70年代にファンクシーンで活躍したというBRICK。
私がその名を知ったのは昨年。後追いもいいところだが、
ごりごりのファンクサウンドは非常に気になっていた。
その伝説のブリックがコットンクラブにやってくる!
あろうことか時間に遅れ、すでにステージが始まっていたが
コットンクラブに入った瞬間、全身が耳になった。
えらいこっちゃ!!
メンバーは5人、ファンクバンドとしては人数は多くないが、
繰りだされるのは重量級のどファンク!
全メンバーがとんでもないテクニシャンで、音に一分の隙もない。
しかも重量級にもかかわらず音に険がなく、非常に柔らかい。
柔にして剛とはこのことか。
超ベテランらしく、メンバー皆にこやかでとてもよい表情だ。
ノリのいい"Sweat"で早くも私はまいりました状態、
こんなイイ演奏を聴けた感謝の気持ちで涙ぐんでしまった。
演奏中強く感じたのは、古きよきファンクバンドなのだな、ということだ。
5名の繰り出す音には熱い生の血が通っている。
テクノロジーで唸らせるのではなく、テクニックで唸らせる。
ランニング姿のコワモテ、でも「気は優しくて力持ち」系の
ヴィクターさんのドラムは力強く、且つやわらかにハネる。
彼の表情豊かなラテンテイストのドラムソロは、凄まじいものだった。
メインボーカルのヒョロリとしたジミー・ブラウンさんは
サックス、トロンボーン、トランペット、フルートという
実に4種の楽器を自在に持ちかえ、ふいてふいて吹きまくる。
彼のサックスはとてもジャジーで、フルートも
期待どおりピ~ヒョロピ~ヒョロロと大いに歌う。
そんな彼を左右からはさみこむベースとギターも一流のひとこと。
このフロントの3名が楽器を鳴らしながら
ハイトーンの素晴らしいコーラスを聞かせ、同時に
軽やかなステップを踏んで踊るのだ。すごすぎる!
アップテンポが続いたあとはフロント3名は小休止、
キーボードのグレンさんがジャズピアノを弾きだしたかと思えば
とつぜん素晴らしい声で朗々と歌いだすではないか!
この人も歌うんだ・・みな本当に芸達者だ。
彼が弾き語る"Love Ballad"を聞いてまたもや涙が出そうになる。
最後に他のメンバーが楽器で加わると
名バラードになんともいえないグルーヴが加わり、さらに感動的だ。
続く三拍子のグルーヴィーなジャズが演奏されると、
コットンクラブがグッと渋いジャズの空間に変貌した。
DISCO + JAZZのうたい文句どおり、
この方達はジャズ畑の人々でもあるのだなと思う。
お約束?の"Dazz"、"Dusic"もふくめて
おそろしいほどハイレベルな演奏を聴かせて頂いたが、
できればもう少しブリック自身のオリジナルが沢山あると
もっともっと嬉しかったかな?
・・などと贅沢を言ってはいけないのだろう。
分厚くジューシーで柔らかい、極上のステーキのような
素晴らしい演奏を聴かせてくれたBRICK!
早くも次回の来日を心待ちにしております。