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頑張れ、ジャイアンツ!
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阿部ファーストという重責をジャイアンツ打線は補えるか。

2015-02-02 10:22:23 | シーズンオフ。

阿部慎之助が一塁手に転向することで、
ジャイアンツ打線にどんな影響が出るだろうか。
守りではなく、打線にである。
どこを守ろうが、阿部の存在は変わらない。
打線の中にいるといないとでは、
相手チームに与える印象も随分違うだろう。

しかし、今季から阿部は一塁手としてスターティングオーダーに名を連ねることになる。
昨季、ジャイアンツの一塁手は主にロペスとアンダーソンが務めた。
現在、多くのチームの一塁手は外国人選手ら、
強打の大砲が務める確率が高い。
一塁手の大砲枠は、球界のスタンダードのようなものだろう。
ジャイアンツはその枠に、今季から阿部が納まることになる。
昨季、不調だったとはいえ、阿部の資質からすれば、
外国人選手らと遜色はないはずだ。

では、打線そのものを見渡してみるとどうか。
もともと捕手としてクリーンナップに座っていた阿部が、
今度は一塁手の枠を埋めるのだ。
当然、打撃(大砲)を見越して起用されるはずだった一塁手枠の選手は弾き出されることになる。
あたりまえだが、その選手が阿部が退いたことで空いた捕手の座につくわけではない。
打線だけに限って見れば、もともとクリーンナップに座っていた阿部には変化はなく、
もうひとり、打撃に主眼を置ける一塁手枠の選手の存在が、
阿部が移って来た事で打線から弾き出される格好となる。
捕手・阿部の後釜に阿部に匹敵するようなキャッチャーが座れば話は別だが、
そんなわけないことは書く前から明らかだ。
現状で、キャッチャー・阿部に匹敵する替わりは存在しない。
阿部がここまでの存在感になりえたのは、
やはり、阿部が強打のキャッチャーだったということに尽きる。
打てるキャッチャーの存在は、大きい。
それがクリーンナップなら、尚更である。

そうなると、今季ジャイアンツの打線は昨季よりも威圧感はやや薄れるだろうか。

遅かれ早かれ、阿部の後継者は必要である。
そのために獲得した一昨年のドラフト1位、小林誠司だ。
阿部がルーキーイヤーから開幕マスクを任され、
シーズン127試合、マスクをかぶったように、
小林も思い切って使い続けなければ育たないという意見は多い。
しかし、阿部のルーキーの2001年のジャイアンツと、
現在のジャイアンツでは選手のバリエーションが違う。
仮に、昨シーズン、ジャイアンツ打線が原監督の思惑どおり機能していたら、
今季、阿部の一塁手へ転向はもっとスムースに、自然な流れで行われたかもしれない。
阿部の一塁手転向というよりは、キャッチャーを退くということのほうが比重は大きい。

昨シーズンは村田、坂本、長野を筆頭に、阿部自体も、ロペスまで含めて、
打線はシーズン通して不調のままだった。
原監督の言う枢軸、村田、坂本、長野の成績が、
本来の数字に近いものが出せていたら、
阿部の一塁手へ転向は、むしろチームにとってプラス要素のみの、
極自然なムードの中で進行していたように思う。
そう、小林誠司が、そのまま正捕手のポジションを担えばいいのだから。

昨季、ルーキーイヤーの小林誠司の成績は、
出場試合数こそ63試合と、阿部のルーキーイヤーの半分ほどに留まったが、
先に述べたように、2001年のチーム事情と、
昨季のチーム事情ではかなり内情が違う。
2001年のチームは説明するまでもなく、
日本一になった前年には、FAで工藤と江藤を獲得しており、
投手陣は上原、高橋尚成、工藤、桑田もいたし、最後のシーズンとなった斎藤、槙原もいた。
打線にいたっては松井、ヨシノブ、二岡、清原、江藤にマルティネスとお祭り騒ぎの時期である。
キャッチャーも正捕手の村田真一が晩年を迎えていた。(村田はこのシーズン限りで引退)

とはいえ、小林誠司の捕手としてのインサイドワークや打撃センスも、
一年目という意味では当時の阿部にさほど引けを取らないと思う。
一年、一軍を経験し、本来なら今季そのまま、
小林誠司の正捕手へという流れが予定調和だったろう。

しかし、ジャイアンツは今季、あえて捕手・相川亮二をFAで獲得した。
阿部より年上の相川を獲ってどうするのかといった指摘も目にするが、
この相川獲得は小林を競わせる為ということもさることながら、
昨季から不安感がぬぐえない枢軸打者らの打線の低迷も、
ひとつ関与しているような印象を受ける。
小林を正捕手に据え、二番手には實松、加藤健、あるいは力をつけてきた鬼屋敷、
ジャイアンツ打線に不安がなければ、この布陣でもさほど問題はなかったはずだ。
もっといえば、昨季、ジャイアンツ打線がしっかり機能していれば、
相川のFA宣言に興味を示していたかどうかも、どうであろうか。

昨季からの打線の不安は、年が変わっても解消されてはいないだろう。
シーズン、ファイナルSと不調のまま昨年を終えている中軸打者。
キャンプを迎える現在でも故障者の不安も皆無ではない。
打線に活気を呼び戻すべく、打撃に専念できるように思い切って阿部を一塁手にコンバートした。
捉えようによってはこの措置も、本来のジャイアンツ打線の凄みを削ぎかねない行為だ。
不安な打線の中、ジャイアンツいちばんの強みだった ”捕手・阿部” を解消するのである。
そんな中で手の上がったベテラン捕手・相川亮二のFA宣言。
これは、いつものように勝手に妄想すると、
ジャイアンツにとっては、渡りに船のタイミングではなったろうか。

