がんばれナラの木

震災にあわれた東北地方の皆様を力づけたくて
The Oak Treeを地方ことばに訳すことを始めました

「とても」

2011年04月20日 | エッセー
「とても」 

最近の若い人は「むっちゃ寒い」などというが、去年くらいは「チョー寒い」というのをよく聞いた。この「強調」はつねに変化し新しいものが次々と生まれてくる。ことばが生きていることの証拠であるとともに、古い世代が不機嫌になることでもあるが、これは明治時代以降でもずっと繰り返されてきたことだ。
 「ナラの木」の方言訳をみると、場所的にも変異が大きいようでおもしろい。わずか18の事例であるにもかかわらず、以下のようであった。

すごい系:すごぐ(庄内)、すんげえ(会津)、すげえ(中通り)、すーごい(相良)
ずいぶん系:ずんぶ(津軽1)、ずいぶんと(仙台)
たまげた系:たまげで(八戸)
うんと系:うんと(盛岡1、遠野)
たいした系:てえした(盛岡2)
まず系:まず(村山)
何だって系:何だって(置賜、浜通り)
やたら系:やだら(いわき)
その他:うだでぐ(津軽2)、えがい(茨城1、茨城2)、ごうぎな(長岡)

 これをみると共通だったものが2つあるだけで、ほとんど場所ごとに違うといってよいほど変異が大きいことがわかる。これらは北日本に偏っており、日本の方言は愛知あたりで大きく分かれるから、西日本の訳があればこの違いはさらに大きくなるに違いない。
 同じことばのなかに、変化の激しいものと安定したものがあるのはおもしろい。この、形容を強調する「とても」にとくに変化が大きいというのは、ことばの性質を考えるヒントになるように思う。同時に英語ではそういうことがないように感じるが、ほんとうにそうなのであろうか。もし英語では不変であるとすると、その違いはどこから来るのか、日本語の性質を考えるきっかけにもなるかもしれない。

2011.5.22


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