goo blog サービス終了のお知らせ 

音の世界

「ノリのいい音楽」をテーマに、CDやライブの感想を綴ります。

ナマステ・インディア2008@代々木公園:2日目

2008-09-29 00:07:32 | インド映画

【↑「偉大なるムガル帝国」のスチールがあまりにも美しいので
 お借りしました】

昨日に続き、ナマステインディアへ。
といっても目的地は第二会場の「たばこと塩の博物館」。
インド映画の字幕を手がける松岡環さんの講演を聴くためだ。

今年もありがたいことに松岡さんがわざわざインドで
買ってきてくださったというポスターのプレゼントや
全員へポストカードのお土産もあり、無料のイベントで
ここまでしてくれるサービス精神にまず頭が下がる。

何より、作品ごとの詳しいレジュメがつくほか
ご自身の雑誌原稿の抜粋やボリウッド・ベストの大阪版チラシ
(地方独自のチラシが作られるのは珍しいそう)まで
参考資料としてついており、資料価値も高いと思う。

さて、テーマは恒例の「最近のインド映画事情」。
2007年から今年にかけてのヒット全14作品を
ビデオ上映とともに1時間半で一気に解説して下さった。

いずれも興味深い作品ばかりだが、特に印象に残ったのは

1.Om Shanti Om
  福岡国際映画祭で大好評、最後は皆でテーマソングの
  大合唱だったそうで映写技師の方まで歌っていたという(笑)
  ああ、そんな話をきくとますますスクリーンへの期待が・・

2.神に誓って
  福岡国際映画祭で初のパキスタン映画。ロック青年が
  原理主義にとりこまれていくさまが描かれる。
  少し見ただけだが物語が非常に印象深く、音楽もよい。
  できればフルで観るチャンスがあればと思う。

3.迷い道
  「チャンドラムキ」のリメイク。男性ダンサー(ヴィニート)が
   ラジニカーント版と同じ役で出演。踊りウマイなあ!

4.シンは王様
  シーク教徒が主役のヒットコメディ。観たい!

5.十変化
  主役がひとり10役を演じるトンデモ映画だが面白そう。

*------------------------------------------------*
しかし今回一番の収穫は、銀座エルメスで行われている
インド映画上映会の次回作がディリップ・クマールの
「偉大なるムガル帝国」(1960年)だと判明したこと。

昨年、インド映画初のテクニカラー作品「AAN」(1952年)を観て
往年の大スター、ディリップ・クマールのファンになった。

その彼のクラシック作品をエルメスで観られるなんて
光栄以外の何ものでもない。しかも、モノクロに彩色して
カラーで蘇らせた作品だといい、少し見たが色合いが美しい。
今度こそ、銀座エルメスに絶対行くぞ!!

昨年も松岡先生には沢山の作品を紹介して頂いたのに、
結局のところ実際に観たのは”DONだけ~”だ。
自ら一歩踏みだしてDVDで世界を広げればよいのだが
そこまで至らず、インド映画好きとして情けないかぎり。

今年は3作品くらいは観られるかな?観られるといいなあ。
(やはりスクリーンで観たい私は他力本願・・)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナマステ・インディア2008@代々木公園:初日

2008-09-28 01:53:34 | インド映画


5年ほど前に築地本願寺で見て以来、場所が
代々木公園に移ってから私的恒例行事となった
インドの祭典、ナマステ・インディア。

例によって寝坊し、なんとか3時ごろに到着。
キングフィッシャーにマハラジャビール、CD・DVDに
インド雑貨と見どころが多く嬉しい悲鳴でございます。

タイミングよく、インド舞踊のグループ・CNC
(コンテンポラリー・ナティヤム・カンパニー)さんの
ボリウッドダンスが観られてラッキー。最後にお客さんも
入り乱れて踊った一曲はもしや"Om Shanti Om"・・?
あとで調べたら、この挿入歌でした。"Deewangi Deewangi"

ああ"Om Shanti Om"、ものすごく観たくなってきました。
(→公式サイトが充実してます)

予告編を見たところ、シャー・ルク・カーンが"DON"に続き
それはもう、ものすごくカッコイイではないですか!

パソコンの小さな画面で観るのはどうしてもイヤなので
日本での劇場公開を切にせつに希望します。

インド映画の神様そして配給会社の皆さま、
どうかひとつよろしくお願い申しあげます!

