がんばれナラの木

震災にあわれた東北地方の皆様を力づけたくて
The Oak Treeを地方ことばに訳すことを始めました

ナラの木 盛岡1

2011年09月30日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 
岡澤敏男さん訳、盛岡地方版1   



うんと強え風っこ吹いだのす
昼まも よぴても
ナラの葉っぱをみんなふっとばし
枝っこをびゅんびゅんゆさぶり
木の皮っこも むげるくれぇであんした
おしめぇに ナラはまるっきり裸であんしたが
ほんでも地面さ すっかど立っていたのす
ほかの木はみんなぶったおれあんした
こやぐなって風っこは
あきらめで聞いたのす
「ナラっこ、なしてまだ立ってるのすか」
ナラはしゃべった
「おめぇはおらの枝っこ折ることも
ずっぱり葉っぱを吹っ飛ばすことも
枝っこ揺さぶることも
おらをゆさゆさ揺することも
できるンべど
おらには大地さひろがる
根っこがあるのす
おらが生まれたときから
びゃっこづつ強えぐなったのす
おめぇさんは根っこさは なじょしても触れねぇのす
わかるンべ
根っこはおらのいずばん深けぇどこさあるンだべ
ほんでも、今日まで
おらもよぐわからねがったのす
おらはどれくれぇのこと がまんせるべがと
そだども、ありがてぃことに 今わかりあんした
おらの知ってたよりも
おらは強ぇぐなっていたのでがんすよ」


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 盛岡2

2011年09月29日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 
小野寺瑞穂さん訳、盛岡地方版2   


てぇした強え風っこ吹きあんした
昼といわず晩げといわず
よっぴてナラの葉っぱこみんな吹っとばし
木の枝も何(な)もびゅんびゅんと揺さぶり
木の皮も むげるくれぇであんした
終(すめ)ぇにナラはまるっぱだかになってしまいあんした
ほんでも地面さ すっかりと立っていあんした
ほかの木はみんなぶったおれてしまいあんした
こえぐなってしまった風は
あきらめで聞いたど
「ナラの木よ、なしてまだ立ってるにいいのょ」
ナラの木は答えたど
「おめぇさまはおらの枝(いだ)っこ折るごとも
葉っぱもみんな吹っ飛ばすことも
枝っこ揺さぶることも
おらのこどゆさゆさ揺するこどもでぎるンべぇ
でも おらには大地さ広がった 根っこがあるのす
おらが生まれたときから
べっこづつ強えぐなって来(き)あんした
おめぇさんはおらのこの根っこさ なじょしても触(さわ)れねえ
わかるンべ
根っこはおらのいずばん深けぇところにあるからなす
ほんとは今日まで
おらにはよぐわかっていねかったのす
おれ自身(じすん)どれだけのことにがまんできるものなのか
そんだども、今おかげでわかりやした
おらが思(おべ)てたよりも
おらはもっともっと強ぇぐなっていたったのス」

ナラの木 遠野

2011年09月28日 | ナラの木 地方訳
ナラの木
立木浩子さん訳、遠野版 2011.4.13   


うんと強え風っこ吹いだずもな
昼まも 夜ながも
ナラの木の葉っぱ まるっきり吹っとばして
枝っこびゅんびゅん揺さぶって
木の皮も むげるくれぇだったずもな
おしめぇに はぁ ナラはまるっきり裸だったずが
ほんでも地面さ どっかど立ってらったずもな
ほかの木は みんなぶっ倒れでしまったずも
こえぐなってぇ風っこは
あぎらめて聞いたんだず
「ナラっこぉ、なしてまだ立ってられるんだべ?」
ナラはしゃべったずも
「おめぇはおらの枝っこ折るごども
葉っぱまるっきり吹っ飛ばすごども
枝っこぉ揺さぶるごども
おらをゆっさゆっさど揺するごども
できるごったぁども
おらさはぁ 大地(こご)さ広がる
根っこある
おらぁ生まれたどぎがら
ぺっこづつ強えぐなったもや
おめさんはおらの根っこさ 
なんちょにしても触れねぇんだが
わがんべ
根っこはおらのいぢばん深けぇどこさあるがらなぁ
だぁれ今日まで
おらもそのごど よぉぐわがってねがったじゃ
おらがどれくれぇのこと がまんでぎんべがずぅごど
んだども、今おがげではぁ わがったもや
おらが おべでらったよりも
おらぁ うんと強ぇぐなってらったじゃ」

