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哀しいタナゴたち

2008-06-15 23:56:33 | タナゴの飼育
3年前に、息子と小川でタナゴを捕まえたことをきっかけに、タナゴの飼育を始めました。とっかかりは、子供の社会勉強のためでした。子供はいつものように途中で面倒を見なくなり、以後は、私が我家のタナゴ担当となりました。

でも、日本の四季は変化に富んでいます。都心でタナゴが生きていく生態系を維持することは、非常に難しく、暑い夏や厳しい冬を乗り越えられないタナゴが何匹もいました。
小川で元気に泳いでいたタナゴを捕まえ、そして死なせてしまったことに、何か、後ろめたい気持ちを感じています。稚魚を増やせば、その罪滅ぼしができると考え、必死にタナゴを育てました。

また、子供の頃、ふるさとの小川には、タナゴが捨てるほどいました。小学校の帰りに、近所の悪ガキと一緒になって、ドジョウ、フナ、タナゴをとったことを思い出します。タナゴは、トンボ、蝉などと同じく、子供の頃の大切な登場人物なのです。

でも、昔遊んだ小川は、コンクリートの川にとって代わり、農薬汚染も加わって、二枚貝(ドブガイ、イシガイ等)が死滅してしまったため、タナゴは子孫を残すことが出来なくなってしまいました。タナゴはこれら二枚貝に卵を産み付けます。
かろじて生き残ったタナゴも、繁殖力旺盛な外来魚に駆逐され、あれほどいたタナゴは、現在では、一部地域を除き、壊滅状態になっています。

滅び行くタナゴの話を聞くと、あたかも、学んだ小学校が取り壊され、或いは、子供の頃の懐かしい写真が捨てられてしまったような、とても哀しく寂しい気持ちになります。

私の訪れたい遺跡の一つに、南米のマチュピチュがあります。マチュピチュは、スペイン人によって滅ぼされたインカ民族が残した壮大な遺産です。滅んだ文明、滅ぼされた民族には、何故か引きつけてやまない哀愁を感じます。タナゴとインカ帝国。共通するのは滅びゆくことの哀しい運命です。

滅びゆくタナゴを、稚魚を増やすことで少しでも救ってやりたい。大げさですが、そんな気持ちもタナゴを飼育している理由の一つです。稚魚が生育したら、生態系を壊さないように注意して、捕獲したふるさとの小川に戻してやる予定です。



しかし、今の環境破壊がこのまま進めば、遅かれ早かれタナゴは全滅してしまうでしょう。環境破壊の例として、よく氷山の氷解があげられますが、タナゴは、身近にいる環境破壊の被害者であり、警告者であると思います。こんなか弱い魚さえ守ることが出来ない人間に、本当に環境問題を解決する力があるのかと、疑問を感じてしまいます。


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