【ご参考:この日の顛末は次々々回に続く】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フェアウェル・マイ・ボリウッドベスト

2008-09-19 23:40:46 | インド映画


100回毎の節目に何か書こうと思いつつ、いつも忘れて401回目。

8月末よりシネマート六本木で始まったボリウッド・ベスト
公開当初はブラジルのことで頭が一杯でインドまで気がまわらず
いまひとつ自分の中で盛り上がりに欠けていたが
1本観てしまったが最後、脳内インドスイッチが入り暴走し始めた!

ということで先日観た「たとえ明日が来なくても」を再見。
・・いや~、本当にいい映画だ名作だ~~

金太郎飴の如くどのシーンを斬ってもスキのない演出に
最後まで冴えわたるギャグ、まったく間延びしないストーリー。
爽やかで美しいイントロが転調し、物哀しくなるテーマ曲。
主役も脇役もチョイ役も挿入歌もダンスも全てがすばらしい。

そして、わかっちゃいるけど涙が出てくる渾身のラスト!

ありがとうシャー・ルク・カーン、ありがとうシネマート。
このインド映画特集は大阪、名古屋と続くそうで喜ばしい限り。

さらに、東京国際映画祭では"Chak De! India"の上映が決まった。
さよならボリウッドベスト、そしてウェルカム国際映画祭!
インド映画が各地で笑いと感動の渦を巻き起こすことを願って・・

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家族の四季

2008-09-14 00:23:58 | インド映画


土曜日はひき続きボリウッド・ベスト第三弾、2001年の大ヒット
「家族の四季(Kabhi Khushi Kabhie Gham)」。

昼食をすませて映画館にもどると、驚いたことに1Fロビーで
インド舞踊スクールCNCの皆さんが大勢でボリウッドダンスを
披露してくださった。さらに、映画情報誌「ナマステボリウッド」の
編集長(?)も丁寧に挨拶される。サリーや小物を売るショップもあり
(思わずシャールクのポスターを2枚ゲット。どこに貼ろう?)
お祭り気分が盛りあがる。週末の楽しいイベントに感謝だ!

さて、満員御礼の「家族の四季」は豪華キャスティングが話題の
超大作で、自分もDVDを持っているものの観るのは初めてだ。

大金持ちラーイチャンド(アミターブ・バッチャン)の長男ラーフルは、
身分違いのアンジャリー(カージョル)に恋してしまう。
父親に勘当されたラーフルはアンジャリーとともに英国に移り住むが、
弟ローハンが失われた家族の絆を取り戻すべく英国へ向かう・・

・・正直な感想をいうと、映画全体としては微妙だったかな~
(あまたのインド映画ファンの皆様、すみません!)

前回も書いたインド大家族のありようが「Kal Ho Naa Ho」の
百倍ぐらい濃く描かれており、あまりのインド的濃さに時々ついて
いけなかった。もともと私はインド映画ファンだから違和感がないが、
日本人がいきなりこの作品を観ても共感できるかどうか・・(特に前半)

母親に頬ずりせんばかりの息子、英国でも「インドが一番!」と
いいきってしまうインド至上主義に、家長に認められない限り
結婚して何年経とうが「家族として不完全だ」という思想。
もちろん外国の話だからこれでいいのだが、笑ってツッコむには
真面目すぎるストーリーなので、どうにもむずがゆい。

超一流スターそろっての豪華絢爛なミュージカルシーンも、
ゴージャス感を強調しすぎて全体が若干間延びした感がある。
(いくらなんでも、トータル210分は長すぎやしませんか?)
大変失礼ながら、キャスティング先行の話題作だったのではないか?

”結婚相手を勝手に決める父親に逆らう息子を心配する母親”という
黄金のパターンを千両役者がなぞっている印象で、自分には残念ながら
それ以上の突出した「何か」はストーリーから感じとれなかった。
ネタバレになるが、最後は父親も心を開き家族は和解するのだが、
アミターブの反省ポイントもどこかズレているように思える。

とはいえ見所はタップリで、シャー・ルク・カーンが恋に落ちる
カージョルのおきゃんぶりが元気いっぱいで愛らしく、
奥様となってからもロンドンで破天荒な魅力を振りまいている。

また、「団子坊や」とからかわれたオデブの弟ローハンが
見事イケメンのリティック・ローシャンに成長するのだが、
よくまあ雰囲気の似た子役を見つけてきたものだと感心する。
しかも、「オデブ」なのにはストーリー上ちゃんと意味があるのだ。
その意味はここでは申し上げられないが、この甘えんぼの弟が
のちに家族の絆をとり戻すべく大活躍する。エライ!