楢ぬ木 岩手県ケセン語版

2011年09月28日 | ナラの木 地方訳
   ぎ           やまうらはるつぐ
楢ぬ木 ケセン語*版 山浦玄嗣さん訳 2012.9.25



おお
大風ァ吹いだ、ドドドドど。
よ ふとい ひ ふとい
夜一夜、日一日、ドドドドど。
なら     
楢ぬ木の葉ァ吹っ飛ばし、
        ぱじ        へ  ぺ
大枝ァ折っ弾ぎ、皮まで引っ剥がし。
楢ぬ木ァヘコヘコ丸裸。
楢ぬ木ァ、んだども立ってだった。
       ねむ
他の木ァみんな根捲りに
          ぶ
ドドドドドーど打っ倒れだ。
おおぜ       かだ
大風ァ音ェ上げで語ったづゥ。
     にっし なぞ
楢ぬ木ィ、主ァ如何にして
まア
未だそうして立ってだれ?
    こで  かだ
楢ぬ木ァ答ァで語ったづゥ。
いガ   にっし   えだアど
如何にも主ァ俺ァ枝等ォ
           ぱじ
ベギバギベギバギ折っ弾ぐ。
葉っぱァみんな吹っ飛ばし。
    どツぱら        ほろ
手足も胴腹もミッチミッチ揺ぐ。
       つぢ な
んだども俺にァ土ん中さ
     ど   おが
種っこの時がら成長って伸びで、
ふッか
深ぐ張った根ァあんだ。
にッし ちょ
主にァ触されねァ根ァあんだ。

理解ったべァ。
         そ
これごそァ俺ァ底力。

           で
何処まで俺ァ辛抱出来っか、
              
今日まで俺もわがってながった。
                
んだども今ごそハッキリわがった。
にッし 
主ァお陰だ、ありがでァ。
             つそ
思ってだよりも俺ァ強い。


*ケセン語は山浦先生のお考えでは「方言」ではなく独立した気仙地方のことばです。気仙地方とは大船渡市、陸前高田市、住田町、三陸町などを含む旧気仙郡を指します。
「ガ」行と「が」行の表記について。「カ」行の濁音である「ガ」行は「ガギグゲゴ」に下線で表記し、鼻濁音は「がぎぐげご」で表記しました。

ナラの木 岩手県水沢版

2011年09月28日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 岩手県・水沢版 冨田祐一さん訳 2012.6.2



だんがだんがどまんつ強ぇ風ぁ吹いだった
真っ昼間っからずーと夜っぴで
ナラの木の葉っぱばみんな吹っ飛ばし
枝ばばっつぁばっつぁど揺がし
木の皮もビリビリッと引っぱがす位ぇでぁんした

何たらやぁナラの木ぁ素ッ裸になっつまった
だども、地面さ真っつぐに立ってらった
ほがの木だハァみんなぶっ倒れでしまったっけ

吹ぎくたぶれですまった風はハァ
呆れけぇって言ったったのス
「ナラの木よォ、なすてまだ立ってぇられんだべ?」

したれば、ナラの木ぁしゃんとして言ったっけ
「あんだハ、俺ぁの枝ッコ折るごども
葉っぱどいう葉っぱば全部吹っ飛ばすごども
枝ッコほろぐごども
俺ぁをゆっさゆっさど揺ぶるごどもでぎやすっぺ

だども俺ァにはハァこの大地さ広がる
根ッコつうものがありぁす
俺ぁが生まれだどぎがら
びゃっこづづ強ぇぐなりゃんすた
あんだハ、この根ッコさハァ、絶対ぇに触れねェべ

わがりぁすぺ
俺ぁの一番深ぇどごにあるのがこの根っこだったのス

実はハァ今日びまで
俺ぁには分がってねぇがったのス
俺ぁ自身が、どんだげ物ごどに我慢し耐えるごどでぎるのが、ってごどを」
んだども今の今、お陰さんではっきり分がりぁすた
俺ぁが思っていだよりも
俺ぁはハァ、もっともっと強ぇぐなっていだったのでがすヨ」

ナラの木 宮城県唐桑版

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木
畠山信さんの友人訳 2011.10.28
宮城県唐桑版 



なんだもねぇ風ば吹いだどよ
昼だり夜だり
ナラの木の葉っぱば さっぱど吹っ飛ばし
枝こばあったげ 揺らして
木の皮も引っぺがすほどだっつぁ
しまいにナラの木はだがになったどよ
そんでも土(つぢ)さ しっかど立っておりした
よその木ば さっぱど倒れでだども
うざねはいだ風ば
しかだなぐなって言ったど
「ナラの木、なしてまだ立ってられんのっさ」

