中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

留守児童について

2017年09月08日 | 中国の農村教育事情

中国語で「留守児童」とは「中国では、両親と一緒に生活していない児童を云い、親が生計の為故郷を離れ、親の庇護を受ける事が出来ない16歳以下の児童を指す」との事です。

全国婦人連合と云う組織の調査に拠れば、2010年の時点で留守児童は、約6000万人にも上るとの事で、この数は農村の全児童の約37%にを占めるそうです。この数字は、2010年に行われた第六次全国人口調査を元にサンプル踏査してはじき出した数との事です。(注:2015年第22期鳳凰週刊に拠る)

また、別の調査に拠れば、農村の留守児童の数は5800万人に上り、その内、約57%が父親又は母親の一方が家に居ない、約43%の児童は両親とも外に働きに出ており、家に居ないとの事。残された児童の面倒を誰が見るかと云えば、留守児童の内の約80%は、祖父母が子供の面倒を見ているとの事ですが、13%の子供は親戚や友達の家に預けられており、残りの約7%は子供のみ或いは残された子供の面倒を見る大人が居ないとの事です。(注:「雲南の三姉妹」と云うドキュメンタリー映画を見ると、中国の農村における留守児童の実態の一部を伺い知る事が出来ます)

私も以前貴州省の某農村を訪れた際に、小学校の先生と話した事があるのですが、そこは少数民族が多い地域の小学校と云う事もあり留守児童の占める割合は約半分近いとの事でした。今私の知人の女性がボランティアをしている麗江市のある鎮に属する某小学校でも、ほとんどの子供の両親或いは何方かが出稼ぎに出ており、子供は両親と離れて暮らしているとの事です。子供が小学生ですから、両親は云わば働き盛りなのですが、地元には働き口が無いので、ほとんどが故郷を離れ止む無く都市部に出稼ぎに行くとの事です。

取り残された子供達の実家の家業は、農業が多いので、子供達は、家畜の世話や収穫の手伝いもしたり、場合により年下の兄弟の世話をする必要があるので大変の様です。また、この様な子供達の多くは、中学校を卒業したら親同様に出稼ぎに行く子供も多いとの事です。また、中学を卒業したら結婚すると云う様な事例も見受けられるとの事です。

ボランティアをしている女性の話では、麗江市のある鎮の子供たちは麗江市内は無論の事、昆明市へも行った事もないとの事で、休み中は、放牛、放羊等の手伝いや農作業の手伝いをして過ごすとの事です。都市部の児童の多くが、休み中は、サマースクールに通ったり、塾に通ったり、家族と旅行に行ったりして過ごすのとは大違いです。(注:放牛、放羊については以前ブログで触れた事もありますので参考にしてください。)

中国の農村部に、この様に留守児童が多い理由の原因の一つには、農業戸籍と非農業戸籍に分けられている中国の特有の戸籍制度があると云われています。農業戸籍を持つ人は、都市部で働くことは出来ても、その子供は両親が働く都市の小学校や中学校には原則として入学できません。両親が働く場所の小中学校に子供は通えない為に、子供は戸籍のある地元に残るしかないと云う訳です。それで、子供と親は離れ離れで生活する羽目になる様です。

北京、上海、広東等出稼者が多い大都市には、俗に「民办学校」と称する云わば私立の学校もあるようですが、学費が高い、児童の数の比べ学校が少ない等の理由で皆が学校へ入れない事もあり、子供は親と離れ離れで生活する場合が多く、子供を働き先に連れて行けば、生活費もかかる等の理由も親と子供が離れ離れで暮らす原因の一つの事。

最近では、長期に渡り親と離れ離れで暮らさざるを得ない留守児童が抱える心理面の問題も指摘されている様です。

放牛、放羊、放鴨について

 

 

 

 



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