全般に辛口なことを書いてしまったが、
号泣とはいかないまでも、目頭が熱くなる場面はあった。
国や文化は違えど「経験豊かな年長者を敬う大切さ」を
ヒシヒシと感じたし、逆に「年長者が若い世代に教わることもある」、
そして「身内は力いっぱい大事にしましょう」というメッセージは
(現実社会ではなかなか難しい面もあろうが)
人類普遍のモラルとして改めて心に刻まれた。

これでボリウッドベストは3作品鑑賞コンプリート。
昨年の「ナマステ・インディア」での講演会の際、
翻訳者の松岡環さんがシャールクの「DON」にふれ
「どこか配給会社が買ってくれないでしょうか?」と
おっしゃっていた。その話が1年後に実現し鑑賞できて、
いちインド映画ファンとして本当にありがたいことだと思う。

ボリウッド・ベストよ、ありがとう!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かる・ほー・なー・ほー

2008-09-13 03:54:06 | インド映画


夏休みの名目で会社をサボり、またも六本木シネマートへ。
本日は「ボリウッド・ベスト」第二弾、「たとえ明日が来なくても」だ。
原題"Kal Ho Naa Ho"、インドで2003年の興収第2位を記録した
大ヒット作だが(1位は何だったんだろう?)、遅まきながら鑑賞できた。

ニューヨークを舞台にしたラブストーリーとのこと、
性格的にあまりベタな恋愛モノは苦手だが
(すっとこどっこいなストーリーのほうが好ましい)
・・・大傑作!ブラボー!!すんばらしい名作ではないか。

家族仲がうまくいかず不機嫌なメガネ娘・ナイナ。
ところが隣に越してきた陽気な青年・アマンが
こじれた人間関係を魔法のように明るく変えてゆく・・

在外インド人社会はニューヨークに深く根を下しているらしく、
摩天楼をバックにヒンディー語で会話が交わされようが違和感がない。
実際にこういうコミュニティを彼らは築きあげているのだろう。
しかしながら、彼らはコスモポリタンであるいっぽう
きわめてインド的な価値観を保ち続けているのがみてとれる。

彼らは生を受け結婚し死ぬまで、ひたすら大家族なのだ!
インドには親離れや子離れという言葉はないのかもしれない。
子供は母親ベッタリで結婚は一族同士の盛大な結びつき、
それが彼らにとって何よりの幸せなのだろう。
核家族化が進む日本とはだいぶ事情が異なるようだが、
親兄弟を徹底的に敬いつくす文化も勿論アリだと思う。
多くの隣人に囲まれ共に生きてゆく、こういう生き方も羨ましい。

映画の前半では主役のシャー・ルク・カーンよりむしろ
ナイナのよき友人・ローヒト(サイフ・アリー・カーン)の魅力が際だった。
渡部篤郎から毒気を抜いたようなルックスで「軽いけど人の好い」
坊ちゃんぶりが板につき、実に憎めないキャラだ。

そして永遠のヤングマン、シャー・ルク・カーンの役どころは、
シャールクお得意の「お騒がせマン」だ。隣の家にずかずか上がりこみ
ハイすぎるテンションで他人のお家事情を引っかき回すが、おかげで
ナイナの母親のお店は大繁盛、家族とも和解しと良いことづくめ。

ナイナは当然ながらこの魅力的なアマンに惹かれ、
メガネを外し(中身はプリティ・ジンターだから、そりゃもう美人!)
メロメロになるが、なぜかアマンは肝心のナイナの心には
決して食い込もうとしない・・

アマンの悲哀とローヒトの一途な愛に、ちりばめられる名台詞。
3時間を全く感じさせないテンポのよさと、てんこ盛りのギャグ。
いささか現実味に欠ける部分もあるが、脚本と演出の圧倒的な力で
映画の世界にアッという間に引き戻されてしまう。
あらゆる意味で、実によくできた映画だと感心しきり。

気がつけば涙がぽろぽろ(トシとって涙もろくなったな・・)、
またもや映画館を逃げるように立ち去る羽目に。

シャールクの歌う「カル・ホー・ナー・ホー(例え明日がこなくても)、
今日を精いっぱい生きよう」という劇中歌が心に沁みる。
ホロリとしながらも元気をもらえる、それはそれは素敵な一作だ。

いやあ、映画って本当にいいものですね!

