goo blog サービス終了のお知らせ 

ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

変わる風潮へ 歩調

2025-05-24 12:23:29 | 思い
 人生を77年も歩んできた。
その時々、風潮は変わった。

 確かに、その変化に小躍りした時代もあった。
利便性がどんどん向上し、
それと共に文化の高まりもあった。
 音楽や映画、絵画にファッション・グルメと、
良質な広がりにワクワクしたものだ。

 しかし、今は少子高齢化、地球温暖化、
都会と地方の二極化などの課題に直面し、
多様性という価値観が浸透している。

 さて、今への是非はともかく、変わりゆく風潮に
歩調を合わせる大変さを痛感している。
 戸惑いながらも思いつくまま、
刻々と変わる今の幾つかを、スケッチしてみる。


  ① ハラスメントの時代!

 『セクハラ』『パワハラ』そして『カスハラ』など、
『・・ハラスメント』の言葉が飛び交うようになって久しい。

 ▼ 校長職の頃、1番に気をつけたのは『セクハラ』だった。
若い頃は,冗談で受け流された言動が、
しばしば『セクハラ』として問題視される。

 それでも、これくらいなら楽しい会話だろうと、
若い女教師に「いつか一緒に飲みに行こうよ」と言ったらしい。
 ところが、その部分だけ切り取られ、
同じことを2度も3度も校長室で言われたと、
教委に訴えられた校長がいた。

 結局、その校長は退職に追い込まれた。
私の後輩で、期待を寄せていた校長の1人であった。

 彼への同情は許されないのだろうか。
5年前のその時も今も、「時代が変わったのだ」と、
自分を納得させるようにしている。
 「随分と生きづらい時代になった」
と思うのも駄目なのだろうか。

 ▼ 『カスハラ』の場面には、偶然出会ったことがある。
数年前になる。

 スポーツ用品店で買い物を楽しんでいた。
手頃なゴルフウエアーがあり、家内がレジへ向かった。
 その合間、ブラブラと辺りの商品を見て回った。

 陳列ケースを挟んで、
初老の男性と店員がむき合っていた。
 2人の会話が耳に入ってきた。

 初老は,つい先日来店した時にあった品物が欲しいと言った。
しかし、それは売れて品切れになっていた。
 なので「お取り寄せなります」と店員は応じた。

 初老は、
「急に必要になったので、すぐに取り寄せてほしい」
と言う。
 店員は素早くタブレットを操作し、
「5日、かかります」と頭を下げた。

 ここでその初老は、声を荒げた。
「5日かかる!? 
君じゃ駄目だ。上の者を呼びなさい!」
 「お客様、5日間は誰に頼んでも、誰が調べても同じでございます。
申し訳ございません」
 店員は、深々と頭を下げた。

 「なんだと!
すぐには取り寄せられない。
 上の者は呼ばない。
そんな店員がいるか。
 君のような者は、駄目だ。
すぐにやめなさい!」

 初老は、その後も
「店員失格だ。やめろ、やめろ!」
 大声でくり返した。

 私は、居たたまれずその場を去った。
これが「カスハラか」と理解した。

 なんてギスギスした時代なんだ!
しばらくは気持ちが沈んだままになった。

 
 ② 一家団欒はどこへ

 同世代のメンバーでの会合を終えた道々、
よく孫のことが話題になる。
 そんな折り、今時の子育て世代に話が及んだ。

 お母さんも何かしら仕事をしている家庭が多くなった。
そして、子供は、いくつかの習い事をしている。

 当地の場合、習い事は親が車で送迎するのが常だ。
兄弟によって習い事が違う場合は、車での送迎はほぼ毎日のこと。
 日によっては,2度も3度ものことが・・・。

 それがもっぱら母親の役目になり、
その忙しさは並大抵のものではない。

 合間を縫っての夕食準備だ。
当然のことだが、手作りよりお店の総菜に頼ることが多くなる。
 時間を合わせて家族がそろう一家団欒など稀なことに・・。

 子どもは習い事の時間にあわせて、1人で夕ご飯を食べる。
お母さんはその送りから戻ってから、お父さんの帰宅に合わせることなく、
迎えに行くまでの間に夕食を済ませる。
 
 お父さんの帰宅など構わず、他の子供らも夕食を始める。
つまりは、家族がそれぞれバラバラに、交代で1人での夕食なのだ。

 私は、こんな家庭が多いことを知り、愕然となった。
「暮らしの豊かさ、潤いが、今や絵空事では・・!」
 肩を落とす私に、次のいち矢が飛んできた。
「それだけじゃないよ」
付け加えた方が現れた。

 習い事のために急いで、
夕食を並べてくれるお母さんを見て、
「お母さんもお腹すいているはず」
と子供は気を利かせた。

 取り皿を1枚持ってきて、
お母さんの分もとテーブルのおかずを取り分けようとした。
 ところが、それを見たお母さんが早口で、
「やめなさい。
 そのお皿を使ったら洗い物が増えるでしょ!」

 心が凍えそうになった。
お母さんのその言葉は、稀な事例と思うことにした。
 それでも・・・。
 

  ③ タブレット依存・・

 学校の始業は、朝の健康観察から始まった。
私の若かった頃は、「朝の会」で学級の一人一人を呼名した。
 自分の名前を呼ばれたら、返事をして起立した。
その立ち姿を見て、その子の健康状態を把握した。

 やがて、それでは不十分だとなり、
返事は「ハイ」から
「ハイ、元気です」「ハイ、少し風邪気味です」
などと、自分の健康状態を短く言うようになった。
 
 ところが、今の学校はタブレット全盛の時代である。
子供は、一人1台のタブレットを持ち、
学習道具として定着しつつある。

 なので、毎朝の健康観察もこれを使っていると聞いた。
登校するとタブレットを起動し、健康観察に答える仕組みだ。

 画面に『今日の健康』などのタイトルが現れる。
「元気」「元気がない」「すこし調子が悪い」
などの項目から選び回答するのだ。  
 先生はそれを見て、健康状態を把握するらしい。

 その上、そこには、
「先生に相談したいことがあります」の項もある。
 「これが、いじめの早期発見の手立てになっている」
と先生は言う。
 
 さて、その項を正直に子供はクリックできるだろうか。
どの子も、必要な場合はそうしてほしいが・・・。

 それより、クリックしたくてもそうできない子に気づく。
そんな教師の感性を磨いて欲しいと願うのは、
古いタイプの教師魂だからなのだろうか。
 



      『イベリス』満開 ~マイガーデン

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 探しもの・・! どこに?  | トップ | D I A R Y 25年5月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

思い」カテゴリの最新記事