中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

中国の「支教」について

2017年09月03日 | 中国の農村教育事情

中国語の中に「支教」と云う言葉があります。中日大辞典(大修館)中日辞典(小学館)等の辞書には、この単語は載っていません。中国語検索エンジンの「百度」で、「支教」を調べると「中国農村部の遅れた地域の小中学校等で、ボランティアする」とあります。

一方中国語には、「志望者」と云う言葉がありますが、此方は日本で云う様な意味で使われ、日本の様に様々な所謂ボランティア活動を指す様です。

最近知った女性の一人は、雲南省麗江市石鼓鎮のある小学校で「支教」をしているとの事です。実は、その女性は学校が休みの間だけ、私の所で日本語の勉強をしていたのですが、9月に入り新学年が始まり、そのボランティアをしている鎮の小学校に帰っていきました。

大分前の事ですが、雲南省で「支教」をしている女性と知り合い話をした事があります。その女性は、NGO団体から、現地までの交通費や少ないのですが給料も支給されているとの話でした。また、そのNGO団体が、その小学校に文房具、運動用具、図書等も寄贈し、さらにボランティアの教師を派遣しているとの事でした。

今回知り合った「支教」の女性は、全くの個人で「支教」をしているとの事です。従って全くの「無給」「無報酬」で文字通りのボランティアをしているとの事。住まいは学校側が提供しているとの事ですが、完全な無給との事です。今に至る迄、その学校には、ボランティアも来た事もなかったとの事です。実を云えば、中国ではボランティアと云うもののお金が支払われていたり、党組織が組織しているケースも多いのが実情の様ですのでボランティアと云う場合にも額面通りに受け取れないので注意が必要です。

その支教をしている女性から改めて雲南省の農村の実情や教育の実情を聞くと、都市と農村の格差を思い知ります。例えば、中国の多くの都市部では小学校3、4年生から英語教育が始まりますが、多くの農村部では小学校段階では英語教育は行われておらず、中学校から実施されるのが普通の様です。また、当然の様に図書室等もありません。音楽、図工、体育等の専門教師もいないのが実情です。音楽室、家庭科室等の特別教室の様なものも無いのが普通です。一学年あたり、一名の教師が居ればいい方で、農村部の小学校では、校長は居るものの、他の教師と同じようにクラスを担任し、授業も行うのが普通です。因みに、その女性は、その小学校で英語や語文(中国語)を主に教えているとの事です。

何故中国の都市部と農村部で、教育の面でこの様な隔たりがあるかと云えば、このブログでも触れた事もあるのですが、地方の教育の経費に関しては、地元政府がその経費を主に負担するとの原則があるため地方に拠り、教師の待遇にも差があり、学校の施設についても大きな差が出来る様です。農村部にそれなりの教師が派遣されても、待遇が悪いので、すぐ辞めてしまう、その後教師の補充が出来ない等の問題も起きている様です。

また、ボランティアの大学生達が来ても、2,3ヵ月もすると辞めてしまうケースも多い様です。この女性が勤務している小学校は、鎮でも一番設備が整っている小学校との事で、校舎も新たに新築されたばかりの事で、学校には洗濯機、シャワーの設備もあるとの事です。鎮等には、食堂は無いので、自炊する羽目になります。ただ、以前と違い農村の小学校でも、中央政府の援助で、無料の給食が始まり、先生も以前の様に毎食毎食自炊する必要はなくなったようです。

以前、私が貴州省の某農村で知り合った何人かのボランティアは、半年と持たずに帰っていきました。洗濯機もなく、シャワーの設備もない、暖房設備もないと云う様な状態で、その上食事は毎食自炊と云う様な状態で、堪え切れず去る人が多いのが実態の様です。そこは、町の中心へ出るには、バス等は当然ありませんので、徒歩か、バイクで出掛けるしか方法がないと云う様な有様でした。学校側が、ボランティアに提供する部屋も一間のみで、トイレは外部で、冷蔵庫等も当然ないと云う様な劣悪な条件の下では、長くても半年程度のボランティアで終える人が多い中で、その女性はもう半年間もボランティアを続けており、一年間の予定でその村でボランティアをするとの事で、私は彼女を大変敬服しています。彼女が云うには、洗濯機もあり、私は恵まれていると話しています。

 

 

 



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