新婦人 盛岡支部

たのしい、うれしい、おいしい、ためになる!がいっぱい!

●学校給食②●

2013-01-20 09:46:06 | ●盛岡の学校給食●

学校給食①の記事でも書いたように、盛岡市教育委員会は、都南給食センターの老朽化にともない、新給食センターを建設し盛岡地域の単独調理場をなくすという基本方針案を出しています。

教育委員会は昨年10月に、基本方針素案に対する意見聴取会を開いたそうです。そこで出された意見を紹介します。

●小学生保護者
*基本方針素案には理解が難しい用語などが使用されていたため、学校に相談したり他の保護者に意見を求めた。
栄養士からは、単独校方式から給食センター方式への段階的移行とあるが、具体的にどのような形をとって行われるのかについての詳しい説明がなく、この点に疑問があるとのことであった。
*保護者からは、当校は食育に力を入れていることもあり、センター方式となった場合、どのような食育体制がとられるのかとの疑問が寄せられた。
*これも保護者からの意見であるが、これまで単独調理場方式に慣れ親しんできたこと、食育を効果的に実施するためには、単独調理場方式を継続してほしいとの声が多かった。

●小学生保護者
*基本方針素案の内容を見て、献立作成、アレルギー対応など、こまやかな心配りがなされていると感じた。
特に食材の地場産物の活用、規格外野菜等の活用は、子どもたちが身近な産業について理解を深めることにつながるなど食育にも意義があると考える。
*施設のあり方については将来的に共同調理場方式への移行を目標とするとあるが、個人的には、各校に栄養士や調理員の方がいて、毎日子どもの顔を見ながら、学校行事や旬の食材など様々なことがらを考慮しながら、献立・給食が作られている現在の単独調理場方式の体制も十分に素晴らしいものだと考えている。
施設設備の老朽化や人件費の問題があることは理解できるが、食育の向上を図ることを考慮すると現在の体制も意義があると考える。

●小学生保護者
*基本方針案の4つの方向性など基本的な考え自体は良いと思う。
*ただし、単独調理場方式を給食センター方式へ変更することについては、疑問を感じる。各校の栄養士や調理員の方たちは食育のことを考え、一生懸命に業務をやっていただいている。
たとえば当校は農業地域にあり、保護者世帯から提供された米を使用して炊飯するなどして、子どもたちの地域に対する理解が深まるような形で給食を実施している。
さらに、学校行事に対応した給食の提供もスムーズに行えるなど、地域や学校の特色を生かした給食運営が可能であり、こうしたことは単独調理場方式のメリットであると考える。
都南地域と玉山区は合併前からセンター方式であり、それぞれの事情があってのことなので、それはそれで良いと思う。
こうしたことから小学校については単独調理場方式は残していただきたい。衛生管理基準を考慮すると、調理場のドライシステム化は必要と思うが、ドライシステムへの切り替え工事は、各校一斉に実施していただきたい。その工事期間中に限り、給食センターから給食を提供するということであればやむを得ないと考える。
*中学校給食については、人生の一時期に親から弁当をつくってもらう期間があっても良いと思う。一方で、家庭によってはさまざまな事情もあると思うので、給食の必要性も理解できる。そういう意味で、選択制給食も含めた運営体制は良いと思う。
*都南学校給食センターは業務の委託化により、安い金額で県外の業者が請け負っているためか、美味しくなくなったという評判を聞いた。地元業者を使ってほしいと考える。

●小学生保護者
*昨年の震災時、子どもに弁当を持たせることが困難なとき、学校独自の対応でうどんを出してもらうなど、学校に調理場があって助かった。
その時々の状況に対して、融通の利く調理体制が取れる単独調理場方式のメリットを感じた。
*中学校の選択制給食は、このまま進めていただきたい。
夏場など、弁当での食中毒の不安があるときに、給食を利用している保護者もいると聞いている。保護者の手作り弁当が理想であることは確かだが、衛生面などで不安があるときに利用できるというメリットがあって良いと感じている。

