【時事(爺)放論】岳道茶房

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経済政策 消費税をどうするのか

2010年06月08日 | 社説
経済政策 消費税をどうするのか

 菅直人新政権は日本経済の復活と財政再建が待ったなしの課題になる。消費税引き上げに前のめりな姿勢が目立っているが、まずは公務員制度改革や行政の無駄減らしに全力を挙げるべきだ。

 菅新首相は経済政策の基本的考え方として「強い経済、強い財政、強い社会保障」と述べ、経済と財政、社会保障を一体として扱っていく方針を強調している。

 その限りで異論はない。問題は中身だ。焦点の消費税について、菅氏は国家戦略相だった昨年にはまず行政の無駄減らしに努める姿勢だった。ところが、財務相に就任してから「増税しても、使い方を間違わなければ成長できる」と軌道修正した。

 鳩山由紀夫政権は「四年間は消費税を引き上げない」と公約していたが、菅氏は「新たな内閣、党執行部で方向性を示す」と語るだけで明確にしていない。

 増税で得られた財源をそっくり年金や医療、介護の社会保障財源に回すのか、あるいは一部を産業政策にも活用するのか。そもそも「増税による成長」とは本当に実現可能なのかどうか。自分の言葉ではっきりと語ってほしい。

 日本経済は「停滞の二十年」とも呼ばれ、先進国の中でも異例な低成長にあえいできた。経済格差は拡大し、雇用も揺らいでいる。最近では規模の大小を問わず、海外に活路を求める企業が相次いでいる。産業界からは法人税引き下げを求める声も強い。

 二〇一一年度の予算編成を展望すると、子ども手当の満額支給など民主党が政権公約(マニフェスト)でうたった政策を実行すれば、国債を本年度並みに発行しても「財源不足は十三兆円に達する」という財務省試算もある。

 一方で、菅氏は一一年度の国債発行額は本年度の四十四兆円以下に抑制する考えも示している。すると結局、マニフェスト政策の一部断念か増税かという選択にならざるをえないのではないか。

 増税を視野に入れるなら、まず事業仕分けであきらかになった霞が関の無駄遣いを徹底的になくすことが大前提になる。

 肥大化した独立行政法人や公益法人が監督先の役所から下請け仕事をもらう代わりに、天下りを受け入れる官の既得権益構造を放置したまま、政府が国民に負担を押しつけるのは容認できない。

 ここ数日、菅氏の発言からは脱官僚依存という言葉がすっかり消えた。まさか「脱官僚はもうやめた」というのではあるまいが。

2010年6月8日 中日新聞 社説


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