今までの経験などの先入観で子どもを見る。
あるいは、いくつかの視点だけで子どもを解釈する。
これでは、その子を理解したことにはならない。
だから、
あるがままの姿を受け入れて、
360度の視野で子どもを見て理解に努める。
そして、常に肯定的に受容する。
一人一人の子どもを理解するために、
現職の頃に、心がけたことだ。
そして今も、子どもに限らず、
どんな人にも同様の視点でふれ合いたいと努めている。
ところが、老いだろうか。
穏やかさや、柔軟さ、豊かさが薄れ、
狭い視野と勝手な解釈で、
周りの方を見るようになった気がしてならない。
戒めを込め、最近の私の『負』を記す。
▼ 長男が、「休暇がとれたので」と旅行に誘ってくれた。
色々と検討した結果、
今回は、八戸駅で落ち合い、奥入瀬渓流から十和田湖。
翌日は、三内丸山遺跡と、
青森県立美術館の棟方志功作品を見学することにした。
八戸からの全行程は、レンタカーで私が運転することにした。
さて、そのレンタカー店でのことである。
ここ数年、旅先で何度かレンタカーを利用してきた。
ところが今回は、利用手続きが完全にタッチパネル化されていた。
入店すると、利用手続きの機器の前に、
女性店員が立っていた。
「ご予約のお客様ですか?」
店員は突然早口で言った。
驚きながらうなずくと、
「運転はどなたですか?」
「私!」
「こちらへどうぞ」
目の前の機器へ手招きした。
私がそこに立つと
「画面の指示に従って、手続きをしてください」。
店に入ってからここまで、どれだけの時間だっただろうか。
「1分?」、2分はかかっていないと思う。
とにかく、想像もしない早い展開。
店内は決して混んでいなかった。
家内と長男の方を振り向くと、
まだ、椅子に腰掛けるまでに至っていなかった。
私は、誰かに急かされているように、
氏名や電話番号を慌てて入力した。
そして、機器の指示に従い、
運転免許証のコピーをとった。
すると次にその機器は、顔写真の撮影を求めた。
レンタカーの手続きで、顔写真を求められたことがなかった。
なので、私は一瞬躊躇した。
その一瞬をついて、近くにいた早口の店員が、
「そのまま真っ直ぐ前を見て、
下の赤いスイッチを押して下さい。
それで写ります」。
言われるままに、赤いスイッチを押と、
「では、料金の支払いを済ませてください。
それで手続きは完了です。
後は、あちらのカウンターへ行ってください」
ついに、私がカウンターでレンタカーのキーを貰うまで、
その女性店員から一度も「ありがとうございます」の言葉はなかった。
それよりも、「手続きを急いでください!」。
そんな声がくりかえされているようで、
私は落ち着きを失い、不快感だけが残った。
▼ 2ヶ月ごとに眼科へ通院している。
行く度に診察の前に、視力だけでなくいくつかの検査をする。
その時によって、検査の種類も若干違う。
検査は、看護師さんが進めてくれる。
先日は、左目の写真撮影があった。
その機器の前へは、よく見る顔の看護師が案内してくれた。
機器の向こうには、すでに別の看護師さんが座っていた。
私は、付き添いの看護師さんに言われるまま、
その機器の椅子に座ろうとした。
ところが、その椅子がやけに高い腰掛けになっていた。
私の身長に合っていなかった。
それでも、背伸びをして座った。
しばらくして椅子はゆっくりと低くなった。
最初から低くしておいて欲しいと思った。
その後、機器に顎を乗せ、左目でレンズを覗いた。
ところが、覗いた先のピントがなかなか合わないのだ。
乗せた顎の台を左右に動かしたり、
椅子が上下したり、機器が前後したり、
何度も同じことをくり返した。
それでも、撮影できるような状態にならなかった。
機器の前で操作する看護師さんが、
不慣れなのがありありと分かった。
私は、それに黙ってつきあった。
ところが、左目で覗いていたレンズが、
前に動き私の目に当たった。
その時、初めてその看護師さんから指示があった。
「目を開けていてください!」
つい強い口調になってしまった。
「レンズが目に当たっていて、無理!」
付き添った看護師さんが、慌てて機器操作を交代した。
その後は、手早くピントを合わせ、撮影が終了した。
そして、何事もなかったかのように、
「では、待合室でお待ち下さい」
私は言われるままに、無言で移動した。
「こんな時に、ご迷惑をおかけしましたくらい、
言えないんですか」
そう言いたいのを必死でこらえた。
▼ 来店への謝意を言葉にしないまま、
急かし続けたレンタカーの女性店員。
操作に不慣れで検査に手間取ったが、
それを不問にしたままの看護師。
それらは、きっとレアなケースだろうと、心を静めた私。
いいや、そうじゃない。
それは、私の理解の仕方が固いから、感じたこと。
以前の私なら、軽く笑い流せたはずのこと。
だから今は、
「もっと大らかに、もっと寛容で」
と自分を叱る。

槐(さいかち)の新緑
あるいは、いくつかの視点だけで子どもを解釈する。
