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地域主権大綱 菅政権の実行力が問われる

2010年06月28日 | 社説
地域主権大綱 菅政権の実行力が問われる

 地方分権のメニューはほぼ網羅された。今後、問われるのは、菅政権の実行力である。

 政府が地域主権戦略大綱を決定した。

 国のひも付き補助金を一括交付金に改める。国の出先機関を抜本的に改革する。国の法令で自治体の仕事を細かく縛る「義務付け・枠付け」を見直す。都道府県の権限を市町村に移す。

 いずれも、国の権限や関与を小さくし、地方の自由裁量を拡大することで、地域活性化を図るための重要なステップだ。着実に実施する必要がある。

 使途が限定される補助金を、地方が自由に使える一括交付金にすることは、民主党が昨年の衆院選の政権公約で掲げたものだ。

 教育、社会保障など義務的な補助金は対象外とする一方、公共事業などの補助金は2011年度から順次、一括交付金化する。

 問題は、どこまで本気で取り組むかだ。大綱では、原案にあった「地域が自己決定できる財源」といった表現が削除されるなど、国が関与する余地も残している。

 今後、各府省任せにしては、一括交付金化が進まない恐れがある。予算編成に入る前に、より具体的な指針を作るべきだろう。

 国の出先機関の見直しでは、民主党の政権公約通り、「原則廃止」と大綱に明記したが、具体的には何も進んでいない。民主党の参院選公約でも言及はない。結局、自民党政権と同様、出先機関の統廃合にとどまるのではないか。

 まず、各府省が8月末までに、所管する出先機関の事務や権限について、「地方へ移譲」「国に残す」「廃止・民営化」など4項目に「自己仕分け」をする。その後、地域主権戦略会議が年内に行動計画を策定するという。

 だが、各府省が自らの権限や職員、財源を減らすのに抵抗はしても、協力するとは考えにくい。

 やはり菅首相や仙谷官房長官が前面に出て、政治主導で取り組むことが重要だ。民主党が自画自賛する「事業仕分け」を活用するのも一案だろう。

 大綱は、出先機関の事務や権限の地方移譲について、自治体の発意に基づく選択的な移譲や、都道府県単位でなく、複数の都道府県の広域連合への移譲も可能とする仕組みを検討するとした。

 こうした柔軟な仕組みを導入することは、地方の選択の幅を広げるもので、悪くない。

 その際、国の事務や権限を積極的に引き受ける覚悟があるのか、各自治体の姿勢も試されよう。

2010年6月28日 読売新聞 社説


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