東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中の
特集上映「日印交流年 インド映画の輝き」。
1930年代から80年代までの名作32本を上映中だ。
記念すべき鑑賞第一回は、これを見ずしてインド映画を
語るなかれといわれる1975年の「炎(原題:SHOLAY)」。
荒野の七人を翻案したインド映画史上最大のヒット作だが、
あいにく映画オンチなので元ネタも知らない。
しかも、インド映画にはつきもののインターミッション(休憩)も割愛し
3時間18分ぶっつづけという長丁場だ。大丈夫かな?
・・しかし、さすがはアクション娯楽大作である。
時間の長さなど何の障害にもならなかった!
息もつかせぬ展開に3時間ずっと瞳孔がひらきっぱなしだ。
往年の名警部であるタークルが、札つきのワル・
ジャイとヴィールの腕をみこんで、2人を呼びよせ依頼する。
「凶悪な盗賊の首領・ガッバルを生け捕りにしてほしい」と。
彼にはガッバルをどうしても捕えねばならない理由があった・・
小さな村を舞台に繰り広げられる西部劇さながらの物凄いドンパチ、
ワルだが根は純粋な2人の男の固い友情、恋、復讐そして歌と踊り。
コミカルな要素もタップリで、洒脱なギャグで大いに笑わせてくれる。
インド映画のご多分にもれず、本筋と直接関係ないエピソードが
てんこ盛りだが、このひとつひとつがめっぽう面白い。
荒涼たる乾いた大地にむき出しの岩肌。主な交通機関は
馬と蒸気機関車で、車など登場しない。今風のものといっても
せいぜいゴレンジャーが乗っていたような(古いなあ)
サイドカーぐらいだ。一体いつの時代の話かと思うが
主人公の青年2人のいでたちはしっかり70年代している。
ちょっと前のインドの田舎って、こんな感じなのだろうか?
アクションも素晴らしいが、人物造形も見事だと思う。
陽気な酔っ払い・ヴィールにニヒルな二枚目・ジャイ。
ジャイ役のアミターブ・バッチャンのクレジットは4番目ながら
この役で一気にトップスターになったという。
もんのすごく足が長くて、赤いTシャツの似合う彼はカッコイイ。
老警部・タークルの渋い演技もさることながら
絵に描いたような憎々しい悪役・ガッバルも名演だ。
おきゃんで口数が多いが一途な村の娘・バサンティーは可憐だし、
冒頭に登場する刑務所の看守長もこっけいで可笑しい。
さらに、サントラがとてもよかった。効果音がいいし
踊りのシーンで流れる挿入歌は楽しく、時に切なく抒情的だ。
ちなみに音楽はA.R.ラフマーンならぬR.D.バーマンだそうで、
BGMにひとひねりもふたひねりもあって面白い。
インド映画の挿入歌は何十年も同じプレイバックシンガーが
歌い続けているという話を聞いたことがあるが、
ナルホド確かにずっと同じ人が歌っているんじゃなかろうか?
と思うほど、どれもこれも同一の声とメロディに聞こえて仕方ない。
30年前のも現在の映画も、どうにも似たようなサウンドに思えるのは
私の修行が足りないからか、はたまたインド音楽の奥深さか。
ともあれ、いい音楽には違いないだろう。
それにしても、こんな渾身の娯楽大作をこんなイイ椅子で、
たったの五百円で見せてもらっていいのか?
近代フィルムセンター、おそるべし。これから頑張って通おう。
特集上映「日印交流年 インド映画の輝き」。
1930年代から80年代までの名作32本を上映中だ。
記念すべき鑑賞第一回は、これを見ずしてインド映画を
語るなかれといわれる1975年の「炎(原題:SHOLAY)」。
荒野の七人を翻案したインド映画史上最大のヒット作だが、
あいにく映画オンチなので元ネタも知らない。
しかも、インド映画にはつきもののインターミッション(休憩)も割愛し
3時間18分ぶっつづけという長丁場だ。大丈夫かな?
・・しかし、さすがはアクション娯楽大作である。
時間の長さなど何の障害にもならなかった!
息もつかせぬ展開に3時間ずっと瞳孔がひらきっぱなしだ。
往年の名警部であるタークルが、札つきのワル・
ジャイとヴィールの腕をみこんで、2人を呼びよせ依頼する。
「凶悪な盗賊の首領・ガッバルを生け捕りにしてほしい」と。
彼にはガッバルをどうしても捕えねばならない理由があった・・
小さな村を舞台に繰り広げられる西部劇さながらの物凄いドンパチ、
ワルだが根は純粋な2人の男の固い友情、恋、復讐そして歌と踊り。
コミカルな要素もタップリで、洒脱なギャグで大いに笑わせてくれる。
インド映画のご多分にもれず、本筋と直接関係ないエピソードが
てんこ盛りだが、このひとつひとつがめっぽう面白い。
荒涼たる乾いた大地にむき出しの岩肌。主な交通機関は
馬と蒸気機関車で、車など登場しない。今風のものといっても
せいぜいゴレンジャーが乗っていたような(古いなあ)
サイドカーぐらいだ。一体いつの時代の話かと思うが
主人公の青年2人のいでたちはしっかり70年代している。
ちょっと前のインドの田舎って、こんな感じなのだろうか?
アクションも素晴らしいが、人物造形も見事だと思う。
陽気な酔っ払い・ヴィールにニヒルな二枚目・ジャイ。
ジャイ役のアミターブ・バッチャンのクレジットは4番目ながら
この役で一気にトップスターになったという。
もんのすごく足が長くて、赤いTシャツの似合う彼はカッコイイ。
老警部・タークルの渋い演技もさることながら
絵に描いたような憎々しい悪役・ガッバルも名演だ。
おきゃんで口数が多いが一途な村の娘・バサンティーは可憐だし、
冒頭に登場する刑務所の看守長もこっけいで可笑しい。
さらに、サントラがとてもよかった。効果音がいいし
踊りのシーンで流れる挿入歌は楽しく、時に切なく抒情的だ。
ちなみに音楽はA.R.ラフマーンならぬR.D.バーマンだそうで、
BGMにひとひねりもふたひねりもあって面白い。
インド映画の挿入歌は何十年も同じプレイバックシンガーが
歌い続けているという話を聞いたことがあるが、
ナルホド確かにずっと同じ人が歌っているんじゃなかろうか?
と思うほど、どれもこれも同一の声とメロディに聞こえて仕方ない。
30年前のも現在の映画も、どうにも似たようなサウンドに思えるのは
私の修行が足りないからか、はたまたインド音楽の奥深さか。
ともあれ、いい音楽には違いないだろう。
それにしても、こんな渾身の娯楽大作をこんなイイ椅子で、
たったの五百円で見せてもらっていいのか?
近代フィルムセンター、おそるべし。これから頑張って通おう。