ナラの木ば言ったど
「あんだば おれの枝こ折るごども
さっぱど葉っぱ吹っ飛ばすこども
枝こゆすっこどもできっぺよ
んでも おらさば土(つぢ)さ広がった
根っこあんのっさ。
生まれでがら すこっつず強ぐなったのっさ
あんだば なじょしてもこの根っこちょせねぇべよ

わがるすぺ
根っこばおらの一番深けどごなのっさ
そんだべ おら今日まで
なんぼも分がってねがった
おらなんぼばり苦労でぎんのが

んだけんと 今分がりした
思ってだより
ずっと強ぐなったのっさ


ナラの木 石巻

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 石巻版 新沼慎二さん訳

風っこ なんぼつえがったんだべ
日ながも夜ながも びゅーびゅーど吹いで
ナラの木だら 葉っぱ吹っとばされで
枝っこ ばぎばぎど 折れで
木の皮まで ひっぺがされっかど 思うくれだった。

んだべす ナラの木 ぼろぼろになってすまって
そんでも ずめんさ けっぱって 立ってだんだど
ほがの木っこら みんなぶったおれですまってもよ。

風っこ あ~こぇ~って ねぇあげで 言ったんだど
「ナラの木 おめぇ なんでまだ立ってられんのや?」
ナラの木 言ったど
「おめぇは、おらの枝っこ折っこども 葉っぱ吹っ飛ばすごども
枝っこゆすっこども おらをひんまげっこどもでぎっすぺ。
んだげっと、おらには つぢんながさ伸ばすた 根っこがあったんだ。
おら、生まれだどぎがら ちょごっとずづ 伸ばすてだんだもの。

おめぇは、おらの根っこは ぜってえ ちょせねのっちゃ。
わがったすぺ、根っこが おらのいぢばんでえじなどごなのっしゃ。
おしょすぃげっと おらも今日まで よぐわがんねがったんだ。
おらが どんだげのごどさ いずっこ張れんのが。
んだげっど、ありがでぇごど。
おら いまごろわがったのっちゃ。
おらぁ、おらが思ってだより、ず~っと、つえぐなってらんだなぁって。」

2015.4.30

ナラの木 仙台

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 
佐山暢一さん訳、社団法人仙台市シルバー人材センター会員一同監修、仙台版     



ずいぶんと強い風が吹いだっちゃ
昼間(しんま)どなく夜中(よなが)どなく
ナラの木(ち)のみんな葉っぱばふっと飛ばす
枝(いだ)っこをびゅんびゅんと揺らがすて
木(ち)の皮もひきはがすんではねいがとおもった
ついぬナラの木(ち)はすっぱだかになってすまった
そんでも地面(ずめん)さすっかり立っていだっちゃ
ほがの木(ち)はぜんぶ倒れてすまった
つかれてすまった風は
あぎらめで言ったっちゃ
「ナラの木(ち)よ、どうすてまだ立っていられんのしゃ?」
ナラの木(ち)は言ったつちゃ
「あんだはおればの枝(いだ)っこをへしょるごども
ぜんぶの葉っぱばをふっと飛ばすごども
枝(いだ)っこを揺らすごども
おればをゆさゆさと揺するごどもでぎっちゃ
んでも おれぬは土(つづ)さ広がる
根っこがあるす
おらが生まれた時(とじ)から
少すずつ強くなるすた
あんだはこの根っこさ決すて さわれねっちゃ
わがんべ
根っこはおれの一番(いずばん)深げいどころっしゃ
実(ずづ)は本日(ほんずつ)まで
おれはそんごとがよくわがんねでいだっちゃ
おれ自信(ずすん)がどんだけかがまんでじるがを
んでも、今すがたおかげでわかりすた
おれが知(す)っていたよりも
おれはずっと強くなったのしゃ」


