中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

楊艾菁さんが小学校を建てた所と農村教学点

2012年05月29日 | 中国の農村教育事情

楊艾菁さんが小学校を建てると決めた場所は貴州省畢節地区納雍県昆塞郷挟岩村(挟は手偏なし)。その村までは貴陽市から車で約9時間かかるそうで、その後歩いて挟岩村まで行き、村に現在ある古都小学校を見学したようです。その古都小学校は二つの教室があるだけの学校で、21名の生徒に対し一名の先生、それも代課老師がいるだけの学校だそうです。

この古都小学校は、小学校と言うものの実際は、中国では農村でよく見られる教学点と呼ばれる教育施設のようです。先生が一人しかいないこともあり、クラスは一年生のみだそうで、二年生、三年生になると別の村の小学校へ通う子供が多いが、中には9歳だけれども、隣村の学校ではなく、今でもここの小学校で勉強している子供もいるそうです。以前には低学年の三クラスがあったのかも知れませんが今は一クラスのみとのこと。

私も昨年榕江県のある村に行ったとき中国の農村で「教学点」と呼ばれている教育施設を初めて見ました。ある郷から、その村は15キロ程行った所にあり、その村の教学点は一部屋だけで、その部屋に黒板と幾つかの椅子があるだけのものでした。勉強机はありませんでしたが、今でも一部の農村の小学校には椅子はあるが机はない所も見かけます。私が行った時には、この村で祭りがあり、学校も休みだったので何人の生徒がいるか、また先生は何人いるかはわかりませんでした。

中国で一般に農村教学点と呼ばれる教育施設は、小学校一年生、二年生、三年生など低学年生のみが通う小学校を指すようです。これに対いて小学校一年生から六年生までのクラスがある場合は「完小」と呼ばれます。小学校がある所まで通うのが大変な場合等、その地域の近くに、村の子供たちが通い勉強出来るよう作った施設のようです。ですから私たちが学校と聞いた時に一般に浮かべる物とはだいぶ違い、塾のような感じで、一部屋で子供たちが勉強していることが多く、複式も多く、先生も一人だけというような状態が多いようです。その先生も所謂「代課老師」と呼ばれる代用教員が多く、
正式な先生は少ないようです。

農村教学点の場合、中国語で代課老師と呼ばれる代用教員は、村である程度の学歴のある人が先生を勤めることが多いようで、外部から正式の先生として赴任するケースはほとんどないとの事。ある程度の学歴と云っても精々高卒程度、なかには中卒程度の学歴でも代課老師を務める様な事も多い様です。正式に教員資格のある人は全く居ない様です。

なぜ農村教学点に正式の先生が来ないかというと、待遇が悪いこと、村の自然環境、生活環境が悪いこと、宿舎など設備も悪いことなど様々な理由があるようです。宿舎といっても学校の中で住み込みの場合が多く、特別な宿舎と呼べるような物はない。また、村には食堂などは無いので、村で教員をする場合は、三食自炊となるし、村には満足に売店等も無いことも多い。

从江県のある小学校では、三クラスあるが、先生は二人しかいませんでした。待遇や居住環境が悪いなど様々な理由で先生が、この学校には来ないとのことでした。また、新しく来た先生も、すぐに条件の良い別の小学校に転勤してしまうそうで、今年ある村の小学校を二年ぶりに訪ねたら、顔ぶれが変わっていました。


例えば古都小学校の代課老師の給料は一ヶ月わずか240元だそうです。私が昨年訪ねたある村の代課老師の給料は月800元と話していました。貴陽市内のある県の小学校を訪ねた際、先生の月給を聞いたら月額約2000元でした。中国の場合、地方政府の財政事情により先生の待遇は違い、特に郷、鎮、村レベルではそれぞれ地方政府が先生の給料初め教育係る経費は負担しなければならないので待遇にかなりの開きがあるようです。このように待遇にかなりの差があるので僻地の農村、特に貧困地区の農村の小学校では先生になる人が少ないとのことです。

都市部の小学校では、3年生から英語教育が行われていますが、農村部の小学校ではまず英語教育は行われていません。農村部の小学校には、音楽、美術、体育等の専門の教師も居ないのが現状で、一人の先生が全ての科目を担当します。また、一クラス当り一人先生配置されて居ればいい方で、一年生から六年生まであれば、先生は六名と云う様な学校が多い様です。、

また、中国人でも「教学点」と云う語彙を知らない人も多い様です。私の知り合いの大学生に「教学点」を知っているか聞いた処知らない、初めて聞いた単語と答えました。

 



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