ふだん映画をぜんぜん観ない私が言うのもなんですが、
インド映画に縁のない方にもぜひ観て頂きたい逸品です。

さらにがんばれ、ボリウッド・ベスト!

【オマケ】
一番気に入ったミュージカルシーンはコレです。
シャールク/プリティー/サイフが踊りまくる
"It's Time To Disco"!!

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DON・・DON・・DON!

2008-09-10 01:29:07 | インド映画

【↑美男美女にウットリ】

シネマート六本木で行われているインド映画特集、
シャー・ルク・カーン主演のボリウッド・ベスト

早くしないと公開が終わってしまうぞ!ということで
まずは2006年の「DON(過去を消された男)」を観にいった。
ハリウッドぽいアクション・サスペンスと聞いていたが
私はハリウッド映画にとんと縁がないのでとても楽しめた。

煌びやかな未来都市クアラルンプールを舞台に、
裏社会で暗躍するシャールクどんを描くジェットコースタードラマ!
クールでスタイリッシュな映像とサントラにもかかわらず
(でも途中でベタなダンスもあり、やはりインド映画)
いちいちツッコミを入れることすらバカバカしい
虚構と疑惑のマトリョーシカみたいなウサンくさい展開だが、
ストーリーのウサン臭さがうっすら透けてみえてしまうのもご愛敬。

この作品はアミターブ・バッチャン主演作のリメイクと
いうことだが、原作をかなりアレンジしているそうだ。
もともとは一体どんなストーリーだったのだろう?

アクション満載でカッコイイのにどこかスキがあり憎めない、
こういう意図せぬ味わいはハリウッドでは出せないのでは?
シャールクも、この映画のテイストにハマリ役だと思う。
(このへん、賛否が分かれるみたいですが)

あるときはツブラな瞳の陽気な2枚目半として、
またあるときは瞳に狂気を宿した得体の知れない人物として。
1作品でこれだけ役の幅をみせてくれるのだから素晴らしい。
お約束(?)の血みどろのシャールクもたっぷり楽しめる(笑)

それにしても、シャールクの異様なカッコよさはどうだろう。
メタボとは程遠いスリムな体型にキレのあるダンス、
以前見た映画より明らかに若返っているのは気のせいか?
裏社会のDONだけあってスーツもバッチリ髪型バッチリ、
派手な柄シャツのハンサムなシャー・ルク・カーンは最高!
やはり銀幕のスターはかくあらねばならない

残念ながらお客さんの数は少なかったけれど、
普通に観てソンはない面白い映画だと思います。
トータル約3時間、ちゃんとインターミッションもございます。

がんばれ、ボリウッド・ベスト!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボリウッド・ファンク無法地帯!!

2008-02-05 22:47:48 | インド映画


【ボンベイ・コネクション ファンク・フロム・ボリウッド・
 アクション・スリラーズ1977ー1984】

ブラジルからインドに飛びまして、
ブログ300回目の本日は謎の珍盤(?)をご紹介。

昨年夏頃にCD屋で見つけ、非常に気になりながらも
買う決心がつくまで実に3か月を要したアルバム、その名も
「ボリウッド・ファンク無法地帯!!踊るべきか死ぬべきか!!」

日本盤はよろずエキゾ風物ライター・サラーム海上さんの解説付きだが
サラームさんが選曲したわけではなく、オランダのボーマンさんという方が
70-80年代のボリウッドアクション映画のサントラより
インド人にも忘れ去られたレアな名曲を拾いだしたコンピだという。
(公式サイトhttp://www.bombay-connection.com/で全曲試聴できます)

脳みそが溶けそうなヘンな曲ばかりだったら困るな・・と思いきや、
なかなかどうして、これが非常~にイケてる!
レアグルーヴとして十分聴きこめる良作揃いだ。

70年代アクション映画のサントラ風(なのか?)ファンクに
ヒンディー語の情熱的な台詞やイカニモなインド歌謡が交じり
映画さながらのスリリングな世界を展開する。
インド調ながら、ジャズの即興やラテンの匂いも漂うパーカッション。
思わず踊りださずにいられない、スぺーシーでイナタイ演奏!

