IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

日曜朝のオルタナティブな過ごし方

2005-04-18 13:46:40 | 政治
週末に借りた映画のDVD、予定していた土曜日深夜の鑑賞が無理だったため、日曜日の朝から見ることにした。昼からサッカーの練習があるために、なんとか正午あたりまでに2本見なければならず、仕方なく午前7時頃に起床。日曜日の午前7時頃に起きるなんて、何ヶ月ぶりのことだろうか。よく考えれば、子供の頃はこの時間帯に苦も無く起きていた記憶があるけど、週末の夜は外出する事が生活パターンの一部となったいつ頃からか、日曜日の早朝に起きる事はなくなっていた。映画の話に戻ると、実は今回レンタルしてきた2作品が全て日本映画で、すぐに2週間ほど帰国するにもかかわらず、どうも無性に見たくなってしまったのだ。その2本の映画だけど、「SADA」と「たそがれ清兵衛」で、両方とも前から気になっていた作品だった。

「たそがれ清兵衛」の方は昨年のアカデミー賞外国作品賞候補にノミネートされた事もあって、日本でももうおなじみの作品だと思うけど、僕は自宅近くのレンタル店(最近はアメリカの大手レンタル店でも、外国映画が本当に増えた気がする)で「SADA」を発見した事にビックリしてしまったのである。大林宣彦監督の「SADA」について簡単な説明をすると、昭和12年に現在の東京都荒川区で実際に発生した「阿部定事件」がテーマとなっており、阿部定という女性の半生を黒木瞳が好演している。おそらくほとんどの方がご存知かと思うが、不倫関係にあった男性の局部を切り取って逃亡を図った、昭和初期の「怪事件」の1つである。阿部定の周囲に登場する男達を演じるのは椎名桔平や片岡鶴太郎ら。

小学生の頃、テレビでやっていた「松本清張、事件にせまる」という番組で阿部定が取り上げられた事があり、昭和初期のニュースや男女関係についてほとんど知識の無かった僕は(8歳ごろだったかと思う)、祖父母の家で偶然見た番組の内容にひどく驚いたのだ。事件の一部分だけに気が行ってしまい、背景の事は全く知らなかったのだが、今朝見た映画で長年のモヤモヤがはれたような気分。物語ではハンセン氏病が1つのキーワードとなっており、当時の社会状況が阿部定の生涯に大きく影響していた事を知った。そんな重いテーマの話だが、大林監督は見事に「死」ではなく「愛」と「生」を映画のメインテーマにしている。何処となく、デーヴィッド・リンチの「ワイルド・アット・ハート」を思い出した。映像はビョークの「バチェラレット」的色使いで、昭和初期が粋に描かれている。チャンスがあったら、一度見てくさいな。意外なところで見つけた秀作!

久し振りに、クリスチャン・サイエンス・モニターの記事からニュースを紹介。孫と過ごす楽しい時間は、祖父母らにとって当然の権利のように思われてきたが、ワシントン州最高裁判所で下された判決は従来の「常識」を覆すものとなった。今月の判決によって、祖父母らには孫の親が面会や訪問を拒否した際に何の法的手段も存在しなくなった。満場一致で決められた今回の判決だが、裁判所側は子供はその親の願い通りに育てられるべきであり、州が干渉してはならないというもの。ワシントン州では両親の離婚や死亡時に祖父母が孫に面会する権利を保護するため、1970年代に訪問法が作られていた。

この法律によって、祖父母らはいかなる時でも孫との面会を保障される事になり、同様の法律は各州でも誕生していたが、2000年に米最高裁は親の希望が祖父母の希望よりも優先されるべきとの判決を出している。以降、多くの州では訪問法の改正が実施されている。専門家の話では、法律の改正後、これまで両親らが抱えていた証明責任は祖父母らに移ったとの事。改正後の法律は祖父母の孫への訪問が、孫にとって精神的に有益かどうかを証明しなくてはならず、訪問が無くなる事で子供が傷つくかどうかも証明しなければならない。ほとんどの州では、両親が離婚をしない限り祖父母は裁判所に訪問の申し立てをする事さえできず、訪問や面会の決定権は全て両親が持つ。

