【時事(爺)放論】岳道茶房

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検査院報告 埋蔵金発掘で終わるな

2010年11月08日 | 社説
検査院報告 埋蔵金発掘で終わるな

 会計検査院が公表した二〇〇九年度決算の検査報告は独立行政法人(独法)の巨額剰余金を発掘したことで、指摘金額は過去最高になった。不正指摘にとどまらず予算のあり方にも切り込むべきだ。

 国の財政をどう再建するかは内政の最大課題だが、官僚たちの税金の使い方は能天気なままだ。菅直人首相に提出された検査報告書を見ると、無駄遣いだけでなく会計法などの法令違反事例が満載されている。

 今年の検査は資産や利益剰余金などストックに重点を置いた。すると旧国鉄職員に年金を支払う鉄道建設・運輸施設整備支援機構に約一兆二千億円の剰余金があることが判明した。

 また金融機関の破たん処理を行う整理回収機構でも千八百三十七億円強の剰余金が見つかった。

 一方、不正経理も相変わらず多い。虚偽の請求書を提出させて購入代金を業者にプールする預け金が代表的。補助金を過大に支払ったり、契約が期間内に終了していないにもかかわらず請負代金を支払ったケースもあった。

 この結果、〇九年度決算での指摘金額は約一兆七千九百五億円と、前年度の約二千三百六十五億円の七・五倍に膨れ上がった。

 検査院が、例年以上に精力的に調べた姿勢は評価できる。

 大事なことは政府が検査院報告をどう生かすか、である。

 政府の行政刷新会議(議長・菅首相)は先月、特別会計を対象とする事業仕分けを行った。社会資本整備特会の廃止などを決めたが全体としてはまだ切り込み不足と言える。検査院報告を活用すれば無駄の排除とともに政策や事業の見直し、さらには新年度予算の配分適正化に役立つだろう。

 国会は検査院自体をもっと活用すべきだ。今年は参院が要請して大使館など在外公館を調べたが、ワインを過剰に抱えていたり一度も使わずに廃棄していた事例などが判明した。行政府の効率化徹底につなげてもらいたい。

 会計検査院は会計事務職員が故意または重大な過失で国に損害を与えた場合、当該官庁に懲戒処分を要求することができる。昨年末に防衛省へ幹部の懲戒請求を求めたが実に五十七年ぶりだった。身内に甘い、は許されない。

 さらに不当事項を指摘後、返済など是正されていない未済額は〇八年度末で約百三十億円もある。検査自体を軽視している証拠であり、不正職員への厳罰化など会計検査院法改正が急務である。

2010年11月8日 中日新聞 社説


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