このCDのさらに凄いところは、ボーマンさんの珍曲にかける情熱が
肌で感じられるところ。気合いの入ったピクチャーディスク仕様だし、
旧いボリウッド映画の名場面がふんだんに使われた
30ページにおよぶカラーブックレットも豪華絢爛で、
ひとつひとつの曲と映画について詳細な解説が付いてくる。
(→その素敵な写真はコチラからどうぞ)

残念なことにすべて英語なので全く読んでいませんが、
往年の名音楽プロデューサーだというR.D.バーマンの名前もあり、
収録曲のクオリティの高さもうなずける(ような気がする)。

この「ボンベイ・コネクション」シリーズは
なんと全12集(!)まで出るとのこと、
ぜひ日本でも最後まで刊行して頂きたいものです。
サラームさん、ひとつヨロしくお願い致します。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アーン(AAN)

2007-11-18 13:06:45 | インド映画


国立近代美術館フィルムセンターのインド映画特集、最終日は
日本でも50年以上前に公開された1952年の「アーン」。
王国の後継ぎをめぐる、王の妹と市井の青年ジェイの
ロマンスを描いた作品で、インド初のテクニカラー作品だという。

・・とてもよかった!面白い映画特有の”力”がある。

当時のアメリカ映画の影響なのか欧米風の雰囲気があり
古いインド映画にして、意外にも無国籍でモダンな印象を受ける。

沢山のミュージカルはインド映画そのものだが、
全編をいろどる壮大なオーケストレイションはクラシック調。
結果的にインド旋律独特のキツさが薄まり、耳に優しい。
本当によい曲ばかりで、これはサントラが欲しいなあ!

舞台はインドのとある地方の王国だと思われるが、
宮殿の調度や貴族の衣装はなぜかヨーロッパ風。
(でも、お付きの人々はサリーでターバン)
壮麗なコロッセウムも登場し、歴史物かと思えば
意外にも自動車が登場したりして、不思議な設定だ。

そして最も驚いたのが、ヒロインが西洋人だったこと。
パーマネントヘアに乗馬ズボンという男装の麗人で
どうみてもインド人に見えない帰国子女みたいな王妹が、
絵に描いたようなインドのニヤケ色男・ジェイの猛アタックにあい
徐々に心を動かされていく。王妹のぎこちない応対が可愛らしく
文語調の気品ある字幕とあいまって、なんともイイ感じなのだ。

いろいろあるが最後に素直になってひしと抱き合う2人に
「よかったね~」と声をかけたくなるような微笑ましさがある。
先日観た「炎(SHOLAY)」同様、終わりに客席から拍手が起こった。

映画の無国籍感を味わういっぽう、やはりインド映画だと思ったのは
大人数のミュージカルである。結婚式の群舞に
一面の菜の花畑での踊り・・これらのシーンをそっくり
現代映画と入れ替えても、さして違和感もないだろう。

音楽が今風になったり、セットがゴージャスになったり
ロケ地がスイスになったりしても、基本的に歌も踊りも50年前、
いやもっと以前から何も変わらないのではあるまいか。
偉大なるインドのフィルムダンス、ここにあり!すばらしい伝統だ。

大昔のカラー映画への好奇心から観た「アーン」だが
予想に反し新鮮で、映画の魅力いっぱいの娯楽作だった。
古くなったフィルムの色合いもかえって美しく、
制作年代を考えると十分鑑賞に堪えうると思う。

161分を88分に縮尺して外国に輸出したそうだが、
フルバージョンで観たいと思わせてくれる作品だ。

追記:カットされたシーンを発見したのでご紹介します。
こんないい歌が、ノーカット版に埋もれているのだなあ・・
DIL MEIN CHUPA KE - AAN

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

KUCH KUCH HOTA HAI

2007-11-09 00:13:24 | インド映画


パソコンで映画を観るのは疲れる、と敬遠していましたが
先日YAHOO!動画を何本も観たので耐性もついたか、と
買ったまま3年ほど寝かせていたインド映画のDVDにトライ。

1998年の大ヒット作にしてカラン・ジョハール監督のデビュー作という
「何かが起きてる:KUCH KUCH HOTA HAI」。(怪しい日本語字幕あり)
シャー・ルク・カーンとカージョル、ラニ・ムケルジーが織りなす
学生同士の三角関係と、その後の人生を描いた作品。
サルマン・カーンもスペシャルゲストで出演されています。

この映画を観ると「くちくち、ほたへ~」という
タイトルソングの強烈なメロディが耳から離れなくなります。

・・名作だけあって面白いのですが、パソコンで3時間はやはり長い!
くっついたり離れたりすれ違ったり、泣いたり笑ったりの上に
これでもかと詰め込まれる長い長いミュージカルシーン。