昨シーズンオフは、楽天・嶋、西武・炭谷と、
各チームの主力捕手がFA権を得て宣言するのではと話題になった。
結局、両選手とも残留することになるが、
嶋に関しては他球団同様、ジャイアンツも狙っているのではと、
一部、報道で取り上げられていた。
どこまで信憑性があったかはあやしいが。

ジャイアンツは、強打の捕手・阿部を解消し、
当初はリスクを覚悟に(?)今季は捕手・小林誠司で勝負する覚悟だったかもしれない。
しかし、いいタイミングでベテラン相川がFA権を行使した。
昨今、どこの球団も正捕手難に頭を痛めているような印象がある。
ここで現在、現役で実働10年以上、捕手として働いている選手の名前を拾ってみた。
数名、番外も含まれてはいるが、
ちなみに現役ここまでの生涯打率も合わせて記しています。

阿部慎之助 通算:14年 .287(巨人)35歳
相川亮二 通算:16年 .259(巨人)38歳
實松一成 通算:14年 .164(巨人)34歳
加藤健 通算:11年 .207(巨人)33歳
谷繁元信 通算:26年 .240(中日)44歳
小田幸平 通算:17年 .197(中日)37歳 ※引退
藤井彰人 通算:16年 .240(阪神)38歳
鶴岡一成 通算:14年 .237(阪神)37歳
石原慶幸 通算:13年 .242(広島)35歳
倉義和   通算:17年 .217(広島)39歳
細川亨   通算:13年 .205(ソ)35歳
鶴岡慎也 通算:10年 .239(ソ)33歳
中嶋聡 通算:28年 .232(日)45歳
里崎智也 通算:15年 .256(ロ)38歳 ※引退
ー実働10年以下ー
炭谷銀仁朗 通算:9年 .204(西)27歳
嶋基宏 通算:8年 .253(楽)30歳

出場試合数などの違いもあるから一概には比較できないものの、
やはり阿部の打率の高さは目を見張る。
本塁打数(346本)も阿部だけ群を抜いている。
そして注目は相川の打率である。
実働年数の長い現役の捕手の中では、阿部に次ぐ数字だ。
昨季で引退した好打者の千葉ロッテ・里崎よりも若干だが高い(本塁打は里崎が上)。
相川をよく知るファンの方には何の驚きもないかもしれないが、
相川は意外と言っては失礼だがバッティングがいい。

昨季の9月21日の巨人対ヤクルト戦、
スタメンマスクをかぶっていた相川の打撃はとても印象に残っている。
マジック5で迎えたこの試合、リードを追いつかれ、再び追い越すも、
最終回に再度、追いつかれて延長戦に投入。
9回表に追いついたヤクルト打線の口火を切ったのが相川の2塁打。
さらに延長に入った10回表、一時勝ち越しとなるタイムリーヒットを再び相川が放つ。
ゲームはその裏、ジャイアンツがまた追いつくが、その次の回、
山田が江柄子からレフトスタンド中段に本塁打を放ってこれが決勝点となった。
この試合、相川は1四球を含む4打数3安打の大活躍で勝利に貢献した。

ちなみに相川は昨シーズン、ジャイアンツからよく打っている。
セリーグの対戦相手では横浜DeNAからの.344がいちばん高いが、
次に相性が良かったのはジャイアンツで、.333と分はいい。
ジャイアンツベンチも昨季は相川には打たれたというイメージが多少はあるのではないか。
38歳のベテランでもまだまだ打撃力に衰えはないと、
ジャイアンツがそう認識していても不思議ではない。

相川の経験豊富な捕手としてのインサイドワークと、
ある程度のバッティングが期待できれば、
仮に小林をメインで使ったとしてもいざというときに、
相川なら第2の捕手以上のパフォーマンスが望める。
もちろん相川は第2の捕手なぞに納まる気は毛頭ないだろう。
原監督もその辺りは競争と断言する。
實松、加藤健も、もちろん、捕手としての能力が高いことは言うまでもない。
ただ、阿部のあとに小林を立て、その状態での小林との争いだと、
阿部がいた幻影があるだけに、やはり少しタイプが違うだろうか。

小林、相川が捕手という守りの要と平行して、
どれだけ攻撃(打撃)面で打線を補うことが出来るか。
あるいは ”捕手・阿部” という攻撃的な強みを失った穴を、
枢軸打線の復活によってプラスアルファまで転じられるか。
あるいは大田、中井ら若いパワーの台頭が、
新たな礎を今季こそ築いてくれるだろうか。

阿部が打つか打てないかは阿部自身の問題であり、
仮に打てなければ今度はキャッチャーのときと違って即ベンチの可能性だってあるだろう。
一塁手なら大砲云々は別にして守れる選手は多い。
大田、中井、亀井、アンダーソン、井端、ヨシノブだって入ってくるかもしれない。

阿部の一塁手コンバートは、阿部のアベレージがどれだけ上がるかという事より、
打線全体が ”捕手・阿部” という強みの消失を如何に感じさせずに機能するか、
ということのほうにウエイトがあるように思えるのです。
それだけキャッチャー阿部の人事異動は、
単なるコンバートでは収まらない、
今季以降のチーム編成に大きな影響を与える出来事のように感じます。



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