IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

サイレンはなりやまない

2005-04-26 14:05:59 | ジャーナリズム
JR尼崎駅近くで発生した福知山線の脱線事故から一夜明け、僕は日本時間の午前7時頃に尼崎の実家に電話を入れてみた。ワシントンの時刻は午後6時になったばかりで、こちらでも朝から幾つかのテレビニュースで事故に関する報道が繰り返されていた。電話を取ったのは母親で、「みんな大丈夫だった?」と僕が問いかけると、眠そうな声で昨日の町の様子を説明してくれた。僕の実家は事故現場からかなり離れているんだが、怪我人が治療を受けている病院の1つが近くにあり、約10分ほどの会話の中で救急車のサイレン音が電話の向こうから何度も聞こえてきた。実家が病院の近くにある事を考えても、やはりサイレン音が尋常ではないと思ったので、どうしたのか聞いてみた。「サイレン音?昨日の夕方からずっとよ」

911テロ事件の時もそうだったが、やはり現場近くに住んでいる友人や知人がいると心配になってしまい、昨日の晩もブログの更新を終えてから明け方まで方々に連絡を取っていた。ワシントンにも尼崎出身の関西外大助教授がジョージタウン大学で学ばれているので(実家が近く、生まれた病院も同じなのです)、気になって連絡してみた。幸いにも御家族などに被害は無かったそうで、本当によかったと一安心した。しかし、73人の犠牲者と400人以上の怪我人が出ている事実が変わることは無い。インターネットをチェックするたびに増え続けている犠牲者の数に、胸を締め付けられる思いで一杯だ。救助活動にかかわる方々全てに感謝しながら、車両に取り残された乗客の中に生存者がいてくれる事だけを今は信じたい。

今日のニュース、まずはクリスチャン・サイエンス・モニターの記事から。ノース・カロライナ大学でジャーナリズムを教えるフィリップ・マイヤー教授の話では、今世紀中頃にアメリカで新聞を読む人が絶滅する可能性が存在するとの事で、実際に最近のアメリカ新聞業界を取り巻く環境は決して良い物とはいえない。1964年には成人全体の81パーセントが新聞に毎日目を通していたが、2004年に行った調査では、なんと52パーセントにまで減少している。この40年間でインターネットやケーブルテレビが全国に普及した事もあるが、編集者らは情報の技術革新だけに頭を悩ませているわけではない。この数年、複数の大手新聞で働く名物記者らが捏造記事を乱発していた事が発覚しており、新聞という媒体の信頼性が揺らいでいると指摘する声もある。

新聞メディアの信頼度が捏造記事スキャンダルによって揺らぎ始めると、今度は発行部数にインチキが存在するのではという声も出始めた。法律改正によって、電話でのセールスは困難な状態となり、さらには新聞の3行広告もインターネットで無料でできるため、新聞社の中にはビジネスのやり方を根本から変えるべきかどうか迷っているところもある。ずいぶん昔に夕刊紙が姿を消し、複数の主要紙を持たなくなった町は増加傾向にあるが、それでも1400以上の日刊紙に掲載されるニュースの多くがテレビやインターネットでの話題となっているのも事実だ。大手新聞社の幹部は、新聞業界がこれまで何度も危機的状況を切り抜けてきた事を例に挙げ、最近の新聞人気下降に対してそれほど悲観的ではないと強調した。

新聞紙離れがとりわけ著しい若者に向けて、大手新聞社ではニュースの要点だけを簡単に読める無料紙を配布したり、スペイン語版を作ったりもしている。しかし、ワシントンにある週刊紙がワシントンポスト紙の内部調査結果として報じたところでは、若い世代は自宅に新聞紙がたまるのを嫌がり、無料の購読サービスにも応じない場合が少なくないのだという。インターネットの普及によって、自分の知りたいニュースだけを簡単に集める習慣が身についてしまっているため、ページをめくりながら情報を探すという行為も面倒臭がられているようだ。現在、大手紙のウェブサイトの中には記者とユーザーがチャットをしたり、記者のブログを掲載するのがトレンドになりつつある。しかし、こういった試みには資金力が必要で、こういった企画でかかった経費をどこでカバーするのかが重要になる。

アメリカ政府が発表した統計によれば、2003年中頃からの1年間でアメリカ国内の受刑者数は210万人に達し、これは138人に1人が刑務所にいる計算となる。前年度の統計よりも受刑者の数が4万8000人ほど増えており、受刑者数全体で2.3パーセントの伸びを記録した。この10年間でアメリカ国内の犯罪発生率は大きく減少したが、統計の報告書作成に携わったペイジ・ハリソン氏の話では、刑務所に入る人間の数が出る人間の数を大幅に超えてしまっているとの事だ。例えば、2004年に連邦刑務所に入所した受刑者は出所者よりも8000人も多かった。ハリソン氏は、このような現象が発生する理由として、80年代から厳しくなった刑罰の存在があると語る。

刑務所以外での更生や社会復帰を求める団体「センテンシング・プロジェクト」のマルコム・ヤング代表は、刑務所のパンク状態を解消するためにも、麻薬使用などで捕まった軽犯罪者らには医療施設などに送るべきだと主張し、またそういった施設の方がより現実的な社会復帰の助けになるだろうと語った。人口当たりの受刑者数がアメリカよりも多い国は存在せず、これにイギリス、中国、フランス、日本、ナイジェリアが続く形となっている。統計で発表されたデータには各州ごとの受刑者数の変化も記されており、13州で前年度よりも受刑者数が5パーセント以上増加している事が確認された。ミネソタ州では前年度よりも10.5パーセントも増加している。逆に12州で受刑者の減少が報告されており、アラバマ州では前年度よりも7パーセント少なかった。

学校の夏休みが本格的にスタートする5月の終わりから、アメリカ国内では話題の映画が続々と公開され、映画会社各社はこの季節に話題作で商業的な大成功を狙っている。そんな今夏のハリウッドの最大の話題といえば、スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスの2大巨匠によるSF映画の公開である。ルーカス監督の「スター・ウォーズ3:エピソード3」は5月19日公開予定で、スピルバーグ監督が130億円の予算をかけて製作した「宇宙大戦争」は6月29日に公開される事になった。2つの作品の公開時期には1ヶ月以上の開きがあるが、スピルバーグ監督は「これで、2つの作品が観客の奪い合いをせずにすむ」とAP通信に語っている。

もちろん、この2人の監督作品だけが夏の注目映画というわけではなく、「グラディエイター」のリドリー・スコット監督が十字軍遠征をテーマにして撮った新たな戦史ドラマ「キングダム・オブ・ヘブン」や、アカデミー賞の常連となりつつあるラッセル・クロウが大恐慌時代のアメリカで伝説的存在となった実在のボクサーを演じる「シンデレラマン」といった作品も公開される。1974年のヒット作「ザ・ロンゲスト・ヤード」のリメイク版では、刑務所のフットボール・チームでクォーターバックを演じる人気コメディアンのアダム・サンドラーやクリス・ロックらに混じって、格闘家のボブ・サップも準主役で出演している。また、渡辺謙が出演する「バットマン・ビギンズ」も公開までいよいよだ。

最後に何か書こうと思ったんだけど、どうも頭に何も浮かんでこない状態。JRの事故の事は今日はもう書きたくないので、何か別の話題をと考えていたんだけど、なかなか頭に浮かんでこないのです…。シンクタンクでのセミナーや買い物の事など、何かあるだろうと思いながらも、どうしても列車事故の事が気になってしまう。変な終わり方になってしまうけど、今日はこの辺でストップしておきます。