【時事(爺)放論】岳道茶房

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消費税論議 首相が逃げては話が進まぬ

2010年04月17日 | 社説
消費税論議 首相が逃げては話が進まぬ

 鳩山内閣の主要閣僚から、消費税率の引き上げに前向きな発言が相次いでいる。夏の参院選をにらんだポーズに終わらせず、具体化に向けた本格的な議論につなげるべきだ。

 口火を切ったのが菅財務相だ。「増税しても使い道を間違えなければ景気がよくなる」と指摘し、仙谷国家戦略相も「歳入改革を掲げて選挙しなければ、国民に失礼だ」と強調する。

 デフレ脱却に向けた財政出動を念頭に置く菅氏、財政再建を重視する仙谷氏と、増税論の立場は微妙に異なる。

 だが、このままでは景気は回復せず、財政が破綻(はたん)するとの危機感は共通する。両氏が消費税を含む税財政の抜本改革に踏み込んだのは遅きに失した感はあるが、経済担当閣僚として当然であろう。

 これに対し、鳩山首相は4年間の任期中、消費税を上げないと繰り返し、民主党内の大勢も「衆院選公約になかった消費税増税をすべきではない」と及び腰だ。

 しかし、年1兆円ずつ増える社会保障費を賄いつつ、財政を立て直すには消費税率の引き上げが避けて通れない。それは多くの国民が受け入れつつある。

 読売新聞が3月に実施した世論調査で、消費税について引き上げの検討を「評価する」とした回答が66%にのぼり、「評価しない」の28%を大きく上回ったことでも明らかだろう。

 経済団体も消費税率の大幅な引き上げを提言している。

 わが国の財政事情は、消費税論議を封印できるほど甘くはない。2010年度予算は、92兆円の歳出を賄う税収が4割しかない危機的な状況だ。

 国と地方の債務残高は10年度末で862兆円、国内総生産(GDP)に対する割合は181%に達する。60~70%にとどまる先進国の中では突出している。

 鳩山内閣は6月までに中期財政目標、年金制度改革、成長戦略など様々な経済テーマについて新方針を打ち出す。その内容が信頼に値するかどうかは、安定財源の確保にかかる。消費税抜きでは、それも期待できまい。

 政府税制調査会も消費税の扱いについて検討を始めたが、引き上げの是非などには踏み込まず、政治の決断待ちの状態だ。

 野党は鳩山内閣の姿勢を「財政軽視」と批判しており、消費税問題が参院選の争点に浮上するのは必至の情勢だ。鳩山首相は消費税から目をそらさず、堂々と論戦に臨んでほしい。

2010年4月17日 読売新聞 社説


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