4日の小山、澤村は、事前に二人によるリレー登板が予告されていた。
打ち込まれない限りは、いずれかが4イニング、あるいは5イニング。
ふたりで一試合をまとめ上げるのが理想のカタチだったろう。
そんな思惑通りの完封リレー。
こんなピッチングを見せられると、右のこの二人に、
左の杉内、内海で充分に戦えるような気になってくる。
明日、スライドになった宮國も、余裕を持って見ることが出来る。
そんな小山は落ち着いたマウンド捌きだった。
その落ち着きは、今シーズン手に入れたいくつもの自信によるものだろう。
菅野が抹消された今、ローテーションの中心に据えても差し支えない安定感。
原監督がもっとも安定していると評価するのも頷ける。
ほぼ思ったとおりのところに制球出来ていると解説の江川卓氏が称えたように、
この日の澤村に逆球のようなコントロールミスは見受けられなかった。
両投手とも優に10勝以上はしていそうな風格である。
CSにしても日本シリーズにしても、結果など蓋が開いてみないことには分からないけれど、
納得のできる投手でローテーションが組まれるのなら、説得力はある。
今のこの両投手なら、ファンも腹をくくって勝負を見守ることが出来る。
結果はどうであれ。
そういうことではないだろうか。
3日の内海は、5回までの内海をこの日の内海としよう。
原監督も 「おきゅうが入ったところもあるし、いい形でCSを迎えられると思う」 と、
鼓舞するだけに留めている。
とやかく言ったところで、柱であることに躊躇などないということだ。
だから良かったとこだけを振り返ろう。
とくに初回の投球は、変化球主体でスライダー、フォークが低めにキマり、
そのあとの安定感を暗示するような内容だった。
どの球種も低めで勝負出来ていた中で、
特にこの日はチェンジアップが右バッターには有効にきまった。
5回に奪った3ツの三振も、すべて右バッターから。
皆、チェンジアップに翻弄されていた。
5回を投げ終え、勝ち投手の権利を得たところで3対0。
このまま勝ち星がつけば8勝8敗で勝敗は五分。
あとは次のイニングに規定投球回数、5回1/3がかかっている。
こうして迎えた6回の守り。
あとはご承知の通り。
ストレート系が少し多くなったところで、変化球がやや高めに浮き出した。
筒香には真ん中低めのシュートを完璧に捉えられた。
下半身がまったくブレず、腰の回転でもっていったような、豪快な一発だった。
内海は、この筒香の本塁打を含め詰めのアマさを悔やんだが、
筒香との勝負に関しては、彼の反応が上回っていたということではないか。
それより重たい感じを残したのは、どちからといえば西村のほうだろう。
球速が出ていても捉えられる。
それが今季の西村。
打線は片岡がこのところ上り調子。
一番に座り、プレイがエネルギッシュになった。
スイングも打球も、俄然、パワフルだ。
ロペスも9月の後半から当たりが出てきた。
ここにきて隙が埋まってきいるように見えるので、ポストシーズンが楽しみ。
なんだかノッてきそうな雰囲気はある。
2日、松本哲也が一軍登録された。
その日のスワローズ戦で途中出場、さっそく内野安打、内野の失策で2打席とも出塁した。
この日も9回に代打で登場、四球を選んでいる。
松本哲也は開幕一軍ながら8月に一度、登録抹消。
その後、すぐに再登録されるが、その日の試合で右手の骨折が判明。
シーズン中の復帰は厳しいとの見方がもっぱらで、
ポストシーズンでの復帰が微妙なラインと報道されていたが、
9月の中ごろから練習を再開。9月19日のファームの試合で実戦復帰を果たしていた。
先日のファーム最終戦ではセンターの頭を越えそうな大飛球を、
バックしながらフェンスいっぱいのところでジャンピングキャッチ。
交流戦などで見せたいくつもの好プレイは記憶に新しい。
まさに、今季の守り勝つ野球を象徴する筆頭だろう。
高橋由伸はどうもポストシーズンは厳しいような報道だから、
松本哲也が間に合ったことで足が心配な長野、亀井の負担が軽減できる。
少し気は早いが、仮にジャイアンツが日本シリーズに出場することになれば、
ゲーム終盤、リードした状態なら、広いパシフィックの何処のドーム球場でも、
松本、橋本、大田の快足外野手トリオは安心感がある。
一年間チームを支えてきた菅野の為にもCSを勝ち抜け、
日本シリーズの場を用意して菅野を待ちたいと澤村はコメントした。
確かに、菅野の功績、離脱はともに大きいだろうが、
澤村への期待だってそれに劣らないくらい大きい。
それは小山に対しても同じことが言えるだろう。
両投手の今季の力投を見てきたファンだって腹をくくっている。
何の迷いもなく、この両投手に命運を託すのだ。
きっと彼らが、今季、ジャイアンツが勝ってきた野球の集大成を飾ってくれる。
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