●小学生保護者
*玉山区は現在給食センター方式であり、この体制で完全給食を継続していただきたい。
玉山区でも児童生徒数は減少しており、少人数の学校ではコスト面から単独調理場方式での運営は無理があると考えられ、センター方式での運営が妥当である。他校のPTA役員の方に聞いても、ほぼ同様の考えであった。
*センター方式での懸案としては、給食の配送や食器の回収時間の関係で、給食センターから遠い学校などでは、十分な給食時間が取れない場合があることがあげられる。
時間内に食べきれない子どもがいて可哀想だと感じる。ゆとりを持たせて子どもたちに給食を食べさせてやりたいので、トラックを増便するなどの対応を検討願いたい。
*中学校給食についても小学校同様、単独調理場方式での運営は厳しいと思うので、現在の給食センター方式のままで、完全給食の継続をお願いしたい。
*保護者の作る弁当の良さも理解させるため、月に1~2回程度の弁当の日があってもよいと思う。

●小学校長
*基本方針素案は学校給食検討会の報告書に示された4つの方向性に基づいているが、学校給食の基本方針という観点から考えると、給食指導の部分がやや弱いと感じる。
あくまで「学校給食」に関する基本方針なので、「給食・食に関する指導」との文言を入れていただければと思う。
*単独調理場方式からセンター方式とした場合、給食に関する指導を一層推進するために、学校現場の声をくみ上げるシステムを作ることが必要である。
たとえば都南地区では、校長などがメンバーの給食センター運営委会があるが、給食担当者による実務担当者の会議を開催するなど、現場の声が給食センターに届きやすい、風通しの良いシステムを作っていただきたい。
*単独調理場方式からセンター方式への移行は長期的な展望のもと、段階を踏んで学校における毎日の給食運営に支障のないように、きめ細やかな配慮をしながら進めていただきたい。
*近年、学校給食の果たす役割は大きいものがあり、何より安全安心でなければならないと考える。さらに加えて安定的に実施できるよう配慮願いたい。
*学校給食は教育の一環であるので、基本方針は義務教育全体の中に位置付けて考えていただきたい。
学校の適正配置計画と連動させることも必要である。
また、盛岡の食材を活用して食に関する指導を行うことは当然大事なことであり、そうした食育の推進を図るという観点も取り入れながら、盛岡市の特徴が表れる給食とはどのようなものかということを方針の柱の一つとしていただきたい。

●小学校長
*老朽化した調理施設が多く、これらを修繕しながら単独調理場方式を維持していくことは、財政的に相当大変なことであり、それが今の時代、どうしても必要なのかを考えると疑問がある。それゆえセンター方式への移行という考えが、基本方針素案に盛り込まれたのだと思う。
この給食センター方式を是としたうえで、学校側として配慮していただきたいと思う点は次のようなものになる。
①食物アレルギーを有する子どもが増加していることから十分な配慮を行い、的確に対応することが可能な運営体制とする必要がある。
②選択制中学校給食については、想定より利用割合がかなり低いと聞いている。制度を導入した意義が問われていると思うので、再検討が必要ではないか。
③給食センター方式となった場合、栄養職員による食に関する指導の回数が減少することが予想される。現在、学校現場では食に関する指導の推進が強く求められていることから、市独自で栄養職員の定数配置を行うなどの措置が必要である。

●小学校長
*中学校における選択制給食について、すでに実施している学校の保護者や教職員等の意見を把握しながら検討し、拡大していっていただきたい。
*「週3.5回以上は米飯とするよう努める。」ということについて早めに取り組んでいただきたい。

