一時帰国の大使、モスクワへ=日ロ首脳会談へ調整
政府は7日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問したことを受けて一時帰国させていた河野雅治駐ロ大使をモスクワへ戻すことを決めた。河野大使は同日午後、成田空港を出発。帰任後は13、14両日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に来日する大統領と菅直人首相との首脳会談に向け、調整を進める。また、大統領が北方領土の歯舞群島と色丹島への訪問を計画していることについて情報収集を行う。
河野大使は3日に帰国。首相や前原誠司外相らに大統領の国後島訪問の事情などを報告した。河野大使は出発に先立ち、成田空港で記者団に「そもそも一時帰国の目的は情勢報告。報告を終えたので戻るようにとの指示を受けた。ロシアとの関連でもAPECの行事がいくつもあり、その最後の準備を含めてやりたい」と語った。
政府が大使を一時帰国させた背景には、大統領の国後島訪問に対して抗議する事実上の対抗措置としての意味合いもあった。しかし、経済界から資源国のロシアとの関係悪化を懸念する声も出ており、前原外相は5日の記者会見で追加の対応について「現時点では考えていない」と表明していた。
首相はAPECでの首脳会談で、北方領土訪問について遺憾の意を伝える方針。同時にロシアとの経済関係強化を図りたい考えだが、政府内にはロシアに反発する世論も考慮して慎重に対応すべきだとの声もある。
2010/11/07 時事通信