これでは、その子を理解したことにはならない。
だから、
あるがままの姿を受け入れて、
360度の視野で子どもを見て理解に努める。
そして、常に肯定的に受容する。
一人一人の子どもを理解するために、
現職の頃に、心がけたことだ。
そして今も、子どもに限らず、
どんな人にも同様の視点でふれ合いたいと努めている。
ところが、老いだろうか。
穏やかさや、柔軟さ、豊かさが薄れ、
狭い視野と勝手な解釈で、
周りの方を見るようになった気がしてならない。
戒めを込め、最近の私の『負』を記す。
▼ 長男が、「休暇がとれたので」と旅行に誘ってくれた。
色々と検討した結果、
今回は、八戸駅で落ち合い、奥入瀬渓流から十和田湖。
翌日は、三内丸山遺跡と、
青森県立美術館の棟方志功作品を見学することにした。
八戸からの全行程は、レンタカーで私が運転することにした。
さて、そのレンタカー店でのことである。
ここ数年、旅先で何度かレンタカーを利用してきた。
ところが今回は、利用手続きが完全にタッチパネル化されていた。
入店すると、利用手続きの機器の前に、
女性店員が立っていた。
「ご予約のお客様ですか?」
店員は突然早口で言った。
驚きながらうなずくと、
「運転はどなたですか?」
「私!」
「こちらへどうぞ」
目の前の機器へ手招きした。
私がそこに立つと
「画面の指示に従って、手続きをしてください」。
店に入ってからここまで、どれだけの時間だっただろうか。
「1分?」、2分はかかっていないと思う。
とにかく、想像もしない早い展開。
店内は決して混んでいなかった。
家内と長男の方を振り向くと、
まだ、椅子に腰掛けるまでに至っていなかった。
私は、誰かに急かされているように、
氏名や電話番号を慌てて入力した。
そして、機器の指示に従い、
運転免許証のコピーをとった。
すると次にその機器は、顔写真の撮影を求めた。
レンタカーの手続きで、顔写真を求められたことがなかった。
なので、私は一瞬躊躇した。
その一瞬をついて、近くにいた早口の店員が、
「そのまま真っ直ぐ前を見て、
下の赤いスイッチを押して下さい。
それで写ります」。
言われるままに、赤いスイッチを押と、
「では、料金の支払いを済ませてください。
それで手続きは完了です。
後は、あちらのカウンターへ行ってください」
ついに、私がカウンターでレンタカーのキーを貰うまで、
その女性店員から一度も「ありがとうございます」の言葉はなかった。
それよりも、「手続きを急いでください!」。
そんな声がくりかえされているようで、
私は落ち着きを失い、不快感だけが残った。
▼ 2ヶ月ごとに眼科へ通院している。
行く度に診察の前に、視力だけでなくいくつかの検査をする。
その時によって、検査の種類も若干違う。
検査は、看護師さんが進めてくれる。
先日は、左目の写真撮影があった。
その機器の前へは、よく見る顔の看護師が案内してくれた。
機器の向こうには、すでに別の看護師さんが座っていた。
私は、付き添いの看護師さんに言われるまま、
その機器の椅子に座ろうとした。
ところが、その椅子がやけに高い腰掛けになっていた。
私の身長に合っていなかった。
それでも、背伸びをして座った。
しばらくして椅子はゆっくりと低くなった。
最初から低くしておいて欲しいと思った。
その後、機器に顎を乗せ、左目でレンズを覗いた。
ところが、覗いた先のピントがなかなか合わないのだ。
乗せた顎の台を左右に動かしたり、
椅子が上下したり、機器が前後したり、
何度も同じことをくり返した。
それでも、撮影できるような状態にならなかった。
機器の前で操作する看護師さんが、
不慣れなのがありありと分かった。
私は、それに黙ってつきあった。
ところが、左目で覗いていたレンズが、
前に動き私の目に当たった。
その時、初めてその看護師さんから指示があった。
「目を開けていてください!」
つい強い口調になってしまった。
「レンズが目に当たっていて、無理!」
付き添った看護師さんが、慌てて機器操作を交代した。
その後は、手早くピントを合わせ、撮影が終了した。
そして、何事もなかったかのように、
「では、待合室でお待ち下さい」
私は言われるままに、無言で移動した。
「こんな時に、ご迷惑をおかけしましたくらい、
言えないんですか」
そう言いたいのを必死でこらえた。
▼ 来店への謝意を言葉にしないまま、
急かし続けたレンタカーの女性店員。
操作に不慣れで検査に手間取ったが、
それを不問にしたままの看護師。
それらは、きっとレアなケースだろうと、心を静めた私。
いいや、そうじゃない。
それは、私の理解の仕方が固いから、感じたこと。
以前の私なら、軽く笑い流せたはずのこと。
だから今は、
「もっと大らかに、もっと寛容で」
と自分を叱る。

槐(さいかち)の新緑
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