カラフルな群舞を楽しむ一方、「早く次の展開に行こうではないか」
などと思うようでは、まだまだ私の修行が足りないなあ。
やはり、インド映画は大人数のミュージカルにふさわしい
大きなスクリーンで観たいと改めて思った次第。

ボーイッシュな女の子を演じるカージョルが名演技でした。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

踊り子(Umrao Jaan)

2007-11-04 12:28:26 | インド映画
アウトドアでインド祭り第三弾も、近代フィルムセンターの
インド映画特集より、1981年の「踊り子(UMRAO JAAN)」。
1980年代に活躍した大女優、レーカーの代表作だという。

時は1850年代、セポイの反乱前夜のインド。
ファイザーバードで誘拐されラクナウの遊郭に売られた少女、アミーラン。
「ウムラーオ」と名づけられ、踊りと詩を詠む名手として
遊郭で成長した彼女の、これは哀しい愛と運命を描いた名作だ。

ウムラーオ役・レーカー様の人間ばなれした美しさもさることながら
この映画でもっとも感銘をうけたのは、150年前のインドの世界だ。

ウムラーオの豪華絢爛な衣装はヒンドゥー風(?)で
お相手のスルタンの装束はイスラムと、この地方の
宗教的な棲みわけや風俗についてはよくわからないものの
(注:後で調べたところ、当時のラクナウはイスラム国家だった)
エキゾチックな町並みや、宮殿のようにきらびやかな遊郭の調度品は
想像の中の「アラビアンナイト」の世界そのままである。
ソフトフォーカスのかかったような画面が幻想的で、実に美しい。

また、ウムラーオが歌い踊る場面の音楽もすばらしい。
彼女の紡ぐ詩に古典の複雑なリズム、そして優美な旋律。
主役が美男美女なのもあいまって、うっとりと画面に見いってしまう。

ただ、イスラム文化の美しさを堪能した前半にくらべて
ウムラーオが愛を失ってからのシリアスな後半が
自分には少し重たく感じられた。

ウムラーオは確かにものすごく美しいが、美しすぎてコワイのだ。
(アイラインきつめのメイクのせい?)
薄幸な彼女の冷めた表情はある種の武装だろうとは思うものの、
あまりにも整っていて非のうちどころがなく、かつ
感情を表に出さない麗人というのはコワイのだな、と感じる。
そんな彼女が時おり感情を爆発させるのが、これまた哀しくもコワイ。

私にはむしろ、彼女の周りにいる表情豊かな女性達のほうが
血のかよった魅力的なキャラクターに思えて仕方なかった。

「踊り子」は昨年、元ミスワールドのアイシュワリヤ・ライにより
リメイクされ大コケしたそうだが、アイシュ版の踊り子もぜひ観たい。
ひょっとすると、愛嬌のありそうなアイシュ版ウムラーオも
個人的には気に入るかもしれないと思うから。

実在の名妓だったというウムラーオ。
封建的な社会の中で、彼女はどのような運命をたどったのだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夫になりたかった幽霊(Duvidha)

2007-11-03 15:44:05 | インド映画
アウトドアでインド祭り第二弾は、
東京国立美術館近代フィルムセンターにて
1973年のインド映画、「夫になりたかった幽霊(DUVIDHA)」。

結婚式に向かう新妻に惚れた幽霊が夫になりすまして家に入りこみ、
子供まで出来てしまう・・

2005年にシャー・ルク・カーンがリメイクしたというこの作品、
プロットだけでも面白そうではないか!大いに期待がもてる。

・・正直に書きます。始まって10分で観にきたことをモーレツに後悔

静寂が支配するスクリーン、わずかな登場人物に暗いモノローグ。
娯楽映画だと思ったのは大変な勘ちがいだったようです。
ラージャスタン地方の民話が元だというだけあって
むかし話を寓話チックに表現したのだと思えば味わいはあるし、
ラージャスタン地方(たぶん)の乾いた風景や
オレンジ色のカラフルなターバンも魅力的だけど・・

この作品、リメイクされたというくらいなのでヒットしたのだろうが、
果たして本当に一般受けしたのか?どう~もあやしいぞ。
新作も、「リメイク」というより同じ民話を題材にしただけではないのか。
それとも、この旧作こそが芸術の香り高きインド映画の逸品なのか。
本作の監督であるマニ・カウルは有名な方のようだから、
映画を理解できないほうにむしろ問題あり?

