中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

貴州省の水碓磨(水力によるひき臼)について

2013年10月17日 | 中国貴州少数民族の村

米の脱穀や精米の方法としては、搗臼を使う方法以外には、水車を回し碾き臼を使い米等を脱穀、精米する方法もあるようです。中国語では「水碓磨」(shui dui mo)と呼ぶ様で、何でも中国では5世紀後半に、祖沖之と云う人がこの「水碓磨」を発明したとの事です。

但し貴州省等でも、この水車を動力として碾き臼を回して精米や脱穀をする方法は、現在ではほとんど見られないようです。私も貴州の農村部に行った際には、特に注意して見ているのですが、もう使用されなくなった「水碓磨」は、何度か見かけたのですが、今現在も使われてる「水碓磨」を実際に見たのは一度だけです。

貴州省黄平県にある今も稼動している「水碓磨」。丸い物が石車で、水力で回転して、石の溝の上を回転して脱穀、精米する。丸い物が三個見えますが、あれが水力で回転する。

 

ここでは全部で「水碓磨」が9台程ありかなり大規模な「水碓磨」場となっているようです。川の水量もかなり豊富です。

 

これは、貴陽市の花渓公園の中に在る観光用に作られた「水碓磨」。この丸い石車が水力で動き、溝の上を回転して精米や脱穀をする。

 

外には水車がついており、これが水力で回転して、中の石車を回す。


こちらは、貴州省のトン族の村で見かけた、既に使われなくなった「水碓磨」小屋。下に水車が在るのが見えます。使われなくなってどのくらい経つか見当がつきませんが一応「水碓磨」小屋は今も残っています。


この石で出来た溝の上を、石車が回転して、お米を精米、脱穀する。

 

石の溝の上にも、石臼等と同じようにこのように細かい筋が入れられています。

 

この石車が水力で回転して、上の写真の溝の上を回転して精米や脱穀する。

これと同じように貴州省のある村で、やはりもう使われなくなった「水碓磨」を見たことがあります。荒廃の具合から、察するに使われなくなって優に十年は経っているようで、その村の「水碓磨」は、石車と石で出来た溝の一部が残っているだけでした。無論機械化が進んだ事で「水碓磨」は、使われなくなったとは思いますが、原因の一つには、水不足の問題も在るのかもしれません。ある村の使われなくなった「水碓磨」では、まったく水が流れていなく、完全に干上がった川で、よく見ないとそこが川とは分からないような状態となっていましたので。

貴州省の各地では今でも搗臼は見ることが出来るのに、「水碓磨」がほとんど姿を消した理由は良く分かりません。「搗臼」が今でも良く使われているあるトン族の村には、以前は二箇所の「水碓磨」があったようでしたが、やはり石車と石で出来た溝が一部残っているだけでした。やはり以前あった「水碓磨」の所の川は完全に干上がっていました。

20数年前のNHKのTV番組で、貴州省ある苗族の村が取り上げられており、その番組の中でこの「水碓磨」で、採れたもち米を精米する場面があったように記憶しています。村人が「水碓磨」で精米した米は味が違う、美味しいと話していたような覚えもありますが、機械で精米や脱穀した物とは、やはりこの「水碓磨」で精米したお米は味が違うのかも知れません。

 



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