●小学校長
*学校給食の方向性の4点については異論は無い。
*施設設備のあり方などの運営について、財政上の負担軽減を検討することは避けられない問題だと思う。そのうえで、次の点に留意して給食センター方式化を検討していただきたい。
①調理員の方の安定的な就労について十分配慮すること。
②施設設備の老朽化が進んでいるとのことだが、比較的新しい施設や更新され使用可能な設備も少なくないと思うので、そうした利用可能な既存施設設備の有効活用についても十分に検討をすること。
③食育の面から言えば、給食を作る人の顔が見える単独調理場方式はやはり望ましい。給食ができるまでの過程を知ることは、給食に関わる人たちへの感謝の気持ちを養うことにつながり、キャリア教育にも有効である。また、授業と給食の連動も容易であるなどメリットは大きい。
こうしたことから、単独調理場方式からセンター方式に移行した場合は、給食センターの栄養職員が学校を定期的に訪問する体制をとるなどして、できるだけこれまでの食に関する指導の体制を維持するような細やかな対応をお願いしたい。
④給食センター方式となっても、学校側から直接いろいろな意見を伝えることができる体制をつくっていただきたい。

●栄養職員
*示された基本方針素案について、どのようなメリット・デメリットがあるのかを中心に考えを述べたい。
*学校給食で一番大事なことは安全の確保である。衛生管理上、食中毒を防止することが最優先となる。
給食センター方式では、配送時間が必要なことが大きなネックとなり、デメリットである。
学校給食衛生管理基準上、調理後2時間以内に喫食することとされており、給食センター方式となった場合でも、これは絶対に守られなければならない条件である。単独調理場方式では、給食時間を考慮して調理作業を行っているため、この基準は守られている。
この基準は平成8年に全国的な問題となった「O157食中毒事件」がきっかけとなってできた基準である。
盛岡市でも事故が発生し、重傷者は出なかったが、県外で発生した事故では死亡者が出たり、現在でも意識が戻らない患者もいる。O157の菌は、20分で倍増していくため、わずかな菌でも残っていれば、2時間でも菌は大量に繁殖し、食中毒発生の危険が非常に高くなる。2時間以内の喫食とは、そういったリスクを少しでも軽減するためのものである。
素案では、将来的に3つの給食センターで給食を供給する計画であるが、建設予定地、配送計画・渋滞時の影響などの対応が具体的に示されておらず、衛生管理上非常に不安を感じる内容であり、全校での調理後2時間以内の喫食の基準は守れないのではないかと考える。
基本方針は、こうした衛生管理上の基準を具体的にクリアすることを前提とした内容とする必要がある。
*近年、食物アレルギー対応が必要な子どもが増えている。
単独調理場方式の場合、施設・設備は十分ではないが、除去食・代替食の対応をかなりのレベルで行っている。
給食センター方式となった場合、こうした現在行われている対応のレベルが下がるのであればデメリットになる。
*地場産品の活用については、現在盛岡市の食育基本計画の目標値をクリアしてはいるが、これは県産食材での話であり、基本方針素案では盛岡市産食材の活用という観点が欠けている。
多くの調理場では、近隣の業者から地元産の食材を仕入れており、盛岡市産食材を積極的に活用している。
一方で給食センター方式となると、5,000食・10,000食分の規模での食材購入となるため、既存の比較的小規模な業者では対応が困難となり、盛岡市産食材の活用という面では問題があり、デメリットになるのではないかと考える。
*教育相談面においては、単独調理場方式の学校は保護者・児童生徒・教職員との連携が容易であるというメリットがある。
保護者の意向やその時々の子どもの体調やケガなどの状況に、速やかに対応した給食を提供することが可能である。
子どもや保護者とのコミュニケーションのとりやすさは、食育へのメリットにも繋がる。給食センター方式では、こうした点で子ども一人ひとりの状況に応じた給食の提供が困難であると考えられ、デメリットと考える。
*単独調理場方式の学校では、給食時間の融通がきくというメリットがある。給食に慣れていない1年生の給食時間を少し伸ばすことなど、、細やかな対応が可能である。
時間内に給食を食べきれなかった子どもたちは、自分で給食の残りを調理室に運ばせることになっているが、調理従事者の働く姿を見せたり、残菜の処理の一部を自分でやらせることを通じて、食べ物の大切さや、働く人への感謝の気持ちを持たせたりさせることができる。こうしたことは、ほとんどの単独調理校で行われており、こうした取り組みの現在のレベルを下げないことが重要である。
*提案であるが、少なくとも旧盛岡市域ではこの基本方針についてのアンケートを実施し、保護者や学校関係者の考えを確認していただきたい。
単独調理場方式と給食センター方式が混在している状態は、学校給食法上問題があるものではないし、施設のあり方や運営の方法はさまざまあっても良いと思う。
アンケートを実施し、保護者等の考えが反映された内容であれば、基本方針は説得力を持つものになると考える。
給食が子どもにとって、どのようなものであるべきかという、関係者の思いを汲んだ基本方針としていただきたい。

