残すところ2試合のみとなった今回のワールドカップ・ドイツ大会。数ヶ月前、僕は某夕刊紙に連載しているコラムの中でドイツ代表のユルゲン・クリンスマン監督を取り上げ、アメリカ流のメソッドを持ち込んだ彼が大会後にどういった評価を得るのか興味深いと書いた。明日、ポルトガルと3位決定戦を行うドイツ代表の評判は上々のようで、長年クリンスマン嫌いだったベルリンの友人まで「ドイツ・サッカーの救世主」と電話の向こうで絶賛していた。ここで気になるのが今後の展開。ドイツ・サッカー協会はすでにクリンスマン監督の続投を熱望しているらしいけど、彼が生活の拠点を置くアメリカでも、次期代表監督を望む声が高まっている。史上最強の代表と騒がれたものの、今大会のアメリカ代表のパフォーマンスは悲惨なもので、国内メディアはアメリカ人指導者の国際経験の欠如を問題視している。おそらく、この数週間で大きな動きがあるだろうけど、ユルゲンはどちらのチームで次の4年間を過ごすのだろうか。さてさて、今日はコカ・コーラ社の企業秘密をライバルのペプシコ社に売り渡そうとした3人が逮捕されたというニュースを。これ、本当は昨日のブログで書いておきたかったんだけど、フィラデルフィアから夕方に戻ってきてから夜遅くまで仕事を片付けていたため、今日のブログで紹介することに。遅かれ早かれ、テレビドラマの原作として使われるんじゃないかと思ってしまう今回の事件。まぁ、いろんな事を考えるやつがいるものです。
米連邦検察当局は5日、コカ・コーラ社の女性社員とニューヨーク在住の男性ら2名を、同社の飲料水の製造方法などに関する情報をライバル社に売り渡そうとした容疑で逮捕・訴追したと発表した。逮捕されたのはコカ・コーラ社のアトランタ本部で幹部秘書として勤務していたホヤ・ウイリアムズと、イブラヒム・ディムソン、エドムンド・ドゥハニーの3人。ディムソン容疑者はニューヨーク在住だったものの、3人ともアトランタ郊外のドゥハニー容疑者の自宅で逮捕されている。社内の秘密資料や新製品の試作品を入手したウイリアムズ容疑者は、それらを秘密裏に社外へと持ち出し、前出の2人と共謀して、ライバルのペプシコ社に150万ドル程度で売り渡そうと試みた。ウイリアムズ容疑者は6日に2万5000ドルの保釈金で釈放されたが、残りの2人は現在も拘留中だ。3人に対する審問は11日から開始される予定だ。
ウイリアムズ容疑者には犯罪歴がなく、逮捕のニュースに家族も動揺を隠せない様子だ。ドゥハニー容疑者は以前にコカイン売買で有罪となり、アラバマ州モントゴメリーの連邦刑務所に5年間服役し、昨年2月に出所していた。また、ディムソン容疑者も2003年から1年間を同じ刑務所で過ごしており、2人が刑務所内で知り合った可能性が高い。ウイリアムズ容疑者と2人の接点については現在も不明だ。ニューヨークに本社を構えるペプシコ社は5月19日、検察当局にコカ・コーラ社の社名が入った封筒で送られてきた手紙を検察当局に提出した。消印がニューヨークのブロンクスとなっていた封書には、「ダーク」という名の人物がコカ・コーラ社の企業秘密を売り渡す用意があると書かれていた。連邦捜査局(FBI)はすぐに捜査を開始し、おとり捜査官と犯人グループとの交渉が数週間続けられた。
「ダーク」とおとり捜査官の間で行われた交渉によって、犯人グループはコカ・コーラ社の新製品のサンプルと社内の秘密資料を売り渡すことに同意。アトランタ国際空港に現れたディムソン容疑者は、ペプシコ社の関係者を装ったFBIエージェントと取引を行い、機密資料と現金の詰まったクッキー缶がその場で交換された。FBIは犯人グループの監視を続け、その間に入手した機密資料や新製品のサンプルをコカ・コーラ社の幹部と共に検証したが、資料などは全て本物だった。6月27日、犯人グループから新たな連絡があり、残りの機密資料を150万ドルで売り渡したいとの申し出があった。おとり捜査官を完全に信用した犯人グループは、実名を使って銀行口座を開いたため、7月5日に逮捕されている。今回の事件では長年にわたって秘密とされてきたコカ・コーラのレシピは盗まれていなかったものの、社員によって企業秘密が持ち出されていたため、企業内における機密管理の難しさを露呈している。
世界は狭いと感じずにいられなかったエピソードをひとつ。最近、ボストン在住の友人と電話で話しをしていた時に、ジャーナリストの広河隆一さんの話題が出た。広河さんといえば、80年代後半にセントルイスに住んでいた僕の姉が一緒に仕事をしたことがあり、当時セントルイス大学の博士課程にいた姉が広河さんの取材に現地コーディネーターとして参加していたのだ。「そういえば、講談社の雑誌で僕の姉がセントルイス取材に参加していたよ」、僕は頭の片隅にあった記憶をたどりながらそう言った。「それって、もしかしてDAYS JAPANですか?」、素早い反応を見せる友人。彼女は著名なアメリカ人カメラマンのスタジオで働いていて、そのスタジオに当時の雑誌の表紙がポートフォリオの1つとして飾られているらしい。広河さんの記事が掲載された号の(僕の記憶が正しければ、タイトルは「アメリカ大統領選挙と12人の美女たち」だったと思う)表紙写真を撮影したのが、このアメリカ人カメラマンで、彼も僕の話を聞いて喜んでくれたらしい。それにしても、世界って本当に狭いなと思う。今度帰国したら、実家の倉庫に置いているその雑誌をチェックしてみようと思う。
