ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

『アイテム』を片手に 

2023-03-04 14:12:25 | 思い
 どこまでも澄んだ大空
 すぐそこの濃い山々
 急き立てられない時の流れ
 本来の営みを手に
 ここで一歩 また一歩
 確かな想いを刻んでみたい

 上記は、11年前の6月、
当地に移住してすぐに書いた詩の一節だ。

 「自分らしさとは何か」。
「自分は根本的に何を求めているのか」。
 そんな直球を投げて自問するほど、若くはない。
でも、『自分探しの旅』は続くと新天地でも意気込んだ。

 だから、そんなテーマの公募があると、
日常を切り取り、エッセイにして郵便ポストに入れた。
 時に「佳作」や「入賞」の知らせを受けた。
なのに、次第に満たされなくなった。

 2年が過ぎた14年7月、
『ジューンベリーに忘れ物』の題で、
ブログを書き始めた。
 週1回の更新を、私に課した。 

 特別の評価が得たかった訳じゃない。
誰かがきっと読んでくれると信じた。
 それでよかった。
それを、励みにした。

 「想いをブログに託す!」。
不思議だったが、満たされていることに気づいた。
 「自己顕示欲!?」なのかも知れないが、
それよりも、書くことで何かを確かめられた。

 当初は、話題はあっても構成が決まらず、
書き始めるまでに時間がかかった。
 時には、途中までで立ち止まり、
一字も進まなくなった。

 週一ペースに、不安が大きくなったこともあった。
更新予定日までに書けなかったらと、
何日も前からブログで頭がいっぱいになった。
 何も手に着かない時期も・・・。
でも、毎週の彷徨を経て、徐々に要領を会得した。

 やがて、編集社から依頼があったかのように、
週刊誌に連載するエッセイスト気取りで、
金曜日にはキーボードを叩いた。

 ブログ記事が100件に達した頃だ。
丁度、フルマラソンへ初チャレンジするため、
練習に力が入っていた。
 その熱量をブログに載せた。

 毎年、年賀状のやり取りだけの方から、
大会間際に葉書が届いた。
 『3月に主人も東京マラソンを完走しました。
・・・・頑張ってください』とあった。
 
 ブログでマラソン出場を知ったとは書いてなかった。
読んで下さっているとは思ってもいなかった。
 でも、ブログがつないでいることが嬉しかった。
くり返しくり返し目を通した。
 力が湧いた。

 1枚の葉書の向こうに、何人もの声援を感じた。
それを背に、洞爺湖を一周し42キロをゴールした。
 
 これに限ったことではない。
次々と思いがけないドラマを、ブログは運んできた。
 その度に、新しい想いが生まれた。

 ブログは日々の私に欠かせないアイテムになった。
やがて、暮らしにしっかりと根付いた。

 さて、8年8ヶ月が流れた。
今日、ブログ記事は400件目に達した。 
 
 今年の正月、年賀状にはこんな詩を添えた。
  *     *     *     *
     二  月  
  
 日記を広げる前に
 必ず鉛筆を削る
 今日の温もりを思い浮かべながら
 古いけずり機をグルグルグルグル
 気づかないほどだが
 削りくずの分だけ短くなる
 いつか握れなくなる日が

 朝の洗顔を済ますと
 蛇口はそのままで
 眼鏡レンズの汚れを流す
 ティッシュで水滴と一緒に
 時には前日の失態も拭きとる
 引き出すのは1枚だけだが
 いつか空の箱になる日が

 そんな「いつか」はずっと先でいい
 と願った二月
 無残な映像が流れ
 ひまわりと麦畑の大地と空を
 砲弾が飛び交い
 望まない悲しみと憎しみの連鎖が続く
 だから
 その日から終わりの祈りが加わった
  *     *     *     *

 「先行き不透明な時代」と言う古い言葉が、
今も生き続けている。
 誰が言い出したのか『新しい戦前』が、
日に日にリアリティーさを増している。

 そのような時に、
制度でしかない『後期高齢者』に
くくられる年齢を、私は迎えた。

 『「いつか」はずっと先でいい』と思いつつも、
『削りくずの分だけ短く』なった鉛筆は、
『いつか握れなくなる』としょげた。

 毎朝ティッシュペーパーを
『引き出すのは1枚だけだが』、
『いつか空の箱になる日が』と肩を落とした。

 しかし、私は今・・・。
これは何へのレジスタンスなのか。
 「このままでは終われない!」と強く思う。

 老兵にできることはわずか。
それでも、しょげたり肩を落としたりしたくない。

 それよりも、私の「アイテム」を片手に、
「まだまだ」と叫びながら、キーボードを叩きたい。
 決して困難な時代から目をそむけないで、
1人の目撃者として想いを1つ1つ綴り続けようと思う。

 『自分探しの旅』は、ブログ記事「500件」へ向かう。




  なに見てるの? ~「歴史の杜公園」の朝 

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