4月7日土曜日。いよいよチンドンコンクールの開幕である。
日差しが眩しいほどに晴れ渡り、絶好のチンドン日和だ。
【オープニングセレモニー】富山市役所前にて。
プロ30組のチンドンマンが、コンクールの出演順をクジで決めつつ
市役所前広場に登場する。強豪チームが何番目に登場するのか、
そして1番を引いてしまうのはどのチームか、興味は尽きない。
こういうコンテストでは、出場順序は非常に大事な要素なのだ。
クジ引きが終わり全チーム出揃ったところで、富山市長らが開幕の挨拶を行った。
なんと市長自らがサックスの腕前を披露し、
チンドンマンと「たけす」を合奏して喝采を浴びる。
このコンクールにかける富山市の並々ならぬ意気込みが感じられる。
その後、全チームがコンテスト会場へとパレードを行った。
【全日本チンドンコンクール(予選)】県庁前公園にて。
全国から集結したプロ30組のチンドンチームによる予選で、
上位8チームのみが翌日の決勝に進出できる。
クジ引きの順番どおり登場する3人ひと組のチンドンマンが
「富山のよいところ」をテーマに、鳴り物や口上を披露する。
ステージは大相撲の土俵よろしく全方位にむいており、
どの位置からも楽しめるよう、演者にはダイナミックな動きが要求される。
1チームに与えられる時間は3分間。演技終了後は
8名の審査員が速やかに点数をつけ、総合点で上位8組を選出する。
・・いやあ、シビアだ!だけど面白い!
3年前に見たときは、全てのチームの演技が終わった後
いくつかの賞が発表される形式だったが、今回のコンクールは
1チームごとの絶対評価で、自分にとっても緊張感がまるで違う。
自分がお気に入りの強豪チームがいくつかあるのだが、
必ずしも彼らが常に高得点とは限らない。
ご贔屓のチームが決勝に進めるのか、事態は刻一刻と変化し、
かたときも目が離せない。
見ていて感じたのは、チンドンは何よりも「宣伝」が第一目的だということだ。
いかに「コンテスト」といえども、それは変わらない。
ベテラン勢が繰り出す鳴り物や口上のワザは、失礼ながら
ときとして「やりすぎ」に感じられるときもある。
逆に「富山のよいところ」を3分間素朴に力強くアピールしきった
新興チームのほうが好印象で高得点ということもままあった。
宣伝するのはあくまで「富山のよいところ」であり、
自分達をPRするのではない。しかし同時に彼ら自身の個性を
アピールできなければ高得点には結びつかない。
双方のバランスを要求される、難しいところだ。
しかも面白いことに、1点を争うコンテストなのに
得点の集計がけっこう適当(笑)
審査員が掲げる点数を、可愛い小学生2人の暗算で集計し、
発表すると双方いってることがバラバラ(笑)
計算結果に「ものいい」がつくこともままあって、
これはこれでユルくて面白い。
チンドンマンにとってはこのコンクールの結果は
彼らの翌年の売り上げをも左右する、大事な機会だそうだ。
しかしこんなユルさを含めて会場の雰囲気はあくまで楽しく和やかで、
緩急のバランスがうまくとれていると思う。
そしてその楽しさは、コンテストではあっても
チンドン屋さん達がオーディエンスを楽しませることを第一に、
常に気を配っているからではないだろうか。
<そして予選が終わり>
なんと、8位(89点)が3チームもあり、同点決勝となった。
・アダチ宣伝社 ヒサエ (福岡)
・こんぺい党 (福岡)
・ちんどん通信社 年丸 (大阪)
「ヒサエ」は音楽性豊かで好きなチームだが、
「こんぺい党」は新幹線のカブリモノで”北陸新幹線”を
元気よくアピールし、今回一番私のツボにはまった。
どちらも勝って欲しいが、そういう訳にもいかない。
1分半というさらに短い時間でのアドリブ決戦の結果、
「ちんどん通信社 年丸」が決勝進出と相成った。
う~ん、こんぺい党とヒサエ惜しい!でも楽しかったです。
さて明日の本選はどうなるのか、ハイレベルな闘いが期待される。