも使える鼓形の酒器も人気です。

*https://kougeihin.jp/craft/0519/ より


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