WBC1次予選がスタートした。
日本の初戦はブラジル。
日本は8回に1点ビハインドから逆転し、勝利を収めた。
3連覇、3連覇と始まる前からマスコミなどは煽るが、
そう簡単にはいくまい。
海外組みは今回、すべて代表を辞退し外れているが、
代表に選ばれた国内選手たちも決して彼らに引けを取らない日本のトップ選手たちであることに違いはない。
それでも、過去2大会、日本に世界一の座を奪われたまま、
黙っているほど世界は甘くないだろう。
まるでお家芸のように語る向きもあるが、
今回の初戦、ブラジルにしても、オランダなどの比較的野球に後進的なイメージの国にしても、
もうすでにほとんどの国でメジャー経験者や、1A、2A、3Aに所属する選手たちが軒並み顔をそろえ、
野球の質に違いこそあれ、どの国も以前ほどの大差はない。
グループAでは、中国がやはり目劣りする感は否めないが、
前々大会、前大会と、回を追うごとにレベルアップしている。
緻密な野球や、辛抱強い野球をする上では、日本が各国に比べてややリードしているかもしれないが、
パワーやスピード、あるいは個々の身体能力やテクニックなど、それぞれの国の持ち味を総合的に比較すれば、
今やどこの野球がダントツとはいえない、世界のレベルは均等化しつつあると言えよう。
その証拠がメジャー各球団の目が世界に向けられ、
今や一流メジャーの多くが世界各国に散らばっていることからも分かる。
そんな中で、執拗に3連覇、3連覇などと煽り立てるのは選手たちを無駄に追い込むだけだ。
壮行試合を含め、初戦のブラジル戦のように、なんとなく重たい試合になるのは当然の流れだ。
過去の二大会やオリンピックでの試合内容を思い返せば、
勝ち負けいずれも紙一重の試合は決して少なくなかったはずである。
もともと世界大会はどんなスポーツでも力が入るものだろうが、
なぜか野球などは妙に重たい雰囲気に常に支配されていて、
それは柔道などにも言えることだが、「勝たなければいけない」といった国全体の自負なのか、
あるいはマスコミの能のない先入観なのか、いつでも硬さばかりが選手たちから目についてしまう。
サッカーと違って、そうそう野球が世界と戦う機会はない。
だからこそ、闘う選手たち、闘うチームは、持っている技術を遺憾なく、大胆に、堂々と、ひけらかして欲しい。
プロなのだから。
先日、ニュースのスポーツコーナーで、
工藤公康氏が山本浩二・日本代表監督にインタビューする中で、
工藤氏が阿部の不調を取り上げ、
「打順を下げて、もう少し楽な場所で打たせてあげたほうがいいのではないか」と質問を向けると、
「なんで?」と山本監督は繰り返した。
工藤氏いわく、何役もこなす阿部は相当なプレッシャーであろうから、ということだったが、
山本監督は「なんで?」と強い口調で言うと、
「彼はプロ。何度も何度も大きなプレッシャーと緊張の中で闘い抜いてきたプロ。
こんなことで押しつぶされるような選手ではない」と苦笑いを浮かべながら諭すような口調で言った。
その通りである。
もちろん、短期決戦であるから、
調子の良い悪いを見極めて体制を組み替えてゆくのは監督・コーチらの重要な仕事であろうが、
そう、彼らは百戦錬磨のプロである。そのプロの中から選ばれた先鋭である。
当然、人間だから緊張もするだろうし硬くもなるだろうし、調子の上下もある。
それでも、多くのプレッシャーの中で生き抜いているプロである。
だから、勝とうが負けようが、堂々と、強い決意と強い表情で闘って欲しい。
緊張感の中で闘い抜く、そんなプロフェッショナルな試合が見たいのだ。
今日、Bグループで韓国がオランダに敗れた。
韓国はWBCで日本以外のチームに敗れたのは初めてらしい。
オランダも必ず世界大会に顔を出すヨーロッパ・ナンバーワンのチームである。
メジャー経験者がいるのかいないのかは分からないが、マイナーで活躍する選手は多いようだ。
昨年だか、何かの大会でキューバを破って優勝したと試合放送中に解説者が言っていた。
世界は、強い。
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