●栄養職員
*保育園に勤務した経験から、食物アレルギーを有する子どもは増えており、細やかな配慮が必要となってきていると感じている。
保育園は、手作りが基本であり、除去食・代替食などにより、できるだけ他の子どもと同じような給食を提供するよう取り組んできた。こうした子どもは、小学校に上がったから、すぐに何でも食べられるようになるということではないため、引き続き小学校においても十分な対応が必要である。
*単独調理場方式の学校では、直接子どもの顔や様子を見ることが可能であり、感想や希望を給食に反映させやすい。料理の作り方を聞いてくる子どももいるなど、給食従事者と児童とのコミュニケーションがとりやすい状況にある。
市の学校給食をとりまく厳しい状況は理解できるが、こうしたメリットを生かせる単独調理場方式を、できるだけ残していただきたい。
*農林水産省の資料で見たが、九州のある自治体では、給食の安全性・教育的観点・経済効果など考慮し、小中学校すべての給食を給食センター方式から単独調理場方式へ転換した例があった。給食を作る側と食べる側のコミュニケーションが図られ、温かい給食を出せるようになり、残食の量が減ったとのことであった。
給食を学校教育の一つと考えれば、教育的効果が高い単独調理場方式もぜひ残していただきたい。
*基本方針の策定にあたっては、ぜひ保護者・児童生徒・教職員などの意見を聞いて、時間をかけて検討していただきたい。

