がんばれナラの木

震災にあわれた東北地方の皆様を力づけたくて
The Oak Treeを地方ことばに訳すことを始めました

ヨーロッパナラの話 ペドロ・カルヴァーリョ

2011年03月01日 | 資料
ナラの木 解説 ペドロ・カルヴァーリョ, 和訳 高槻成紀
カルボシュ村のナラの木は私たちを畏敬の思いで満たしてくれます。この老木は多くの人々にとってお母さんのようでした。「彼女」は無数の世代が訪れては去って行くのをながめ、動物にも人々にも食べ物を与えてくれたのでした。


ポルトガル北部にある「太っちょナラの木」

数字と詳細
学名 Quercus robur L. (クエルクス・ロブール)
ふつうの呼び名:カルヴァーリョ・アルバリンホ
高さ:29メートル
樹冠直径:35.5メートル
幹の周囲:11.4メートル
日本語:ヨーロッパナラ(欧州楢)

どこ
環境センター:カルボシュナラの解説
 このセンターはカルボシュ村にあります。この村はポヴォアデランホーソ市の近くにあり、ポルトガルの有名な植物学者にして民俗学者のゴンサロ・サンパイオの故郷です。ここでは教育と森林保護活動をしており、地域に貢献する農場と店もあります。面積は3.1ヘクタールあり、アロマと薬草の農園です。

だれ
 カルボシュ村の偉大なナラの木は500歳から1000歳と推定され、珍しいようすは「自然」を能弁に語ってくれます。人々はこの木の木陰を楽しみに訪れます。
 二十世紀の最後の十年、農業を進めようという試みや不動産業が伐採しようとしたため苦難にあいましたが、それはこの木の幹に大きな空洞ができたからです。空洞のおかげで年輪が数えられず、年齢がわかりません。1999年頃、彼女は枯れ枝とガンを切除するため手術台に載せられました。手当をされて、枝を支えています。今は背の高い「息子」(下の写真)に囲まれてふたたび幸せに暮らしています。彼女にはイギリスのシャーウッドの森に「メジャーオーク」(大楢といったところか)という名の兄さんがいます。


「太っちょナラの木:の「息子」(とはいえ人の大きさと比べてみよう, 高槻)

知っておくといいこと
ヨーロッパナラ(クエルクス・ロブール)
高さ35メートルになれる。樹冠はだいたい円形。
葉:落葉性でふちは波々。葉も枝も無毛。
花:花は雌雄異株。雄花は尾状花序。雌花は花柄に1-5の房。
開花:4-5月に開花するが、同じ株では自家授粉を避けるために雌雄の開花期がずれる。風媒花。
果実:秋にドングリが稔る。



リンネはこの木に強く、硬いという意味の「ロブール」と名付けました。ナラの木は城や軍艦の用材となり、世界を巡り、その昔日本にも行きました。
 土壌を肥沃にするため、ナラの林は農業に利用されました。
ナラの木がドングリを稔らせるようになるいは60年はかかりますが、稔るとなると300万個ものドングリがなり、カケスやほかの動物が運んでくれます。ポルトガルでは小麦を作るようになるまでは人々はドングリ湖でパンを作っていました。

知ってましたか?
ポルトガル中がヨーロッパナラやほかのナラの木に被われていた時代があります。おかげで地面がドングリでいっぱいになり、雨が降ろうものなら、海まで流れ込んだのです。マグロはドングリが大好きなので、マグロのことを「海のブタ」(ブタはドングリが大好き、高槻)といったほどです。

歴史を少々
ヨーロッパの森林の歴史は人の活動と密接に関連しています。ひとことでいえば、人が住むようになって長い時間をかけて森林が切り開かれ、形を変えました。完新世の初めにはほとんどの国はナラ林に被われていました。新石器時代に人類が定着すると森林伐採が始まりました。土地は農地に変わり、森林は伐採されました。現在ポルトガルではナラ林が占めるのは森林のわずか4%にすぎません。
現在ヨーロッパの森林で攪乱を受けていないのはわずか5%(これはスエーデンの面積の半分以上)にすぎません。残りの95%は植林(在来種、外来種を含む)あるいは天然更新の林です。

ペドロさんと高槻の交流

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