ナラの木
鈴木直(すずき・なおし)(横浜市在住, 山形県天童市出身)
山形県天童版
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/24/1f30dddb39ca45ae7e1d36eb71e49fba.jpg)
ある見晴らすのええ山の上さ
どっすり天までとどくようなふといナラの木が一本
ずんとそびえておったど
そすて そのナラの木のまわりでは
いつも子どもやら どうぶつやら とりたちが
楽すく遊んでおったんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e9/c1ff092cc2fb225ff6eea299280cbbaf.jpg)
ある日のこと
きゅうに空がくもり出してよ、
ものすごい風が吹いてきたんだと
ひるも夜もよ ぶっとおす 吹いてよ
ナラの木のほとんどのはっぱを吹ごとばし、
枝をびゅんびゅんとゆすってよ
木の皮さも ひっぺがるほどだったど
子どもだづもどうぶつだつも とりだつも おそろすくって
みんなにげ出したんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/86/587b7be5fe14af2b10a5fe9eb1df74d0.jpg)
「やーい、はやぐぶったおれろ!!」
風は歯をむきだすて おそいかかったど
なにくそ、おれは負けんもんか
でも ほんとうは こわくなってきた。
まわりの木はばたばたと みんな倒れてすまったからよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/ed/dffdb8b83ad8ee083d61da3235921716.jpg)
ナラの木はついに皮をはがれて
まるはだかになってしまったど
それでも地面(づめん)さ すっかりと立ておった。
まわりのほかの木はみんなぶったおれてすまったど。
いくら吹いでも倒れないナラの木を見て
風はくたびれてすまった。
あきらめてすまった風はナラの木さ言(ゆ)ったんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/36/6532e93a2b5b2b6a6e9be08404aad166.jpg)
「やーい、ナラの木よ
おまえはどんなになっても
まだどうして立っておられるんだ」
そこでナラの木はゆったんだど
「おまえはおれの枝を折ることも
ぜんぶの葉っぱを吹きとばすことも
枝をゆらすことも
おれのからだをぐうらぐらとゆらすこともできるんだべ、
でもよ、おれにはよ
大地さひろがる根っこがあるんだ。
生まれたときから 少すずつ 強くなってきたんだ。
おまえはこの根っこさは ぜったいさわらんない。
わかんねえかよー。わかるべちゃ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/e6/a967511f50884805a93f801f6eb1062c.jpg)
根っこはよー おれの一番(いつばん)深い深い大事なとこなんだ。
実はよー 今日までおれは自分(ずぶん)のことが
よくわかっていなかったんだ。
自分(ずぶん)自身(ずすん)がいったいどのくらい
ものごとさ がまんできるんだべがをよ。
それがよ、ありがたいことに
今日わかったのよ。
自分(ずぶん)が知(す)っていた自分(ずぶん)よりも
おれはずっと強くなったんだとゆうことをよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/1a/b582b1c7efc78596cb985305ad73d61a.jpg)
そしてあのすごかった風も
今は去ってナラの木のまわりには村の子ども達(だつ)がまた集まり
どうぶつ達(だつ)や小鳥達(だつ)も集まり
楽すく過ごすようになったんだとさ
鈴木直(すずき・なおし)(横浜市在住, 山形県天童市出身)
山形県天童版
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/24/1f30dddb39ca45ae7e1d36eb71e49fba.jpg)
ある見晴らすのええ山の上さ
どっすり天までとどくようなふといナラの木が一本
ずんとそびえておったど
そすて そのナラの木のまわりでは
いつも子どもやら どうぶつやら とりたちが
楽すく遊んでおったんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e9/c1ff092cc2fb225ff6eea299280cbbaf.jpg)
ある日のこと
きゅうに空がくもり出してよ、
ものすごい風が吹いてきたんだと
ひるも夜もよ ぶっとおす 吹いてよ
ナラの木のほとんどのはっぱを吹ごとばし、
枝をびゅんびゅんとゆすってよ
木の皮さも ひっぺがるほどだったど
子どもだづもどうぶつだつも とりだつも おそろすくって
みんなにげ出したんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/86/587b7be5fe14af2b10a5fe9eb1df74d0.jpg)
「やーい、はやぐぶったおれろ!!」
風は歯をむきだすて おそいかかったど
なにくそ、おれは負けんもんか
でも ほんとうは こわくなってきた。
まわりの木はばたばたと みんな倒れてすまったからよ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/ed/dffdb8b83ad8ee083d61da3235921716.jpg)
ナラの木はついに皮をはがれて
まるはだかになってしまったど
それでも地面(づめん)さ すっかりと立ておった。
まわりのほかの木はみんなぶったおれてすまったど。
いくら吹いでも倒れないナラの木を見て
風はくたびれてすまった。
あきらめてすまった風はナラの木さ言(ゆ)ったんだど
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/36/6532e93a2b5b2b6a6e9be08404aad166.jpg)
「やーい、ナラの木よ
おまえはどんなになっても
まだどうして立っておられるんだ」
そこでナラの木はゆったんだど
「おまえはおれの枝を折ることも
ぜんぶの葉っぱを吹きとばすことも
枝をゆらすことも
おれのからだをぐうらぐらとゆらすこともできるんだべ、
でもよ、おれにはよ
大地さひろがる根っこがあるんだ。
生まれたときから 少すずつ 強くなってきたんだ。
おまえはこの根っこさは ぜったいさわらんない。
わかんねえかよー。わかるべちゃ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/e6/a967511f50884805a93f801f6eb1062c.jpg)
根っこはよー おれの一番(いつばん)深い深い大事なとこなんだ。
実はよー 今日までおれは自分(ずぶん)のことが
よくわかっていなかったんだ。
自分(ずぶん)自身(ずすん)がいったいどのくらい
ものごとさ がまんできるんだべがをよ。
それがよ、ありがたいことに
今日わかったのよ。
自分(ずぶん)が知(す)っていた自分(ずぶん)よりも
おれはずっと強くなったんだとゆうことをよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/1a/b582b1c7efc78596cb985305ad73d61a.jpg)
そしてあのすごかった風も
今は去ってナラの木のまわりには村の子ども達(だつ)がまた集まり
どうぶつ達(だつ)や小鳥達(だつ)も集まり
楽すく過ごすようになったんだとさ