●栄養職員
*衛生管理面からの意見として最初に結論を述べると、学校給食調理施設はなるべく大型化せず、少数の調理施設を分散して設置するべきだと考える。
調理場を出る段階で安全でおいしいものであっても、子どもが食べるまでに時間がかかってしまえば、危険な給食となる可能性がある。
そのため、調理後2時間以内に喫食するという衛生管理基準は不可欠かつ重要であるため、一施設の食数、建築場所については、十分に検討する必要がある。こうした観点から、素案の内容に沿って意見を述べたい。
①現在の都南学校給食センターの敷地で衛生管理基準に合致する施設を建てようとした場合、炊飯無しで2,000食の調理が限界と考える。
食材の汚染の程度に対応した処理室・和え物室・アレルギー対応食等のスペースを新たに確保する必要があり、現在の衛生管理基準に合致した施設とするには、最近建てられた他の大規模調理場の例を考慮しても現在の敷地を大きく上回る一万平米以上の敷地が必要であると考える。
②都南学校給食センターは、施設・設備の大部分が老朽化し、破損箇所も多く危険でもあるため、改修ではなく新築をお願いしたい。
③共同調理場方式とした場合、配送時間や検食に要する時間を考慮すると、調理後2時間以内の喫食の基準を遵守することは困難であり、都南学校給食センターでも現在守られていない。
広大な敷地に大きな施設を建て、短時間に大量調理できるだけの設備を用意しない限り、共同調理場でこの基準をクリアすることは相当に困難である。
④しかし財政状況が厳しく、共同調理場方式とせざるを得ないとした場合、万が一、食中毒事故が発生したことを想定すると、盛岡市の病院の病床数等医療体制を考慮して、2,000食を上限とした小規模な共同調理場を複数箇所設置することが望ましい。
さらに、保冷保温食缶等の機材・機器や配送車の台数等を十分に確保し、余裕のある施設とする必要がある。
⑤共同調理場方式とした場合、調理食数の増加に対応して必要なアレルギー対応食も増えることから、リスク分散を考慮する必要がある。
どの食品を対象とするのか、何食くらい対応することとするのか等の食物アレルギー対応の基本方針を調理場の設計前に、盛岡市として検討して定めておく必要がある。
⑥同一の汚染食材の大量使用による食中毒事故を回避するため、複数献立を考えているようだが、単一施設で調理を行う限り二次汚染や作業工程等の複雑化によって汚染リスクが高まることは避けられない。
作業工程・作業動線を単純化することで、リスクの軽減を図る必要があるため、単一施設ではなく、献立ごとの施設建設が望ましい。
⑦機器の故障・食材の不具合・配送中の事故等があった場合、調理食数が分散されているほど給食提供への影響が少ない。また、緊急に食材調達が必要な場合も対応が容易になる。今は食材業者もあまり在庫を抱えないようにしているため、緊急に大量の代替食材等を用意することは困難である。
共同調理場方式とした場合、こうした事故等への対応の体制を整える必要がある。
⑧災害時、調理場は食料供給基地となる可能性があることから、少数の施設より複数の施設が点在する方が望ましい。
また、自家発電装置や食品の備蓄スペースの確保も考慮した敷地が必要であり、用地選定や調理食数の規模について慎重に検討する必要がある。
⑨資料中の「各調理場の利用率」は、現在の学校給食衛生管理基準を満たした調理可能食数と誤解されかねず、判断資料として有効ではない。
実際に都南学校給食センターでは、数値上では表せない献立の工夫や制限、作業工程の工夫などで業務を乗り切っているのが現状である。誤解を招かない資料提供をお願いしたい。
*食育の面からの意見については次のとおり。
⑩中学校給食のあり方については、給食を教材として食に関する指導を行うことや、学校給食の目標を達成するためには、基本的に全員喫食とすることが望ましい。
生徒個人の嗜好や都合によって利用するのでは、学校給食の目標に沿うことは困難である。
また、ランチボックス方式においても、調理食数が増えるほど2時間以内喫食が困難となるため、この問題の解決を検討する必要がある。家庭弁当の意義は、「弁当の日」を設けることで果たすことが可能と考える。
⑪食に関する指導は各校が定める計画に基づき行われるため内容に相違がある。そのため一人の栄養教諭等が担当する学校数が増加するほど、それぞれの計画内容に沿うような指導や献立作成を実施し、効果的な食育を行うことは困難となる。
食育や食物アレルギー対応のために業務の分散を図り、国の基準以上の職員配置と環境整備に努めていただくことが必要と考える。
⑫少数の調理場を複数整備することが望ましいことから、親子方式の採用について検討していただきたい。都市計画法上等の規制はあるが、建築基準法の規定では建築審査会での許可により建築可能となる場合があるはず。実際に、県内でも許可を得て調理場を整備した例があり、検討を願いたい。
*素案への質問は次のとおり。
⑬「長期休業期間中における設備の有効活用」とは具体的にどのようなことか教えていただきたい。
⑭調理場の整備において、地場産物の活用や郷土食、行事食等の個別対応が可能となるよう努めるとあるが、具体的な内容を教示願いたい。

