■12月8日、総務省の 「新しい地方財政再生制度研究会」が報告書をまとめた。内容は、財政悪化が懸念される自治体に対する、十分な情報公開を前提とした早期是正措置を基本としている。
■報告書をざっと読んだ印象は、わかりにくく、今まさに苦しんでいる自治体への処方箋になっていないということ。委員のメンバーも見てみると、弁護士と大学の先生のみ。自治体関係者は入っておらず現状の窮状を認識した上での緊急性を持った報告書とは思えない。
■民間企業が破綻に瀕した際、用いられる、いわゆる債権放棄(この報告書では、「債務調整」と呼んでいる。)についても踏み込むことができなかったようだ。
■正直、自治体の実務関係者からすると、第三者の独り言にしか聞こえないような感じがする。自治体破綻の責任はあくまでも自己決定・自己責任の結果で、国には一切責任はないという意思が行間に見え隠れしている。ここまでやられると、今まで、なにかあれば後で交付税で面倒をみるからと甘い言葉で事業誘導しておいて、国の台所が厳しくなると、ばっさり交付税を減額という、ある意味掟破りの手法を用いた国のやり方に恨み節の一つもいいたくなりそう。
■せめて、来年度の予算措置の中で、例えば、破綻予備軍の自治体向け基金の設置など、今危機に瀕している自治体を念頭においた制度設計の提言をなにか一つでもできなかったのだろうか。このような制度を設けること自体が自治体の「モラルハザード」を起こすと主張されているようだが、それでは、その自治体に住む住民はどうなるのか。どんな場合に可能なのか踏み込んだ視点があまり感じられないのも残念でならない。