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

楢の木 庄内

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
楢の木
佐藤さん訳, 庄内版 2011.3.30    


すごぐ強え風が吹いだ
昼間も夜ん間も
楢の木の葉っぱどご んな吹っ飛ばし
枝どご びゅんびゅんど揺らし
木の皮も引ぎはがすほどだった
ついに楢の木は丸はだが なてしまた
それでも地面さしっかり立ったけど
ほがの木はみんな倒れでしまた
すっかりくたびっでしまた風は
あぎらめで言うた
「楢、なしてまだ立てらいんなだ?」
楢は言うた
「オメはオレの枝折っごども
葉っぱどご んな吹っ飛ばすごども
枝どご 揺らすごどもでぎる
でもオレさは大地さ広がる
根っこがある
オレが生まっだどぎがら
少しずつ強えぐなた
オメはこの根っこさ決してさわらんね
わがんでろ
根っこはオレのいぢばん深っけ部分だなだ
実は今日まで
オレはよっくわがてねがった
自分自身がどったげものごどさ耐えらいっがどご
んでも今ありがでごどに
わがた
自分が知ってだよりも
オレは強ぐなたなだ


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 山形県村山

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木  
鈴木尚さん訳、山形県村山地方版   


まず まんず たいした 強い風ふいだもんだ
昼も夜もなぐ ふいだんだ
ナラの木の葉っぱ ぜんぶ ぶっ飛んでよ
木の皮までひっぱがされるぐらいなんだっけ
しまいにはよ ナラの木 はだがだべっちゃ
ほんでもよ 地面さぁちゃんとたってだんだぁ
んだげんと ほがの木は みなた倒れだんだ
くたびっではぁ こわくて 風が あぎらめで ゆったど
「ナラの木・・・おまえ なして立ってられるんだ?」
ナラの木 ゆたんだど
「おまえは 俺ば わさわさ ゆすたり 
枝揺らして折ったりでぎんべ
んだげんとも 俺には地面の下さ張った根っこあるんだ
俺は んまっだどぎがら 
ちょぺっとずづだげんと 強ぐなってきたんだ
おまえはよ 俺の根っこは 絶対ちょさんねんだ 
わがんべぇ
根っこは 俺のいじばん 深いどごさあるんだ
俺もよ ほんとは今日まで よぐわがんねがったんだ
自分自身が どのぐらいのごどさ 耐えられっか
いだげんとも ようやぐ わがったんだ
自分でおもてだよりよ うんと強ぐなってだんだなぁって」


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 山形県置賜

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 
今野和子さん訳、山形県置賜叶水版2011.4.5   


何だってつーよい風、吹いたもんだ
昼間も夜もずーっとやぁ
ナラのぎの葉っぱ みんな吹っ飛ばして
おっきな枝ばも ぼきんぼきんと折っしょり
木の皮も引っぱがし
樹 裸にしてしまったなやぁ
ほがの樹は みんなぶっ倒っだなに
ナラのぎは ちゃぁんと立ってだど
くたびってしまった風 あぎらめて言ったど
「ナラの木や、なしておまえ立っていられんなだ?」
ナラのぎ 言ったけど
おめ おら枝ば折っしょっこども
葉っぱみんな吹っ飛ばして 
大枝ば揺すっこともされる
ほだども おら 土の中さ伸ばした根っこ持った
おれ生まっだどぎから 
ちっとずつ強ぐなってきた根っこやぁ
おまえはその根っこさは決して何にもさんね
わがっべぁー
根っこは おれのいっち番深いものだごで
おれ今までわがってねがった
おれ どれくらい我慢されっか
今わがった おまえのおかげで
思ってだなよっか 
おれずっとずっと強いなだ


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 福島県・会津1

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
楢の木 
後藤ななさん訳:会津版 2011.3.30    


すんげえ強(つえ)え風が吹いた
昼間も夜も
楢の木の葉っぱさ 吹き飛ばし
枝さ びゅんびゅん揺らして
木の皮だって 引っぺがすほどだった
そんじ楢の木は丸裸さなっちまった
んだげんじょ 地面にしっかりと立ってたんだと
ほかの木はみんな倒れっちまった
くたびっちゃ風は
あきらめて言ったんだと
「楢の木 なじょして まだ立っていられんだい?」
楢の木は言ったんだと
「お前(め)えさんは、おらの枝を折るごども
みな葉っぱを吹き飛ばすごども
枝も おらも 揺らすごどもできる
んだけんじょも おらには大地に張った
根っこがあんだ
おらが生まっちゃどきから
少しずつ強(つえ)くなった
お前(め)えさんは、おらの根っこさ、絶対(ぜってえ)さわらんに
わかっがい
根っこは おらの一番深(ふけ)えとごなんだ
本当は 今日まで
おらは よくわかってねがった
おら自身が どんだけ ものごとさ耐えられんのが
んだげんじょ お前(め)えさんのおかげで
気付がしてもらったんだ
おらが知ってたよりも
おらは強(つえ)えんだと」


