【時事(爺)放論】岳道茶房

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独立法人見直し 「仕分け」の進化を見たい

2010年04月24日 | 社説
独立法人見直し 「仕分け」の進化を見たい

 仕分け人、蓮舫参院議員らが事業を問いただす声がまた帰ってきた。政府の独立行政法人(独法)、公益法人に対する事業仕分けが始まった。前半部分の独法への仕分けは、47法人の151事業が対象。初日から、国際協力機構(JICA、外務省所管)の運営費縮減など廃止や見直し判定が相次いだ。

 今年度予算を対象に昨年11月実施した「第1弾」はその斬新さが、国民の強い関心を集めた。一方で、ムダ削減の効果が限られていたのも事実だ。今回は、独法が天下りの指定席となっている構図を暴くだけでなく、統廃合も含めた大仕掛けな改革につなげることが大切だ。「仕分け」も進化が問われている。

 独法は行政の効率化に向けて、民間手法の導入を目指すとして制度化された。ところが役員の多くは所管省からの天下りで占められ、そこからさらに公益法人に天下りをする「わたり」が横行している。しかも、国から支出を受ける多くの独法は、ファミリー企業との随意契約で割高な経営をしている。財政危機の中で今ごろこんな運営をしている実態を大いにあぶり出してほしい。

 ただ、「役人たたき」に終始するようでは、仕分けの限界も示すことになる。行政刷新会議が作業にあたり、事業を本来は民間に委ねるべきか、さらに他法人と重複していないかのチェックに重点を置いたのは賛成だ。その結果を踏まえ、仕分けの対象から外れた法人も含め、全体の改革に踏み込まねばならない。

 また前回の作業では、同じ事業でも仕分け人がムダと判定した部分と別の経費が実際は予算から削られたケースも指摘されている。科学技術分野などが果たして「仕分け」になじむ分野かも論議を呼んだ。今回も、文部科学省所管の14法人が俎上(そじょう)に載る。事業の廃止や縮減の判定にあたり、その中身と理由についての説得力が前回以上に問われよう。

 鳩山由紀夫首相には、仕分けを内閣支持率の挽回(ばんかい)につなげる期待が強いようだ。だが、枝野幸男行政刷新担当相が言う通り、仕分けの成果をただちに金額としてはじき出すことは難しい。政権浮揚を意識したパフォーマンスに走れば、逆に国民の反感を買う。仕分けを通じた経費削減の限界を認識したうえで財源論議は別途、進めなければならない。

 仕分けの判定通りに事業廃止や法人の統廃合に手をつければ、天下り先が減る関係省庁が猛烈に抵抗することは確実だ。事業を廃止する法人の職員の雇用にどう取り組むかという、難題も控える。仕分けを政治の手法として定着させるためには、それを生かし切る内閣の力量が何よりも必要である。

2010年4月24日 毎日新聞 社説


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