写真:故郷のシュトットガルトで行われる3位決定戦の前日、ボルフガンド・シュースター市長にシュトットガルト入りを出迎えられたクリンスマン監督 (AP通信より)
米連邦検察当局は5日、コカ・コーラ社の女性社員とニューヨーク在住の男性ら2名を、同社の飲料水の製造方法などに関する情報をライバル社に売り渡そうとした容疑で逮捕・訴追したと発表した。逮捕されたのはコカ・コーラ社のアトランタ本部で幹部秘書として勤務していたホヤ・ウイリアムズと、イブラヒム・ディムソン、エドムンド・ドゥハニーの3人。ディムソン容疑者はニューヨーク在住だったものの、3人ともアトランタ郊外のドゥハニー容疑者の自宅で逮捕されている。社内の秘密資料や新製品の試作品を入手したウイリアムズ容疑者は、それらを秘密裏に社外へと持ち出し、前出の2人と共謀して、ライバルのペプシコ社に150万ドル程度で売り渡そうと試みた。ウイリアムズ容疑者は6日に2万5000ドルの保釈金で釈放されたが、残りの2人は現在も拘留中だ。3人に対する審問は11日から開始される予定だ。
ウイリアムズ容疑者には犯罪歴がなく、逮捕のニュースに家族も動揺を隠せない様子だ。ドゥハニー容疑者は以前にコカイン売買で有罪となり、アラバマ州モントゴメリーの連邦刑務所に5年間服役し、昨年2月に出所していた。また、ディムソン容疑者も2003年から1年間を同じ刑務所で過ごしており、2人が刑務所内で知り合った可能性が高い。ウイリアムズ容疑者と2人の接点については現在も不明だ。ニューヨークに本社を構えるペプシコ社は5月19日、検察当局にコカ・コーラ社の社名が入った封筒で送られてきた手紙を検察当局に提出した。消印がニューヨークのブロンクスとなっていた封書には、「ダーク」という名の人物がコカ・コーラ社の企業秘密を売り渡す用意があると書かれていた。連邦捜査局(FBI)はすぐに捜査を開始し、おとり捜査官と犯人グループとの交渉が数週間続けられた。
「ダーク」とおとり捜査官の間で行われた交渉によって、犯人グループはコカ・コーラ社の新製品のサンプルと社内の秘密資料を売り渡すことに同意。アトランタ国際空港に現れたディムソン容疑者は、ペプシコ社の関係者を装ったFBIエージェントと取引を行い、機密資料と現金の詰まったクッキー缶がその場で交換された。FBIは犯人グループの監視を続け、その間に入手した機密資料や新製品のサンプルをコカ・コーラ社の幹部と共に検証したが、資料などは全て本物だった。6月27日、犯人グループから新たな連絡があり、残りの機密資料を150万ドルで売り渡したいとの申し出があった。おとり捜査官を完全に信用した犯人グループは、実名を使って銀行口座を開いたため、7月5日に逮捕されている。今回の事件では長年にわたって秘密とされてきたコカ・コーラのレシピは盗まれていなかったものの、社員によって企業秘密が持ち出されていたため、企業内における機密管理の難しさを露呈している。
世界は狭いと感じずにいられなかったエピソードをひとつ。最近、ボストン在住の友人と電話で話しをしていた時に、ジャーナリストの広河隆一さんの話題が出た。広河さんといえば、80年代後半にセントルイスに住んでいた僕の姉が一緒に仕事をしたことがあり、当時セントルイス大学の博士課程にいた姉が広河さんの取材に現地コーディネーターとして参加していたのだ。「そういえば、講談社の雑誌で僕の姉がセントルイス取材に参加していたよ」、僕は頭の片隅にあった記憶をたどりながらそう言った。「それって、もしかしてDAYS JAPANですか?」、素早い反応を見せる友人。彼女は著名なアメリカ人カメラマンのスタジオで働いていて、そのスタジオに当時の雑誌の表紙がポートフォリオの1つとして飾られているらしい。広河さんの記事が掲載された号の(僕の記憶が正しければ、タイトルは「アメリカ大統領選挙と12人の美女たち」だったと思う)表紙写真を撮影したのが、このアメリカ人カメラマンで、彼も僕の話を聞いて喜んでくれたらしい。それにしても、世界って本当に狭いなと思う。今度帰国したら、実家の倉庫に置いているその雑誌をチェックしてみようと思う。
写真:故郷のシュトットガルトで行われる3位決定戦の前日、ボルフガンド・シュースター市長にシュトットガルト入りを出迎えられたクリンスマン監督 (AP通信より)