●調理員
*調理業務に携わっているものとして、給食は子どもたちのことを考え、温かい食べ物は温かく、冷たいものは冷たい状態でおいしく食べてもらえるよう業務に当たっていることを理解願いたい。
*以前、都南学校給食センターに勤務していたが、子どもたちの顔が見えない環境での業務は、単に給食を作るだけという意識になりがちだった。
現在は単独調理場方式の学校に勤務しているが、子どもが身近にいて、どのように給食を食べているのか分かる現在のほうが、業務への意欲がより高まる。
*単独調理場方式の学校では、給食の業務以外にも、様々な行事などの機会を通じて子どもと触れ合うことで成長を見守ることができる。子どもたちにとっても給食施設を見ながら、調理従事者と触れ合うことで、「食」を身近に感じることが可能となり、食育の面でも効果的であり、それがさらに職員の意識向上にもつながっている。
*これまで、いくつかの調理場を移動してきたが、床や壁が剥げるなどしている老朽化した施設が多い。また、調理器具についても老朽化してもなかなか更新されず、従事者が工夫し、だましだまし稼働させている場合が多くある。
市の財政状況が厳しいことから、こうした状況となっており、単独調理場方式からセンター方式への移行という方針が出てきたことは理解できるが、はやり自分としては、多くのベテランの調理員の経験を生かしながら、子どもたちのために美味しいものをつくりたいと考えている職員の力を生かすことができる単独調理方式がベストと考えている。
そこで、単独調理場方式の存続が難しいのであれば、既存の施設を有効に活用しつつ、単独調理場方式のよさも生かせる、親子方式の採用がよいのではないかと考える。
*最後に質問であるが、素案にある単独調理校を段階的にセンター化するとあるが、具体的にどのような形となるのか教えていただきたい。

●調理員
*8年の調理員経験のうち、6年間都南学校給食センターに在籍していた。単独調理場方式の学校に移動して、子どもたちが給食をどのように食べ、どのように感じているのかよく分かるようになったこともあり、単独調理場方式の学校がなくなるのは、さびしい思いがある。
調理業務に携わる者は、子どもたちに安全でおいしい給食を提供することを考え、業務に当たっていることを、まずご理解願いたい。
*都南学校給食センターに勤務していたときは、「調理後2時間以内の喫食」の基準が必ずしも守られていないことは理解していた。また、保温食缶の利用も汁物など一部だけであり、子どもたちが食べる時間には、給食は温かくなかったはず。
一方、単独調理場方式の学校では、美味しさや衛生面の点で、子どもたちに対してより良い状態で給食を提供できることから、可能なら単独調理場方式を継続していただきたい。
*食物アレルギー対応については、単独調理場方式の場合、保護者からの申し出があれば児童一人ひとりの個人レベルに対応した相当細やかな対応を行っている。
給食センター方式となった場合、従来通りの食物アレルギー対応ができなくなる恐れがあり、できなくなったとした場合、保護者へきちんと説明できるのか疑問がある。
*現在、自分が勤務する小学校はドライ方式の調理場であるが、すべての設備が新しいわけではない。老朽化して修理不可能な設備もある。ほかの調理場でも古い設備が多くあり、施設・設備の維持管理は大変だと思うが、現場で働いているものとしては、子どもたちへ安全安心な給食を提供することを最優先とした運営を考えていただきたい。

●盛岡市学校給食研究会
*給食センター方式への移行に当たっては、これまで出席者の方たちから単独調理場方式のメリットが様々述べられてきたが、これらを生かす基本方針を作成していただきたい。
*パブリックコメントを実施する際には、次の点に留意していただきたい。
①素案の1にある学校給食検討報告書の4つの方向性自体は良いと思うが、これだけではどのような検討経緯からこうした方向性が導き出されたのか分かりにくいと考えられるため、どのような留意点や課題があったのかを示していただきたい。
②素案2に「給食の実施内容」が述べられているが、その前に盛岡市として考える望ましい学校給食や施設のあり方をどのように考えているのか示していただけると、理解しやすくなると考えられる。
③基本方針のなかでは「調理等業務の運営」の部分が重要なポイントと考えられるが、何年計画でどのような形で共同調理場方式へ移行していくのか、少しでも具体的な見通しが示されれば、理解しやすくなると考えられる。
*盛岡市には単独調理場方式と共同調理場方式の二つがあり、実際に運営されているのだから、一概に共同調理場方式が悪いということはないと考える。
共同調理場方式にもメリットはあると考えらえるので、両方式の良い点を生かした基本方針・計画としていただきたい。