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 福島県・会津2

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 福島県・会津版  河原田ヤスケさん訳 2012.6.2



すんげい強えい風が吹いだんだなし
昼間も夜も
ナラの木の葉っぱ まるごど吹っ飛ばし
枝をびゅんびゅんど揺らして
木の皮も引っぺがえすほどだった。
そんじナラの木は まっぱだかになっつまった
んだげんじょも 地面にどっかりど立ってたんだど
ほがの木はみんな倒れっつまったげんじょもな
くたびっちゃ風は
あぎらめで言ったんだど
「おめ、ナラの木、なじょして まだ立ってられんだい?」
ナラの木は言ったんだど
「お前(めい)さんは おらの枝を折っちまうごども
いっぺいの葉っぱを吹ぎとばすごども
枝どが おらをゆらしたりすっごども出来んべい
んだげんじょ おらには大地に張った
根っこがあんだ
おらが生まっちゃどぎがら
ちょこっとづづ強(つえ)ぐなったんだ
んだがら お前(めい)さんは おらの根っこ絶対(ぜってい)さわらんに
わがっかい
根っこは おらの一番深えいどごだがらだ
本当は今日まで
おらは よぐわがってねがった
おら自身が どんだげ ものごどに耐えられっかをなし
んだげんじょ やっとお前(めい)さんのおかげで
気付(きづ)がしてもらっただし
おらが おらを知ってだよりも
おらは強(つえ)いんだっつうごどを」

ナラの木 福島県中通り

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木  
福島県中通り版(伊達市保原町)   


すげぇ つえ 風がふいだんだっけ
昼だげでなくて夜だげでなくて
楢の木の 全部の 葉っぱを吹きとばしっちまって
枝を音(おど)がなるくれ 揺らして
木の皮も ひっぺがしっちまうくれだった
ほしたら 楢の木は 皮がなぐなっちまった
だげんちょ 地面さ しっかり 立っていだんだって
ほがの木はみんな 倒れっちまった
すっかりがおった* 風は  
あぎらめて 言ったんだっけ
「楢の木、おめは、なじょして まだ立ってられんだ」
楢の木は言ったんだっけ
「おめは、わたしの 枝を 折っこども
ぜんぶの 葉っぱを吹き飛ばしっちまうこども
枝を揺すっこども
わたしを ゆさゆさ 揺すっこども でぎる
だげんちょ わたしは 生まっちゃとぎから
ちっとずつ つえぐ なったんだ
おめには この根っこさ ぜったい さわらんに
わがるべ
根っこは わだしの いぢばん 深いとごなんだ
じつは今日まで わだしは よっくわがってねがった
わだしが どんだげ ものごどさ たえられっかを
んだげんちょ 今 うれしいことに わがった
わたしが 知ってたよりも
わたしは 強くなっていだんだね」


*がおる=つかれる、体調が悪い

Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.

ナラの木 福島県浜通り版

2011年09月27日 | ナラの木 地方訳
ナラの木 
長谷川美代子さん訳, 福島県浜通り版2011.4.4   


なんだって強い風が吹いだんだわ
昼も夜もなぐなぁ
ナラの葉っぱ全部吹っ飛ばしてぇ
枝ぁ びゅんびゅん揺らしてぇ
木ぃの皮も引っぱがすほどだったなぁ
そしたっけ ついにナラの木ぃ 丸っぱだかになっちったって
んでも地面にしっかり立っでだんだって
ほかの木ぃはみんな倒れっちゃったのにな
くたびれちった風
あきらめて言ったんだって
「ナラの木ぃ、なぁんでまだ立ってられんだ?」
ナラの木ぃは言ったって
「あんたはわだしの枝を折るこども
葉っぱを全部吹っ飛ばすこども
枝を揺らすこども
わだしをゆっさゆっさ揺するこども
でぎっと思う
んだげどわだしにはこの地面に張った根っこがあっから
わだしは生まれたどっきがら
ちっとずつ根っこ伸ばして強ぐなってったんだわ
あんたはおそらぐこの根っこには絶対さわれないべ
わがっけ?
根っこはわだしのいぢぃばん深い部分だがんね
じづは今まで
自分がどんだけものごとに耐えられっかって
自分でもよぐ分がってながったぁ
でも、今おかげでわがったぁ
自分が思ってだより
わだしはもっと強くなってだんだわ」


Johnny Ray Ryder Jr.原作, Copyright Hallmark Inc.