【時事(爺)放論】岳道茶房

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人民元改革 中国は緩やかな上昇の容認を

2010年06月22日 | 社説
人民元改革 中国は緩やかな上昇の容認を

 中国の中央銀行である中国人民銀行が、「人民元相場の弾力性を高める」と発表し、人民元の切り上げを容認する姿勢を打ち出した。

 緩やかな元高は、中国ばかりでなく、世界経済にとってもメリットが大きい。言葉通り、中国は国際社会が納得できる元切り上げを実現すべきである。

 リーマン・ショック前の2008年7月から、中国当局は大規模な市場介入を続け、1ドル=6・83元前後で相場を固定してきた。

 しかし、今週末にカナダで開かれる主要20か国・地域(G20)サミット(首脳会議)では、人民元問題が議題になる見通しだ。

 サミット前に、中国は自主的な改革姿勢をアピールし、米国などで高まっている元の切り上げ圧力を回避する狙いだろう。

 ところが、中国当局が21日に示した元相場の基準値は、前週末と同じ1ドル=6・8275元だった。上海外国為替市場の取引は、基準値より元高にはなったが、今後の動きは不透明だ。

 大幅切り上げにはやや慎重な姿勢もうかがえる。改革のポーズだけでは、失望感が広がる。外圧もさらに強まるに違いない。

 人民元相場は、2005年7月から3年間で、対ドルで約2割上昇した。今後も、それくらいの切り上げペースが必要でないか。

 注目されるのは米国政府の出方だ。米国は4月、中国を為替操作国に認定することを先送りし、中国の自主的な判断を待った。

 貿易不均衡の拡大を背景に、議会では対中制裁法案が浮上している。元安が是正されない場合、米中摩擦が激化する恐れがある。

 元切り上げは、中国にとっても喫緊の課題と言えよう。元高の抑制を目的に相場介入を続けた結果、副作用が顕在化した。

 大量のマネーが市中にあふれ、不動産価格が高騰し、消費者物価も上昇している。景気は過熱気味で、バブル経済の状況だ。

 このバブルが崩壊し、景気急減速を招けば、中国経済は大打撃を受け、世界景気にも響く。

 中国は、輸出主導から内需主導型へ転換する途上にある。インフレを抑制し、成長を維持するには、経済力に応じた元の上昇を受け入れねばなるまい。

 中国ビジネスを展開する日本企業にも、中国経済の安定はプラスとなる。

 ただ、元高に連動し、円が急騰すれば、輸出企業の収益に悪影響が及ぶ。日本は元相場の推移を十分に注視する必要があろう。

2010年6月22日読売新聞 社説


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