<質問への盛岡市教育委員会の説明>
*センター化への段階的移行について、もう少し具体的な説明を。
現在は、将来の調理場運営の方向性を定めるための「基本方針」を策定するための段階にあり、新しい調理場をどのような形(建設規模、運営方式等)とするかの「長期計画」が定まっていないため、具体的なスケジュールを示すことは困難です。
現時点での想定としては、例えば現在の単独調理場方式の学校全てに給食を供給することができる調理場を建設し、一斉に切り替える方法では、各単独調理場が有する調理機材等を廃棄する(基本的にドライ方式に対応できていない機材は、新しい調理場へ設置することはできないので廃棄となる)という無駄が生じるため、単独調理場の施設・設備の耐用年数などを検証して、できるだけ利用できるものは利用しながら、数校づつセンター方式への移行を進めていくことを考えています。
このように「基本方針」の決定後に策定することとなる「長期計画」の中において、現在保有している設備・備品・人材などの資産を最も有効に利用できる段階的移行方法などを示していきたいと考えています。
*少子化や長期休業期間における施設の有効活用を見越した施設整備とは。
給食センターの立替や建設に当たっては、建設や運営の経費をできるだけ節約するため、真に必要な規模の施設をつくる必要があります。
そのため、一度に大規模な施設を建設する方法以外にも、一定の期間の中で人口の動きや様々な社会情勢を見ながら、その時点で必要な規模の施設をいくつかに分けて建設するという方法も含めて検討していきたいと考えています。
しかし、それでも少子化の影響により、将来的には施設に余剰能力が生じることが予想されるほか、学校の長期休み期間などは調理作業が停止することから、例えば学校以外への給食提供の可能性などについて検討する必要があると考えています。
このように、施設をできるだけ有効に活用することを見通した施設整備のあり方を検討していくということです。
*地場産品の活用や学校行事への対応について。
調理場を整備するにあたっては、いわゆる施設・設備などのハードの面に加え、食材の納入体制や各学校との連携体制などのソフト面についても十分考慮する必要があります。
地場産品の一層の活用を進めていくうえで、納入業者などとの、食材の大量購入や特定地場産品の納品方法などについての協力・連携体制をいかに築いていくかが重要であると考えています。
また、各学校行事への対応については、複数のメニューをつくるための調理ラインが必要となる可能性もあるため、こうした設備・備品の必要性についても検討を行うことを考えています。
なお、質問の2及び3の回答については、複数の調理棟や調理ラインを確保する考え方とも関連することから、食中毒事故発生による被害リスクの低減対策にもなり得る可能性があると考えています。
*食器の回収時間に関する問題について。
給食センターからの配送については、食器の回収時間が決まっているため、子どもたち、とくに低学年の子どもたちの実際の給食を食べる時間に余裕がない状態となっています。
授業等が押したときは、教職員が子どもたちをせかして食べさせなければならなかったり、結局食べきれずに残飯となるなど問題があります。
ただし回収する側としても実際には本来の給食時間よりも遅めに回収する時間設定となっているほか、学校行事等で給食時間が遅くなることがあらかじめ分かっている場合は、改修順を遅らせるなどの対応をしています。
回収業者との契約を見直し、回収時間に弾力性を持たせ、さらに洗浄作業員の拘束時間を確保するなどによる対応は可能ですが、当然ながらそれに伴う経費が必要となります。
この問題については、「決められた時間内に食事を終えるということは、子どもたちが社会に出る際に身につけなければならない事の一つ」という教育的な考え方もあるなど、関係者の考えを確認しながら、どのような対応が必要か検討する必要があると考えます。

以上のような意見が出されていますが、概ね小学校の単独調理場方式を継続してほしいという内容でした。

みなさんは、どう考えますか?

