黒海とカスピ海に挟まれた南カフカス地方と、カスピ海の東側に広がる中央アジアで、新たな安全保障リスクと外交政策の大転換が起きている。 ●アニメーション動画で詳しく見る ※本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ロシア不在で南カフカス、中央アジアに大転換...「ロシア後」の地政学を展望【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。 ◇ ◇ ◇
アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフの重要な補給路を数カ月間遮断したことをきっかけに長年の対立が再燃した。この地をめぐる争いは、両国がソ連を構成する共和国だった時代から続いてきた。
今もこの問題を複雑にしているのはロシアの存在だ。 ソ連の継承国ロシアは、この地域の盟主的な立場を維持したがっているが、必ずしも平和を守ることに関心はない。2020年の停戦後に2000人のロシア兵が平和維持部隊として派遣されたものの、アルメニアとアゼルバイジャン双方による停戦違反が止まらないのはそのためだ。
アルメニアはロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)の創設メンバーでありながら、ロシアに不満を募らせ、今年1月にCSTOの合同軍事演習を自国で開催しないことを表明。代わりに9月にアメリカとの合同軍事演習を実施した。