世の中にはいろんな記念日がある。あす21日は「ライバルが手を結ぶ日」だという。152年前のこの日、敵対的な関係にあった薩摩藩の西郷隆盛と長州藩の桂小五郎が相まみえて、薩長同盟を結んだことにちなむ。ここから明治維新に向け、時代が大きく動き出した。
こちらはライバルという生易しい関係ではないが、反目している国同士が手を結んだ。韓国と北朝鮮が平昌五輪の開会式で合同の入場行進をし、アイスホッケー女子の試合には混成チームで臨むという。スイスで開く国際オリンピック委員会などとの会談で最終的に決まるようだが、突然の同盟に国際社会の疑念は強まる。
「米韓関係を分断する狙いがある」「核開発の時間稼ぎに違いない」などという指摘はもっともだ。純粋にアスリートの立場でみても、問題は多い。五輪に照準を合わせてチームが一丸となって鍛えてきたのに、本番直前になってそれを政治的思惑でひっくり返されてしまうようでは、韓国の選手らも納得いかないだろう。
薩長同盟では締結のお膳立てができてなお、面目がじゃまをして両藩とも話を切り出せないでいた。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」では仲立ちした坂本龍馬が、藩の勢いで勝り優位に立つ西郷に「長州が可哀(かわい)そうではないか」と一喝する。暴君に付き合わされ食うや食わずを強いられる北朝鮮の民も可哀そうでならない