ワシントン州の裁判所は同じく今月、クリスチャン・アッペル氏の訴えを認る決定を下している。12歳の娘がいるアッペル氏は娘の誕生から間もなくして、母親である女性と別れ、娘を連れてドイツに戻り、彼の両親と4人で生活を始めた。1997年、アッペル氏はワシントン州に戻り、その3年後に娘もアメリカに戻り、アッペル氏の新しい妻との3人で生活を開始した。孫を心配するアッペル氏の母親は訪問を試みたが、州裁判所は(たとえ祖母の訪問を娘が熱望している事実があっても)両親が訪問に反対しているという理由で、祖母の訪問申請を却下している。専門家らは現在の法律改正によって政府の介入は事実上不可能になったとして、民間のカウンセリング業者に相談する事くらいしか解決策は無いと語る。

平和をカネで買えれば文句無しだけど、アメリカはこういったカネの使い方が下手なだけに、どうなるんでしょうかねぇ。911テロ事件以降、ブッシュ政権は世界中で民主主義を広め、テロを抑制する事を重要な課題としてきたが、外交関係の予算が急増している事がAP通信の調べで明らかになった。10月からスタートする新年度予算で、ブッシュ大統領は約45兆円の軍事予算と約3兆5000億円の外交予算を求めているが、今年度予算と比較した場合、軍事予算が4パーセント、外交予算は13パーセントの増加となっている。2000年から現在までの間に、軍事予算は40パーセント増え、外交関係予算も30パーセント増となっている。しかし、来年度予算では外交関係での予算増加が際立っている。

予算のバランスの変化について懐疑的な専門家もおり、マサチューセッツ工科大学のシンディ・ウィリアムズ上級フェローの話では、外交関係の予算増加がそのままブッシュ政権の外交政策の微妙な変化とは結びつかないのだという。国防総省では配分される予算から新しい兵器の購入を行ったり、(民間組も含む)300万人の生活を保障せねばならず、外交を担当する国務省で働くのはわずか3万人足らずだからだ。1月20日に行われた大統領就任式における演説で、ブッシュ大統領はアメリカが世界中に民主主義を浸透させていく事を宣言しており、政府高官の言動にも少し変化があるようでもある。2月には議会で証言したライス国務長官が、国土防衛のためには世界中に民主主義を広げる必要があり、そのためには今以上に外交能力が機能しなくてはならないと語っている。

ブッシュ政権が誕生してから4年半近くになり、その間に約1兆6000億円がエイズ基金にまわされたり、開発国への経済援助が以前よりも活発に行われるようになっている。議会は開発国への経済立て直しに約3000億円の予算を承認し(ブッシュ大統領は将来的に、この予算を年間5000億円にまで引き上げたい模様)、経済の破綻に苦しむアフリカのマダガスカルがアメリカの新経済援助を受ける最初の国となる予定だ。対テロ戦争で協力関係にあるパキスタンやヨルダンに対しては、国境警備や国内の雇用促進を目的に援助が行われる模様。90年代、有権者の目を気にする議会は海外援助関連の予算をあまり認めてこなかったが、テロ事件以降のアメリカで海外への経済援助が見直されていることは事実のようだ。

中国各地で発生する反日デモの数々も、毎週のように行われるもんだから、週末の恒例行事かと思ったりもするが、僕もこの週末はいろんな資料に目を通した。機会があれば、このブログでもゆっくりと書きたいけど、「なんだろうかなぁ~」というのが正直な気持ち。6時間おきにBBCのニュースをチェックしながら、中国の天然資源に関する情報(数週間前に会ったスーダン人から聞いたんだが、スーダンでも中国企業が派手な石油ビジネスを展開しているんだとか)や国連常任理事国の拡大案、台湾海峡問題、日本の教科書問題などの資料に目を通す。普段は見ることの無かった、BBCニュースへの書き込み(反日デモ関連で数百件はあった)にも全部目を通した。まだまだ整理しなきゃならない事が多いけど、いずれはブログにも感じた事を書きたいと思う。