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学生無年金訴訟もどき新聞記事

2005-04-23 14:39:59 | Weblog
○学生時代に重い統合失調症を発症したが、国民年金への未加入を理由に障害基礎年金を不支給とされた福岡県内の元学生の男性が国などを相手取り、不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の判決が22日福岡地裁であった。
 一志裁判長は、障害の発症が障害基礎年金の支給対象となる20歳前と認定し、不支給処分の取り消しを命じたが、賠償請求は退けた。

 判決によると、元学生は大学に入学後、19歳のとき、不眠を訴えて医院で受診。20歳の86年12月、統合失調症と診断された。98年5月、県に障害基礎年金を請求したが、県は国民年金に入っていなかったため不支給とした。社会保険審査会に審査請求したが、01年4月に棄却。

<解説>
 これ、新聞の内容わからないんです。
 20歳までの間に、重い障害になった場合は、20歳から国民年金の障害年金がもらえます。
 保険料を払うのは20歳以降ですから、19歳までの間は支払義務はなく、一律障害者には20歳から年金が支給されます。
 現実に、障害者の通所する施設ですと、全体の通所者(入居者)の何分の一とかが、そういう障害年金を貰っている人だったりするそうです。

 この裁判の原告の元学生は19歳の時点で予兆が表れ病院に行ったようです。そして新聞記事から推測すると、障害の固定した日(通常は初診日から1年半後)に、「所定の障害状態になっていない」と判断されてしまったため、審査請求、提訴にもちこんだということ。

 学生の無年金の問題は、20歳を過ぎた学生が加入が任意加入なので保険料を大抵の人が払っておらず、かつその間に重い障害になったため、障害年金を受けられないことが問題になったのです。だから、そもそも「20歳になる前に障害状態」であった場合には、年金は支給され問題は発生しない。

 この学生の場合、19歳で病院に通院し始め、20歳の時点で障害年金を請求したのに「所定の障害状態に該当しない」と認められ、さらにその後「学生として大学在学中に病気が進行し所定の障害状態になった」場合にのみ、「学生障害者の無年金」の問題が発生します。

 今回、「障害が19歳で発生し、20歳で障害認定された」と裁判所が認めてしまったら、学生無年金障害者の問題がなく解決がついてしまうと思うんですが。

 なんだか新聞の見出しをよむと、学生が訴訟を起こしたら、全部「学生無年金訴訟」となるみたいですね。新聞には、同様の訴訟は9地裁で起こされ、東京、新潟、広島の3地裁で「無年金学生に国が立法措置をしないで放置したのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」との判決が出た。しかし、3月にあった東京高裁の控訴審判決では、元学生側が全面敗訴したとありますが、「ちっとも同様な訴訟じゃないと思うのですが、新聞だけでは、「争点が何」だったかわかりません。
 
 わしの読み方が足りないのかなあ。なんで新聞が学生無年金訴訟とからめているのかわからない。どなたかご存知でしたら教えてください。

 あと、もう一点
 「98年5月、県に障害基礎年金を請求したが、県は国民年金に入っていなかったため不支給とした。」 えええっ、障害基礎年金を県に請求するなんて聞いた事ないですよ。で損害賠償は、国を相手取ってか。県もいい迷惑でしょう、こんな記事を書かれるのは。当然ですが社会保険事務所は国の機関(現行)です。単なるミスか、はたまた、障害年金は何処が支給するのかすらわからないで適当に記事書いているのか。

 こんな間違いは見た時点で何もいう気が起こらなくなります。てか、この報道自体正しいのかな、と疑問が増幅してしまう。



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