インド映画は奥が深い。そのあたりの事情は残念ながら解らない。
上映中何度も気を失いそうになりつつも、せっかく来たのだから
オチだけは見極めんと最後まで我慢、我慢。

こんな感想でまことに申し訳ございませんが、
結果的にリメイク作のほうを猛然と観たくなってきました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミスター・ラバーマン(Shreemaan Aashique)

2007-11-01 00:23:27 | インド映画
ヤフーでインド映画、最終章は
1993年の「ミスター・ラバーマン(SHREEMAAN AASHIQUE)」。
主演はアヌパム・ケールとリシ・カプール、ヒロインはウルミラ。
いずれも有名な方々だが、ウルミラを見るのは初めてだ。

「女は地獄への道」を標榜し、女嫌いの独身男性会を
主宰するヴィシュワミトラ師と一番弟子のドゥシャント。
ところが、ドゥシャントが出張先で若いシャクと恋におちる。
更にイイ歳した師匠までシャクにメロメロになり、さあ大変!

いや~、これは楽しい!こういう映画は好きだなあ~
シャク役・ウルミラの小鹿のようなハツラツとした表情がいいし、
なんといっても師匠役のアヌパム・ケールのハジけきった演技がすばらしく
微笑ましくもキュートなおじさんぶりを遺憾なく発揮している。

ウルミラと出会った途端に宗旨替えする弟子にも笑えるが、
弟子の彼女をコスイ手を使って奪おうとする師匠が最高におかしい。
腹のでた師匠が「ワシはまだまだ若い~♪」と踊りだすシーンは傑作だ。

インド映画が日本で紹介されるとき、よくいわれるのが
「美男美女が登場する、貧しい層にとって夢の世界」だということ。
「ミスター・ラバーマン」はまさにそんな映画だが
(注:男優が美男かはちょい微妙)、ストーリーといい演技といい
こんなにハッピーで上質なコメディを撮れる人達に感服する。

ストーリーの最後の押しが弱くラストが少し強引かな?
と思う節がなきにしもあらずだが、十分楽しめる作品だった。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドタバタ・ツインズ(Chaalbaaz)

2007-10-30 00:14:03 | インド映画
ヤフー動画でインド祭りも佳境に入り第三弾、
1989年の「ドタバタ・ツインズ(CHAALBAAZ)」。
主演はひと昔前のスター女優、シュリデヴィ。
彼女をみるのは初めてなので楽しみだ。
ラジニカーントも相手役として登場する。

双子の女の子、アンジュとマンジュは
生まれてすぐ離ればなれとなってしまう。
時は経ち、マンジュはスラムの酔いどれダンサーとなり、
アンジュは極悪な叔父夫婦の元で辛い毎日をおくっている。
そんな二人の環境が偶然交錯したことから・・

勧善懲悪でアクション満載、なにも考えず楽しめる
後味スッキリな娯楽作品だが、非常に残念なのは
ダンスシーンがほとんど全てカットされているらしいこと。

筋立てがよくできているので十分楽しめるが、
シュリデヴィといえばダンスのうまさで有名ではないか。
役柄上も「ダンスが上手」なはずなのに、よりにもよって
ダンスシーンをカットするなんて、ああ勿体ない!
でも、少しだけその古典舞踊を楽しめるシーンがあった。
噂どおり、シュリデヴィの踊りは素晴らしい!

フランス人形のようなシュリデヴィ。
小さなお顔の半分は目という、少女マンガのような美しさだ。
あるときは腕っぷしの強いハスッパなダンサー、
又あるときは引っこみ思案のお嬢様として大活躍だった。
彼女の魅力的な姿を拝めただけでもありがたいことだ。

・・さあ、時間的にかなり苦しくなってきたが
31日までにあと何作観られるか?進軍あるのみである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セクシー・ウーマン(Mitti Aur Sona)

2007-10-29 00:17:08 | インド映画
インドアでインド祭り第二弾は
1989年の「セクシー・ウーマン(MITTI AUR SONA)」。
(「塵と黄金」という邦題もあるそうだ)

Yahoo動画の紹介文を読んで、軽い学園ラブコメかと思ったら・・
こりゃすごい!ギットギトのコッテコテ、濃厚すぎてゲップが出そうな
ジェットコースターヒンディードラマではないか!
ありえない展開にクドすぎの演技、どこをとっても
ザッツインド映画だ。すばらしい!