このままでは、教育委員会の基本方針案にある通り学校の給食室はなくなり、子どもたちと日々コミュニケーションをとりながら給食を考える栄養士さんや調理員さんは学校現場からいなくなり、給食センターからの配食に…

もうすぐ基本方針についてのパブリックコメントが実施されます。市民全体の意見が反映されてこそ、これからの盛岡市の給食の方向性を決めるものとなると思います。
ぜひ盛岡市民のみなさんに考えていただきたいです。

『盛岡市立小中学校学校給食基本方針』にかかるパブリックコメント
*平成25年2月1日から2月22日まで
*盛岡市のホームページ>市政情報>パブリックコメント>パブリックコメント
http://www.city.morioka.iwate.jp/public_comment/public_comment/index.html
*各小中学校、市役所、分庁舎、各支所、公民館などにも資料が配布されます。


今日のつぶやき

2013-01-20 05:47:04 | ●日記●



●学校給食①●

2013-01-17 14:59:32 | ●盛岡の学校給食●

岩手日報などの報道ですでに知っている方もいると思いますが、いま盛岡市教育委員会では新しい給食センターの建設計画を立てようとしています。

盛岡市教育委員会は昨年11月19日、市議会教育福祉常任委員会で『盛岡市立小中学校学校給食基本方針』(案)を提案しました。つづいて11月26日の市議会全員協議会ではコスト試算などの資料も出しました。

教育委員会が出した資料です。
「2012.11.19説明資料.pdf」をダウンロード
「2012.11給食基本方針案.pdf」をダウンロード

基本方針案の具体的な内容を見てみると…

■中学校の給食:盛岡地域の中学校5校で実施している選択制(ランチボックス)給食を、牛乳給食のみの9校でも順次実施していく。

※現在、都南・玉山の中学校はそれぞれの給食センターから完全給食が運ばれています。盛岡地域の繋中学校と土淵中学校は併設小学校と一緒に完全給食を実施しています。
※選択制給食…市が委託した業者からお昼になるとランチボックスが届く。注文した子だけが食べる。注文は事前にマークシートに書き込んで提出、前払い。現在は黒石野中、上田中、北松園中、松園中、厨川中で実施、来年度から下橋中。

盛岡市の中学校で試行・実施してもう5年になるこのランチボックス給食。喫食率が非常に低いんです。H24年11月の平均が35%。前年まで小学校の自校給食を食べていて中学校に入学してランチボックスを食べた子が「小学校の給食が美味しかった」とランチボックスを嫌がっているという声も。
お昼になると、ランチボックスが届く子、持参の弁当をひろげる子…ちょっと想像がつきませんね。これでは完全給食を実施しているなどとは到底言えないのではないでしょうか。

■小学校の給食:老朽化が進んでいる都南学校給食センターを改築するとともに、新しい共同調理場を建設し、盛岡地域の単独調理場は段階的に共同調理場へ移行する。

※現在、都南・玉山の小学校はそれぞれの給食センターから完全給食が運ばれています。盛岡地域の小学校30校はそれぞれに給食室(単独調理場)があり自校方式の完全給食を実施(向中野小だけは都南給食センターから)。

つまり、1984年の移転・改築から29年近くが経ち老朽化した都南給食センターを改築する間、その代替施設とするためにも盛岡地域に新給食センターを建設する。都南給食センターのリニューアルが終わったら、盛岡地域のそれぞれの小学校給食室を順次閉鎖して新給食センターから配食するという計画です。
新給食センターは、6,000食規模が1施設と3,000食規模が1施設の合計2施設を予定。それぞれの単独調理場が老朽化し改築・改修する際は、衛生管理基準に準拠した施設にしなければならず、用地確保や整備費が大変なので新給食センターを建設するというのですが、まずは老朽化した都南給食センター改築の際の代替施設が必要なために新給食センター案が出てきたのではという気がします。

そのような事情やコスト面だけで、食育の観点からもすばらしい自校方式給食を切り捨ててしまっては非常にもったいないと思うのです。

そして基本方針案のなかには気になる『PFI事業方式』という言葉が…民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法って…なんでしょう…

次回記事では基本方針素案に対する関係者の意見を紹介します。しばしお待ちを。

間もなく、盛岡市によりこの基本方針に関してパブリックコメントが実施されます。

子育て世帯だけでなく、市民全体で考えていただきたいです。

・1月20日追記
パブリックコメント実施期間:2月1日から2月22日

●学校給食②●では教育委員会が事前に開いた意見聴取会での意見を紹介しています。ご覧ください