【時事(爺)放論】岳道茶房

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独法事業仕分け 「政治劇場」の再現では困る

2010年04月16日 | 社説
独法事業仕分け 「政治劇場」の再現では困る

 政府が、独立行政法人と公益法人を対象とする事業仕分け第2弾の準備を進めている。昨秋の第1弾の反省を踏まえ、政治パフォーマンスに陥らないようにすべきだ。

 枝野行政刷新相らは、仕分けの対象となる独法と政府系の公益法人を選ぶため、所管する府省などから聞き取り調査を実施した。本番の仕分け作業は、今月下旬と来月下旬に行われる予定だ。

 独法や公益法人の多くは、各府省から職員の天下りを受け入れつつ、政府の補助金を受け、有利な条件で事業を受注している。時には、受注事業をより安値で別の法人や企業に再発注し、その差額で天下り職員の給料を捻出(ねんしゅつ)する。

 そんな持ちつ持たれつの関係に大胆にメスを入れることは、政府全体の歳出削減と行政改革を進めるうえで、極めて大切だ。

 ただ、独法や公益法人への天下りを大幅に減らすのであれば、早期勧奨退職を含む、現在の国家公務員制度全体の見直しにも同時に取り組むことが欠かせない。

 現在104ある独法については2007年12月に福田内閣が整理合理化計画をまとめた。だが、廃止・民営化とされた6法人のうち、実現したのは3法人だけで、進捗(しんちょく)ははかばかしくない。

 不要不急または民間で可能な事業は廃止・民営化する。国が責任を負うべき事業は国が直接実施する。仕分け作業を通じて各独法の事業を吟味し、この方針をどこまで徹底できるかが問われる。

 公益法人については、08年7月に福田首相が政府支出の3割削減を指示し、目標は達成された。

 しかし、国所管の公益法人は6625にも上り、個別事業の必要性や役員の人数・報酬の妥当性に監視の目が届きにくい。事業仕分けという新たな手法で改革に取り組む意義は小さくない。

 一方で、昨秋の第1弾のように、1案件にわずか1時間という制約の中、問答無用で官僚をたたき、予算を切る、というポピュリズム(大衆迎合主義)的なやり方を繰り返すべきではあるまい。もっと丁寧な議論が求められる。

 第1弾では、目先の費用対効果だけに固執し、中長期的な国家戦略という視点が欠けていた。科学技術や安全保障、文化振興といった専門性が要求される分野で、効率論一辺倒では大局を見失う。

 仕分け人の選任も、慎重を期す必要がある。民間人や外国人が、正式な辞令交付もないまま、政府の重大な政策や制度の変更に関与することは避けるべきだ。

2010年4月16日 読売新聞 社説


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