いいとこの坊ちゃん・ビジャイは知的で謎めいた女学生・
ネリーマにひと目ぼれ。ところが彼女にはとんでもない秘密があった・・

ヒーローとヒロインの出会いからして強烈だ。
”メガネを外すと美人”のネリーマに一目ぼれするシーンで
あまりのベタさに早くも爆笑してしまう。しかも
メガネオン時とオフ時のネリーマの性格の差が激しい。
ツンデレ好きの方にはたまらないキャラクターだろう。
彼女の目ヂカラあるセクシー目線に釘づけだ。

最初こそ学校が舞台だったものの、話はどんどん逸れていき
薄幸な高級コールガールをムチうつ娼館の女主人あり、
ハシシの密売ありドラ息子あり血みどろのドンパチあり、
そこに出生の秘密や親が決めた結婚まで絡む。
ところが、話を詰め込みすぎかというとそうでもない。
冗長なエピソードがなく、小気味よいテンポが見事だ。

お約束の「親が決めた結婚」と息子の反発ぶりも見逃せない。
しかし、学業を放棄し駆け落ちするような息子では
そらお父ちゃんも怒るだろうて(笑)
だいたい大学生の恋愛に親が口を出すのはいかがなものか、
などと考えてはいけない。なぜなら、これはインド映画だからだ。

踊りのシーンも主人公の喜怒哀楽のとおりで違和感がない。
なぜインド映画にミュージカルが必要なのか、
彼らのエモーショナルな演技を見ているとよく理解できる。
感きわまると歌い踊らずにおれないのだろう。そしてそれは
彼らにとって決して唐突でも、おかしなことでもないのだ。

80年代の良家の子女のファッションとメイクはやはり(?)
バブル風なのだな、とか、本筋以外でもいろいろと楽しめる。
当時のハイエナジーなディスコ音楽とステップも興味深い。

ただひとつ残念なのは、重要なミュージカルシーンが
カットされているらしいこと。
非常にスピーディで、かつ魅せるドラマなので
大スクリーンで一気に観てみたいものだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザ・デュオ(Iruvar)

2007-10-28 00:18:46 | インド映画
今年は日印交流年ということで、ささやかながら
インドと(一方的に)交流しようと考えている。
さて本日は”インドアなインド祭り”というコンセプトで、
Yahoo!動画で配信しているインド映画を観ることに。
10月末までの配信なので、急がねばならない。

というわけで、第一弾は1997年の「ザ・デュオ」。
かのアイシュワリヤ・ライの映画デビュー作らしい。
社会派のマニラトナム監督がタミルナドゥ州を舞台に
州首相の座をめぐる親友同士の争いを描いた作品だ。

俳優の卵・アーナンダンと劇作家のセルヴァム。
政治への野心あふれるセルヴァムは新党を結成し、
映画スターとなったアーナンダンを利用しようと考えるが・・
政界入りした二人の盟友と、彼らを彩る女性達との半生を
ストーリーは長いスパンで追いかけていく。

・・う~ん、残念ながらピンとこないなあ。
タミルナドゥの州政治の実態に詳しければ
とてもリアリティのある映画なのかもしれないが、
日本人である私には何がなんだかよくわからない。

アーナンダンの群衆を前にしての名演説、
そしてセルヴァムが政治家として出世してからの
貫録ある演技は一見の価値があると思う。
でも、この二人の目指す理想や政策が
サッパリ見えてこない。貧しい者を救済するぞと
威勢のいいことを言っていた割には、いざ偉くなると
お互いの揚げ足とりにやっきになるばかりだ。

民衆は何を根拠にアーナンダンを支持しているのか?
アーナンダンが州屈指のスーパースターだから?
まあ実態はどこでもそんなものだろうけれど、
それでは映画としてあまり面白くないではないか。
それとも、そのつまらない現実を描こうとしたのか。

目玉はアイシュワリヤ・ライの美しさとダンスのようだが、
彼女の物語上の役回りがなんとも中途半端で変だ。
そのうえ相手役のアーナンダンときたら、失礼ながら
熊みたいな大顔のおじさんで、どうにも見目麗しくない。
映像美とA.R.ラフマーンの音楽はよかったと思うが
ダンスをメインで楽しむ映画でもなさそうだし・・

・・と思って後でいろいろ調べたところ、
この話は現職の州首相の実話なのだそうだ。
そうか、実話と思って見れば視点も全く変わったのだが!

どうも、同じ監督の「ディル・セ」を観たときと同じような
モヤモヤ感が残ってしまった映画だった。
(個人的にマニラトナム監督が苦手なだけかな?)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする