70年代にソウルシーンを賑わせたというローズ・ロイス。
ディスコ系ということで興味はあるもののバンド名すら知らず、
あまりにもずうずうしいので今回は遠慮するつもりだった。
ところが、おなじみ音楽評論家・吉岡正晴さんの
ライブ評を読んで
気が変わった。どうやら一大エンターテイメントショウだったらしい。
しかしながら、残念なことに客席の入りが今ひとつだという。
吉岡さんいわく、「ソウルバンド好きなら直行です」。
・・それはゆゆしき事態である。コットンクラブに直行だ!
というわけで、あと先考えずまたも来ましたCotton Club。
事前予習はせいぜいYoutubeの動画、という
Rose Royceファンの方には申し訳ない限りの失礼な参戦と
なってしまったが、このライブがものすごくよかった!!
古き良きまったり系のソウルサウンドかと思いきや、
赤いスパンコールのお揃いの上着でキメた9名が繰り出す音は
原曲を聴いた印象とかなり違い、とてもパワフルだ。
猛々しく荒れ狂う大波のような迫力のサウンド。
ブスンパスンとファンキーに響くドラムの大音量が客席を包みこみ、
原曲のパワーを何倍にも増幅するかのよう。
3名のホーンズは楽器を持ったまま左右に半回転を繰り返し、
クルクルと大きく半円を描きながらステップを踏み続ける。
このステップが出ると”ザッツソウルショウ”という感じがする。
金髪に赤いドレスの紅一点、イヴェット・クックさんのボーカルもすごい。
店員さんによると最終日まで声の調子が全く変わらなかったそうで、
相当ノドの強い方なのだろうなと思う。
ソウル~ファンクバンドのお約束なのかもしれないが、
ローズ・ロイスもみな芸達者で、一人何役もこなす。
イヴェットさんはラテン調の曲ではカウベルを叩くし、
イヴェットさんと交互にリードをとるのはホーンズの一人・
ケネス・コープランドさんで、ファルセットボイスが美しい。
ドラムのヘンリーさんはメンバー紹介でラッパー風の軽いノリをみせるし
ギターのハワードさんもソロで歌える実力派だ。
圧巻だったのは、"Love Don't Live Here Anymore"。
私が知っているのはマドンナが歌ったカバーだが、
今回ぜひ生で聴きたかった大好きな一曲だ。
どんなアレンジかと思ったら、イントロから華麗なホーンズが炸裂し
静かなバラードがグルーヴィーで壮大な曲に変身した。
曲のクライマックスで一斉に演奏をストップし、全員しゃがんで下を向く。
・・・そして、ひと呼吸おいて演奏を再開!思わず息を呑んだ瞬間である。
絶妙の間合いに、ブラックエンターテイメントの真髄をみた思いだ。
フロント4名が揃って踊り、客席をいじり、全員一丸となって
圧倒的なパワーで会場のテンションを高めていく。
特に後半はストイックなまでに徹底したパーティーショウだ。
メンバーも心得たもので、アップテンポのときは
「立って下さい」、バラードが始まる前は「座って下さい」と
茶目っ気たっぷりにいちいち指図し、心おきなく踊らせてくれる。
最終日とあってさすがに観客も多くライブは盛りあがり
アンコールの"Car Wash"まで怒涛の1時間半に大満足でありました。
ソウルの洗練とファンクのむき出し感が同居する
ローズ・ロイスのライブは時代を感じさせないものだった。
どうかまた来てください・・次回も絶対行きますから!